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自分を誉めてあげようよっ!
Episode 05 -自信を持ってっ!-
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<ネルフ本部>

今日は日曜日だが、朝からチルドレン達はハーモニクステストの為、ネルフ本部へ召集
されていた。

「シンジ君、近頃良い調子よ。」

『はいっ!』

三者懇談にゲンドウに来て貰ってからというもの、シンジは以前に比べて明るくなり、
ハーモニクステストにおいても、ぐんとその値を伸ばしてきていた。

「アスカとレイは、もう限界ね。シンジ君は、思ってた通りまだ伸びるわ。」

「これが自信に繋がってくれればいいんだけど。」

リツコの言葉に、シンジの性格を知るミサトはぽつりとこぼすが、最近の様子を見てい
ると決して夢物語とも思えなくなってきていた。

そしてテストも終わり、発令所に上がってくるチルドレン達。

「シンジ君の伸びがいいわ。アスカに迫る勢いよ。」

それを聞いたアスカは、一瞬優しい目でシンジの方に振り向いたが、シンジと目が合っ
た途端その表情を一気に堅くする。

「アタシを抜こうなんて、まだまだよっ!」

「そうだね。」

「・・・。」

アスカは誰にも聞こえないくらいの小さな溜息をついて、視線をシンジからリツコに戻
す。

「それじゃ、今日のテストはここまでよ。」

「まだ半日残ってるから、遊びに行ってらっしゃい。」

リツコの言葉を引き継いで、ミサトが砕けた表情で軽く言った。

「行きたいのはやまやまなんだけどねぇ。先立つ物がねぇ。保護者が頼りないから・・・。
  帰ってきたら、お酒ばっかり飲んでるから遊ぶお金もねぇ・・・。」

ミサトをチラチラ見ながら、シラっとみんなに聞こえる様にアスカが言い放ったので、
ミサトは、背中にリツコとマヤのキツイ視線を感じ、苦笑いを浮かべて冷や汗を垂らす。

「わーったっ! わーったわよっ! はい。」

ミサトは、ハンドバックから財布を取り出すと、チルドレン3人にしぶしぶ小遣いを渡
した。

「サンキューーっ!」

「とほほほほ。給料前なのに・・・。」

勝ち誇った様に、ニコニコ笑いながら出て行くアスカと他2名。残されたミサトは、軽
くなった財布の中を、嘆きながら覗き込むのだった。

一方シンジ達は着替えた後、3人並んでゲートへ上がるエレベーターに乗っていた。

「せっかくお小遣い貰ったんだからさ、みんなで遊園地にでも行こうよ。」

「遊園地?」

シンジから遊びに行こうと誘ってきたのは、初めてではないだろうか? アスカは、一
瞬きょとんとした顔でシンジを見つめた。

「私行かない。」

しかし、即座にレイは断ってくる。

「なんでよっ! 折角、シンジが誘ってるってのに。」

「・・・・・・・・必要ないから。」

特に理由もなく、ただ行きたくないだけだったレイは、少し悩んだ挙げ句苦し紛れの言
い訳をする。

「遊園地に、必要もへったくれもないでしょうがっ! アンタもっ! 来るのよっ!」

「・・・・・・・。」

レイは、やはり無理がある言い訳だったかと思いつつ、仕方なく一緒に遊園地に行くこ
とに同意した。

<遊園地>

連休ではないものの日曜日ということもあって、遊園地はある程度の人で賑わっていた。

遊園地なんて、あんまり来たことないからなぁ。
よくわかんないや。

誘ってみたのはいいが、どんな乗り物があって何が楽しいのかよくわからず、珍しい遊
園地の中をきょろきょろと見回す。

「・・・・・・。」

ふと横を見ると、自分に輪を掛けてレイは困っている様で、目を丸くしてただただ辺り
を見回していた。

「わぁ、大きな観覧車。あれ、乗りましょ。」

困惑する2人をリードしたのはやはりアスカで、お目当ての観覧車へと一目散に乗り込
んで行く。アスカとレイが隣り合って座り、向かいにシンジが座る形となる。

「ほらっ、見てみて。奇麗よっ!」

目を輝かせて、山々に囲まれる第3新東京市の奇麗な景色を、観覧車の窓から見下ろす
アスカ。

「わぁぁぁ、たかーーーーいっ! ねっ、乗って良かったでしょ?」

「エヴァの方が高いわ。」

その時、ボソリとレイが言った。

「むっ!」

「見慣れた景色だし・・・。」

更にボソリとレイが呟く。

「むむっ!」

綾波いぃぃ・・・。

鈍感なシンジでも、さすがに今のはないだろうと、呆れた顔でレイを見つめる。レイの
一言が原因で、なんとなく気まずい雰囲気のまま観覧車は一周し終わった。

「次はジェットコースター、行きましょうよ。」

ジェットコースターかぁ・・・。
やだなぁ・・・。

かなり昔になるが、その時乗った記憶では異様に怖かった気がするので、あまりジェッ
トコースターという名前の印象が良くない。

「ぼくはいいよ。」

「何言ってるのよっ! 折角来たんだから、みんなで乗るのよっ!」

「だって・・・恐いだろ?」

「大丈夫だってっ! ほらほら、さっさと乗るわよ。」

「う、うん・・・。」

先頭にアスカとレイ。その後ろに座るシンジ。ジェットコースターは、ジリリリという
ベルの音と共に動き出し、一気に滑り始める。

乗ってみると、意外と怖くないな。
エヴァなんかに乗ってるせいかな?
やっぱり、やってみなくちゃわからないんだな。

思っていた程の恐怖も感じず、目の前で大はしゃぎするアスカの頭と、静かに横に座っ
ているレイの頭が揺れるのを、自分でも驚く程に落ち着いて見ることができた。

「ここは何?」

ジェットコースターにも乗り終わり遊園地の中を歩いていると、この場に不釣合いな建
物を見つけたレイが、不思議な顔でアスカに問いかける。

「そ、そこは、いいのよ。」

それを見たアスカの顔が、サッと強ばる。

「どうして?」

レイの指差す方を見てみると、いわゆる俗に言うお化け屋敷だ。以前トウジ達が、ここ
のお化け屋敷は怖いと噂しているのを聞いたことがある。

「なんだ、お化け屋敷じゃないか。」

「それは何?」

「怖いお化けがいるんだ。」

「怖い? アスカ・・・怖いのね・・・。」

「なっ! こ、怖くなんかないわよっ!」

「なら、どうして入らないの?」

「うっ・・・。いいわよっ! 入ろうじゃないのよっ! 入ってやろうじゃないっ!!」

そんなこんなの成り行きで、お化け屋敷に入ることとなる3人。入った瞬間から腰が引
けてしまうアスカと、無表情で入っていくレイ。

ドバーーーーーーーーー!

入り口の明かりも見えなくなり、辺りが真っ暗になったと思った瞬間、最新のSFX技
術を駆使したモンスターが、目の真ん前にドバッと現れる。

「キャーーーーーーーーーーーッ!」
「・・・・・・・・・・。」

悲鳴を上げてシンジの右腕に飛び付くアスカと、予想だにしなかったモンスターの出現
に、目を真ん丸にして言葉も出せないレイ。

「こ、これは・・・なにっ!?」

目をぱちくりさせて、使徒とは違う体験したことの無い異次元の恐怖に、レイは白い顔
を更に真っ青にする。一方アスカは、ただひたすら叫びまくっている。

「キャーーキャーーーキャーーー。」

その後も、次々と現れるモンスター。

アスカはシンジの右手に必死でしがみついており、最初は声も出なかったレイも、いつ
の間にかシンジの左腕にしがみついてきていた。

「あの・・・歩けないよ・・・。」

「キャーーーキャーーー。」
「うっ・・・くっ・・・。」

悲鳴を上げ続けるアスカと、お化けが出る度に息を漏らしながら目を閉じるレイに、が
っちりと両手を抱きしめられ、あっちこっちに引っ張られる。

うっ! む、胸が・・・。両手に・・・。
これが、両手に胸っていうやつかな・・・ははは。

お化け屋敷のコース中程から、シンジはどことなく歩きにくそうにしながら、出口へ向
かって進んで行った。

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                        :
                        :

そして、夕暮れ。その日の午後を3人で楽しんだチルドレン達は、それぞれの家へと帰
って行った。

<ネルフ本部>

翌日、ネルフ本部は突如成層圏に出現したサハクイエルに、大騒ぎになっていた。

「来るわね。多分・・・。」

「次はここに、本体ごとね。」

モニタが映し出す使徒の映像を見ながら、落下してくるであろう巨大質量の使徒への対
策に迫られる。

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                        :
                        :

招集されたチルドレンが作戦支持を受ける。

「手でぇっ! 受け止めるぅっ!?」

「他に方法が無いの。この作戦は。」

「作戦と言えるの?」

「本当、言えないわね。」

しかし、ミサトの立案したこの作戦とは言えない作戦以外、他に妙案があるわけでもな
かった。

<更衣室>

シンジは更衣室でのろのろとプラグスーツに着替えていた。あのアスカにして、悲鳴を
上げる作戦が本当に成功するのだろうかと不安になる。

使徒が軌道を外れても駄目。
受け止められるかどうかもわからないなんて・・・。

作戦室で成功率を聞いた時、ミサトは言葉を濁した。おそらく限りなく0%に近い数値
なのだろう。

こんなの・・・成功したら奇跡だよ。

着替え終わったシンジが、更衣室のベンチに座ると、自然と足に震えが来る。遺書を書
けと言うくらいだ。もうここには戻って来れないかもしれない。

怖い・・・でもっ!

震える足を自らの手で押さえつけ、不安と恐怖を振り払うかの様に勢い良く立ち上がる。

諦めちゃ何もできないんだ。
逃げちゃ駄目だっ!

自分自身を無理矢理奮い立たせると、出撃の後いつも戻ってくるこの部屋を、これが最
後かもしれないとぐるりと見渡す。

これが見納めかもしれないな・・・。
でも、ぼくは行かなくちゃいけないんだ。

意を決っして更衣室の入り口の扉の前に立つと、プシュッというエアの抜ける音と共に
視界が開けた。

「ア、アスカ・・・?」

開いた扉の向こうには、いつぞやとは逆にアスカがこっちを向いて立っていた。意表を
突いてアスカが現れたので一瞬驚く。

「シンジ・・・。」

「どうしたの?」

「アンタ、怖い?」

「・・・・・・。」

何と答えていいのかわからない。

「アタシは・・・・・・・・・・・アタシは、怖いわ。」

「えっ?」

強気に目を見開いていたアスカの瞳に、陰が差し込む。いつも前だけを見て、どんなこ
とにも敢然と立ち向かって行くと思っていた少女の、まさかの言葉にシンジは驚く。

「これが、最後かもしれないわ・・・。」

すっとアスカが身体を近づけてきたかと思うと、頬と頬をくっつけてしっかりと抱き締
めてくる。

アスカ・・・。

それは今迄、自分を元気付け抱擁してくれたそれとは明らかに違う物だった。力一杯に
自分を抱きしめてくる細いアスカの身体が、小刻みに震えている。

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

2人の間に沈黙が流れる。シンジは、この時はっきりとわかった。今回の作戦は、アス
カの限界すらをも、遥かに超えた物だということが。

「もう、戻って来れないかもしれないわね。」

「そんなこと言うなよっ! きっと奇跡は起きるよっ! 大丈夫だよっ!」

「うん。アンタは、大丈夫っ!」

アスカはキッと自分の瞳を見据えると、いつもの強気な声を発した。

「奇跡なんかに価値はないのよっ!
  奇跡なんか信じるんじゃないわよっ!
  自分を信じなさいっ!
  アタシがあの時感じた物に・・・アタシの目に、狂いは無いはずよっ!」

アスカが何を言っているのかよくわからない。しかし、今目の前にいるアスカを見てい
ると、不思議と不安や恐怖を感じなくなっている自分に気付いた。
アスカの言葉が恐怖を払ったわけではなく、何かが自分を突き動かそうとしている。

「自信を持ってっ! アンタなら大丈夫っ!」

「うんっ!」

「でも・・・アタシは・・・。」

「・・・・・・。」

いつもの元気な目で、勇気付けてくれていたアスカの瞳に再び陰がさす。

「アスカ・・・。」

そんなアスカを見ていると、だらりと垂れていた自分の両手をゆっくりと上げ、自然に
やさしく腰に回して力強く抱き締めていた。

「!」

初めてシンジから抱き締められたアスカは、顔を上げて不安な瞳を覗かせる。

アスカって、こんなに細かったんだ・・・。

今まで、大きく大きく見えていたアスカが、自分の腕の中で細く感じる。

「大丈夫さっ!」

「えっ?」

「また、遊園地に行こうよっ! みんなで、行こうよっ!」

「シンジ・・・。」

「ぼくがっ! ぼくが守ってみせるっ! みんなを守って見せるよっ!」

「うんっ。」

顔を上げたアスカの青い瞳には、自信と強さに満ちた少年の姿が、大きく大きく映って
いた。

そうさっ!
やる気になれば、できないことなんてないんだっ!
ぼくは、やらなくちゃいけないんだっ!
みんなでまた、遊園地に行くんだっ!

『エヴァっ! 発信準備っ!』

発進準備命令が入る。どのくらいの時間、2つの影が重なっていただろうか。いつしか震
えも止まり自分にもたれているアスカを、絶対に離すものかと痛い程抱き締めている自分
に気付く。

「シンジ・・・行かなくちゃ。」

「うんっ。行こうっ!」

『エヴァっ! 発信準備っ!』

再び発進命令が入ってくる。その声が聞こえると同時に、重なり合っていた2つの影は
名残惜しそうにゆっくりと離れ、互いの戦場へと向かって行った。

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<発令所>

アスカを超えるシンクロ率を叩き出し、通常のエヴァ以上の速度で敵の落下を阻止した
シンジは、作戦を終了し2人の仲間と共に発令所に上がって来ていた。

「申し訳ありません。わたしの勝手な判断で、初号機を大破してしまいました。」

『かまわん。使徒殲滅がエヴァの使命だ。』
『ああ、よくやってくれた葛城三佐。』

発令所に上がってくると、SOUND ONLYと表示されるモニタの前で、ミサト
が冬月とゲンドウに、作戦結果を報告している。

『ところで初号機のパイロットはいるか?』

「はい。」

丁度その時、自分の名前をゲンドウに呼ばれたので、少し裏返り気味の声で返事をしな
がら、マイクの前に進み出る。

『話は聞いた。よくやったな。シンジ。』

えっ?
父さん・・・今、何て?
よ、よくやったなって・・・。よくやったなってっ!

「あ、は、はいっ!!」

今まで、最も欲し続けていたゲンドウに認めて貰ったシンジは、涙が出そうになるの目
を凝らして、父の姿が映らないモニタのSOUND ONLYの文字を見つめ続けた。

<ネルフ本部ゲート前>

その日の夕暮れ、シンジとアスカは自分達の家へ帰るべく、ネルフを出て歩いていた。

「とうとう、シンクロ率。抜かれちゃったかぁ。」

「あれは今回だけ・・・まだ・・・。」

「違うわっ! アンタは、自分の力で超えたのよっ!」

「う、うん・・・。でも、それはアスカの・・・アスカのおかげだよ。」

今迄の自分を思い返してみると、どれだけアスカに勇気付けられてきたかしれないと思
えてくる。

「ありがとう、アスカ。」

「ううん。これが、アンタの本当の力よ。」

「でも、アスカがいてくれたから・・・。」

「今まで頑張ってきたのは、アンタじゃないっ!」

「え? そ、そりゃ、そうだけど。」

「ならっ! がんばった自分をっ、自分を誉めてあげようよっ!」

「アスカ・・・。」

「ねっ! 誰にも遠慮なんていらないわよっ! 自分を誉めてあげようよっ!」

「うん。そうだねっ!」

使徒殲滅直後の事後処理に慌ただしい第3新東京市に、まばゆばかりの奇麗な夕日が照
り付ける中、そっと寄り添ってくるアスカの肩を抱き真っ直ぐ前を見て歩き出す。

その夕日に赤く照らされたシンジの顔は、いつしか自信に満ちた少年へと変わっていた。




                    何をやっても上手くいかず、苦しい時。
                  全てが嫌になって、やる気が全く起きない時。


                              そんな時こそ。




                               前を見てっ!


                               がんばってっ!


                               逃げないでっ!


                               諦めないでっ!


                               自信を持ってっ!








                  がんばってっ、がんばってっ、がんばり抜いてっ、

                         そして、すべてが終わったら。
                         100万HITを達成したらっ!







                      誰にも遠慮なんてすることはないさっ!

                     それまで、必死にがんばってきた自分を、









                          自分を誉めてあげようよっ!
                       なしつぶさんっ! おめでとうっ!




fin.

前話
 なしつぶです

 \(^0^)/ミリオンヒット達成\(^O^)/

 タームさん,EF5のために5話もの連載小説をありがとうございました。
そして今日めでたく100万ヒットに達することができました。
なしつぶのHP「EVA小説ファンクション・ファイブ」のミリオンヒットを小説で祝ってくださりなしつぶ大感激であるとともに祝ってくれる人がいるという喜びを得られました。

 「自分を誉めてあげようよっ!」というのはアスカがシンジにだけではなく自分自身にも,そして果ては読者・作者すべての人に言っているようにも思われました。なしつぶも最近ちょっと落ち込んだこともあったけど少しこの言葉を思い出して顔を上げられました(^^)

 最後の文はなしつぶに今までEF5を運営してきて色々と思わせるものがありました。
 
 

         誰にも遠慮なんてすることはないさっ!
 

                          自分を誉めてあげようよっ!

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 皆さん,ありがとうございます。


素晴らしい小説を書いて下さった作者にぜひ感想を!
感想は作者への感謝と次回作を生み出すエネルギーです。
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