過去そしてこれから
「では、鈴原トウジ君。実験を開始します。」
責任者である赤城リツコの一声と同時に
フォースチルドレン鈴原トウジによる、三号機起動実験が静かに幕を上げた・・。
「緊張しないでいいのよ。気を楽にして。」
外部からの声がスピーカーを通してエントリープラグへと流れてくる。
「わぁっとるわい。」
トウジは軽くそれに答えていた。
「フォースチルドレンの様子はどう?。」
リツコの隣には葛城ミサトが陣取っていた。
「良好よ。ただし若干の緊張が見られるけど、そのほかは問題ないわ。」
「そう・・。」
リツコの言葉にミサトは軽く応える。
ミサトの微妙な不安を見抜いてかリツコが声を掛ける。
「あなたシンジ君にこのこと話してないんですって?。」
「帰ったら話すわよ。」
ミサトの対応は至って冷めている
「手遅れにならない内に話した方がいいわよ。」
「なによそれ・。」
ミサトがそう言った直後である。
「センパイッ!!!!。」
オペレータをしていたマヤから悲鳴が上がる。
「何?。」
リツコがあわてて三号機の方を見た瞬間・・
「信号パターン青・・使徒です!。」
再びマヤから報告があがる。
「何ですって!!!!。」
それを聞いたリツコから悲鳴が上がり、コントロール室に木霊する。
それと同時にコントロール室は巨大な爆発音と共に光りに包まれた・・・・・・
「なんや・・ここ・・。」
コントロール室が破壊された時、トウジは妙に見覚えのある町並みの中に立っていた。
そう・・それはトウジの子供の頃に見た映像そのものであった。
そこに小さい子供が二人佇んでいるのが見えていた・・・
ひたすら泣き続ける少女と、その横ではそれをかばうように男の子が佇んでいた・・。
「泣くなノゾミ!。」
男の子が声を上げる。
「だってぇ・・グスッ・・。」
「泣いたって母ちゃんは戻ってこんで・・。」
自分だけが別の次元に居るようなそんな感覚の中
トウジはその様子をただ、眺めていた・・
トウジはその様子に妙に懐かしい想いを感じていた・・
突如トウジの目の前の景色が一変して今度は
古びた教室が現れた。そこでは小学生ぐらいの子供達が騒いでいる姿が見られた。
「やーい、やーいそこの孤児!。悔しかったらここまでおいでぇ。」
今度はトウジの前に見た感じいじめっ子の様な少年が現れ、
先ほど見た大阪弁の少年を囲んでいた。
大阪弁の少年の拳が強く握られる・・
「おのれ・・。」
口からつい、言葉が漏れる・・。
少年は自分の立場をよく理解していた。もし自分がここでこの少年に
手を挙げたら自分を引き取ってくれた老夫婦に迷惑がかかる。
少年はわき起こる怒りを必死で押さえていた。
「なんだよ、殴らないのか?。殴る勇気もないほど腰抜けなのか
孤児って奴は・・ほら、殴ってみろよ。ほら、ほら!。」
執拗にいじめっ子の少年が言い寄ってくる。
バシッ!!!!!!!
教室に沈黙が走る。
いじめっ子の男の子が殴り倒される。
しかし、大阪弁の少年が殴ったのではなかった
眼鏡を掛けた少年が飛び出してきていじめっ子の少年を殴り倒したのだった・・
「お前、人の事をバカにするのもいい加減にしろよな。鈴原だって孤児になりたくって
なった訳じゃない。今度鈴原の事をバカにして見ろ。そのときは俺が容赦しないぞ。」
眼鏡を掛けた少年は未だ倒れている少年にそう吐き捨てるように言うと
大阪弁の少年の方を向いた。
「驚かせて悪かったな。俺の名前は相田、相田ケンスケだ。これからよろしく。」
トウジはその少年に軽いデジャヴを感じていた。
さらに景色が変わる・・
今度はおさげにそばかすの女の子がトウジの目の前に現れた・・
先ほどの大阪弁の少年が成長したような男子生徒を目の前に
その表情は少なからず上気している用にもみえた・・・
「す、、鈴原いつも購買のお弁当だね。」
「ああ、作ってくれる奴おらんからな・。」
「わ・・わたし・いつもお弁当作るとき材料あまっちゃうんだ・・。」
「そりゃ、もったいないのぉ。」
男子生徒は抑揚のない声で女の子に応対していた・・
「ワシでよかったら残飯処理手伝うで・・。」
「う・うん!手伝って!。」
男子生徒の一言に女の子は満面の笑みを浮かべ、
そして教室を去っていった・・
それと同時にトウジは真っ白な空間に投げ出され
そこでトウジは真っ白な空間で不思議な声を聞いていた
この子だけは・・・
この子だけは殺させはしない・・
その声は妙に懐かしい感じがしていた・・
遠い昔に聞いたことのある不思議な声・・
あなたなんかに・・私のかわいいトウジを殺させてたまるものですか・・・
それは間違いなく自分の名を呼んでいた・・・
優しい声・・そして柔らかくすべてを包み込むようなそんな声・・
「お・・お母はん?。」
真っ白な空間にトウジの声が響きわたっていった・・・・
名前を呼んだと同時にトウジの目の前にシルエットが浮かぶ・・・
それは昔見た・・母親の姿によく似ていた・・。
「気が付いた?。」
自分をのぞき込むようにしてそのシルエットの人物が口を開いた。
「(この声は・・)」
よく見るとそのシルエットの持ち主はお下げをしているようだった。
「(委員長・・・)」
そこには自分の事を心配そうにのぞき込む、委員長こと洞木ヒカリの姿があった。
「な、なんや委員長かいな・・。」
トウジは自分のわずかな動揺を悟られないように注意しながら
ヒカリに伝えた。
まさか自分の級友が母親に見えたなんて死んでも言えるはずがない。
そして二人は言葉を紡いでゆく・・
新たなる想いを胸に抱きながら。
トウジの過去,そして母親。
その面影に見たものは・・・
素晴らしい小説を書いて下さった作者にぜひ感想を!
感想は作者への感謝と次回作を生み出すエネルギーです。