「戦自から映像はいりました。」

「主モニターに回してくれ。」

「はっ。」


発令所正面のモニターには、どういう作用で飛んでいるのか分からないが、空中を飛び続ける物体、おそらく使徒、が映し出されていた。

その姿は、まるでイカ、の様だ、とマコトは思った。

イカイカ、うーん、それではイカシ○ジ・・・。

おっと、それ以上は危ないから、ここでやめておこう。

マコトは危険な考えを切り払うように、目の前の情報を処理する。

ここで、ようやく正式にあの「イカ」が使徒であることが確認される。


「固有波形パターン確認、青、『使徒』です!」


「まるでイカだな。」

「ああ。」

「イカだけに、焼いても刺身でもうまい・・・なんてことは」

無視してゲンドウ、

「第1種戦闘態勢に移行。全員、戦闘配置につけ。あとの指揮は、作戦部長、葛城一尉に一任する。」

ちょっと拗ねるが、あまり本編とずれることを言っているとこの話がいちおう本編準拠シリアスSSであることを読者に理解してもらえないことを悟り、黙り込む冬月。ちょっとおちゃめ。




「使徒の第3新東京市への到達予想時刻は?加速度とかは今のままで計算して。」

ミサトの声が、ハリのある物になっている。

自分でも、分かっている。

(結局、敵を討つことに執着しているのね、私・・・)

そんな自分が、戦いの瞬間には、何か心の奥底に燃える何かを持っているのを知っている。

もしかしたら、自分にはそれしかないのかもしれない・・・でも今は・・・。


シゲルの声で現実に帰る。


「おそらく、約22分後には第3新東京市外縁に到達します。」

「そう。非戦闘員、及び一般市民の避難はどこまで完了してる?」

「それが・・・第7区画が遅れていまして、完了予定が27分後、と出ています。」

「急がせて。」

「しかし、第7区画は、第3新東京市建造計画ではそうとう後れをとっている地域でして・・・」

「まいったなぁ・・・。そう、それとパイロット及びエヴァーは?」


「それがですね・・・サードチルドレンが、腹をこわしていて、遅れます。」

「え?まじ、それ・・・まあいいわ、零号機とレイは!?」

「380秒後には、射出準備完了します。」

「じゃあ、とりあえず零号機だけ射出準備、完了したら、まだ待機させておいて。」

「はい、えと、サードのほうは?」

「正露丸でも飲ませといて!」







きゅーごろごろ・・・

「いたい・・・いつものかなぁ・・・」

そのころ、シンジはケージそばのトイレで、うなっていた。








昨日と今日と、明日

第3
話 ちがうわ/So What?








こんこん・・・

トイレのドアがノックされる。

「はいってます」

シンジはこの緊急時に、のんきにもそう答える。

(でも、隣に和式があるじゃないか・・・なんで洋式がいいんだよ、僕は腹が痛いから、長丁場のために洋式に入っているのに・・・)

「あと、どのくらいですか?シンジ君。」

ああ、そうか、今は出撃だったんだ。

「えと、あともうすこしです。」

表にいるのは、たぶんネルフのオッサンだろう。

「正露丸、持ってきたよ」

「糖衣ですよね?」

「え?いや、生だよ」

「糖衣にしてください!」

「いや、時間がないんだよ」

生はいや、生はいや、生はいや、生はいや、生はいや、生はいや、生はいや、生はいや、生はいや、生はいや、生はいや〜!!

「それはシンジ君の台詞じゃないだろ!」

「そんなことは関係ないよ。これ以上僕を怒らせないでよ。便器の中にあるたくさんのう○こ、これだけあれば本部のトイレの半分は詰まらせられるよ。」

そこに、ミサトからの放送が流れる。

「いいから!!早くしなさい!!帰ってきてから、続きをしなさい!」


すごすごと、尻をふいてズボンをはくシンジ。

そこへ、先ほどのオッサンとおぼしき人物が正露丸を持って待っていた。

「これだ。冷たい水は腹を壊すから、白湯を持ってきた。」

「あ、どうもありがとうございます」


臭いが、しょうがない。

鼻をつまんで、ぐいっと飲み干す。






ようやく、シンジと初号機がスタンバイ完了したのは、12分後、レイに遅れること約6分。


ミサトは、避難の遅れている第7区画を守るように、使徒と第7区画を結ぶ直線上の、第3新東京市の外縁部にレイを配置した。

シンジは、遅れているのと、まだ訓練を始めて2週間、ということもあり、バックアップとして、レイの斜め裏に配置・・・する予定だったのだが、発進に手間取り、まだ所定の位置についていない。



その第7区画には・・・そう、シンジが通う第3新東京市立第壱中学校があった。

なぜ、避難が遅れているか、というと、まずまだ建造計画が遅れており、最近集中工事をしているため、道路や避難用通路などが、あちこちで寸断されていること。

加えて、平日真昼の時間であり、家から学校・会社に出ている者が多く、特に学校の生徒は家の方へと行こうとして、混乱を極めたこと。

それを押しとどめる教師やネルフ職員の人数が決定的に不足していた。


まだ、避難は完了しない。


いまだ、地下の施設に入ろうとする者、流れに逆らってどこかへ行こうとする者、そして避難しようとしてもつながっているはずの通路がつながっておらず、右往左往する者、混乱は混乱を呼び、まだまだ遅れそうであった。


その人の流れにケンスケは漂っていた。

別に表の戦いには興味はあるが、やはり恐怖がつきまとう。

そして、別の意味でも、エヴァの戦闘を見たくはなかった。

シンジを殴ったという負い目。

それは、彼を縛って、なかなか放そうとはしなかった。

(もし、あいつが負けたら・・・俺らは、死ぬんだよな・・・)

そんな彼を殴ってしまった自分。

だが、同時に、親友を味方に傷つけられた怒り。

その二つの天秤は、なかなかどっちにも傾きそうにない。





歩くだけでなく、だいぶ様々な行動を訓練しているシンジ、だがまだまだ動きには、何かぎこちない物がある。

なんか、物慣れぬ様子で、配置予定地点へと到達する。




「シンジ君は、レイを援護してね。」

「はい、えっと、武器は・・・」

「そばの兵装ビルから、パレットガンをだすから、使徒が来たら、牽制するつもりで撃って。決して、弾幕で使徒が見えない、ってことにならないようにしてね。」

「はい。」


のろのろとそばにある兵装ビルからパレットガンを取り出す初号機。


と同時に、


「使徒、肉眼で目視可能な距離に到達」

シゲルが叫ぶ。


「第7区画の避難は!?」

「まだです!!」

「ちっ、シンジ君、レイ、なんとしても使徒を外縁部でくい止めて!」

「了解。」「はい!」

ホント、大丈夫かしら、あの二人・・・。



使徒が、戦自からの援護射撃を物ともせず、ATフィールドを装着しているエヴァ2機に気がつく。

地上に降り立つ使徒。

イカの上半分が、腰から曲がって、直立する。


「初号機、射撃を開始、零号機は様子を見て近接戦闘を試みて。」


シンジは慣れぬインジェクションモードで悪戦苦闘しながら、なんとかパレットガンを撃ち込み、使徒に当てる。


「初号機、射撃中止。」

だが、シンジはやめない。

「初号機、射撃を中止しなさい!」

だが、シンジは相変わらず撃ち続ける。

あらためて、使徒を目の前にして、恐怖で体が固まってしまっているのだ。

「シンジ君!!」


はっと気がつき、射撃をやめる初号機=シンジ。

だが、そのときには、弾幕が広く視界を覆い、使徒の目を欺くどころか、返って視界を塞ぐ結果となっていた。


どうくる、使徒。

ミサトが、そう思った瞬間、いきなり晴れない弾幕の中から、触手が零号機を襲う。

警戒していたとはいえ、視界を塞がれていたため、一瞬反応が遅れる。


「きゃあーーー」


またもややられ役となってしまった零号機。

触手は零号機をびんたの要領で吹っ飛ばす。


一気にkm単位で吹っ飛んだ零号機。

地面に打ち付けられ、激しく傷つく。

受け身もとれずに、首から地面へとたたきつけられた。

あらぬ方向で首が曲がってしまっていた。

そして、次の瞬間。

どこがどうなったのか、突如エントリープラグが首の付け根から放出された。


「レイ!!いかん!!!」


突然立ち上がって叫ぶゲンドウ、だがオートイジェクションによりスラスターが作動しているエントリープラグは、地面を這って道路沿いに激しくぶつかりながら、ある建物へとぶつかった。







ようやく、ケンスケの集団も、地下へと降りる順番が近づいた瞬間である。


どすーーーーーーーーーーーーーーーーーん


すぐ近くで破砕音がしたか、と思うと、自分たちがいる避難用降下施設の、広間の壁に白い物が生えていた。

「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーー」

「ぐわーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

近くで悲鳴が上がる。

一気に、施設はパニック状態に陥った。




「零号機大破、パイロットのいるエントリープラグが射出されました。」

「どこへいった!!」

ゲンドウが叫ぶ。

「第7区画の、地下避難用降下施設に激突して止まってます!」


「ええっ!第7区画ですってぇ!」

ミサトが素っ頓狂な声を上げる。

「いい、葛城君は使徒に専念していてくれ。こちらは私がやる」

ゲンドウは、そういうとテレコムでなにやら指示を出し始めた。

おかげで、ミサトは使徒に専念することが出来たが。

だが、それだから使徒を倒せる、というものではない。



シンジは、後悔に苛まれている。

(僕が、僕がミスしなければ・・・僕のせいで・・・)



だが、ミサトは一喝する。

「シンジ君!今はあなたの責任がどうのとか言ってる場合じゃないわ!いいから、目の前の敵に集中して、使徒を倒すことだけ考えて!!」

のろのろと首を上げるシンジ。



「使徒、初号機に接近、使徒の予想攻撃範囲まで、あと10秒ほどです」

マズイ!!ミサトは、ヒヤッ、とした物を背中に感じながら、シンジに向かっていう。

「シンジ君!早く、パレットガンを使徒に向けて!!」


シンジはようやく、パレットガンを今一度、使徒に向ける。

そして、引き金を引くが、動揺が激しいせいか、かすりもせずに、町を破壊していく。


「ちゃんと狙って!!」


だが、シンジが狙いを定めなおす前に、使徒は襲いかかる。

触手をひらっ、と初号機にのばす。


あわてて初号機はよけるが、その拍子にパレットガンを手放してしまう。

触手にからめ取られ、あっという間にバラバラに分解されるパレットガン。



まだ経験の浅いシンジには、近接戦闘は無理と判断したミサトは、近傍の兵装ビルにパレットガンのおかわりを出すよう命じる。

だが、その兵装ビルに近づこうとすることすら無理なのだ。

それくらい、敵性体たる使徒は、執拗に攻撃を繰り返す。

そして、攻撃をかわすことしかできない、初号機。

それすらも、いつまで持つか、分からないのだ。





避難用施設があるビル、その壁に突き刺さった零号機のエントリープラグは、ビルの壁を3階層ぶん崩壊させた。

幸い、壁面にはあまり人がおらず、死者こそ無いようなものの、軽傷を負った者がおり、その上、崩壊した壁の向こうに見える、妙な生物とロボットの戦闘が人々のパニックをあおってしまった。

地下ルートへは、リフトを使って避難する。

万一の場合に備えて、階段もあるのだが、不幸なことに階段に人が殺到し、このパニックで怪我人が出るほどの騒ぎになってしまっていた。



ケンスケは、パニックには陥らず、壁の穴から見えるロボットと、妙なイカ型生物、そして、白い筒状の物体を、ただ見ていた。

いや、見ているしかなかった。


確かに、怖い物見たさという感情はあったし、それ以上にミリタリーオタクとしての感性は、巨大ロボットという対象に対して、かなりの部分を割いていた。

だが、親友のトウジを傷つけた、というあのロボットに対する怒りは、ずっと彼を捉えて放さなかったのだ。

だから、今、その気持ちにケリを付けるため、ケンスケはロボットの戦いを、今しばらく見ることにしたのだ。

いや、むしろ、その戦いを見ることに対し、義務感めいた物を持っていた。




遠い、ロボットとイカの戦い。

ロボットは、まるで押されている。

さっきから、全く手を出していない。



「こちらは、ネルフです。あわてず、ゆっくりと順序よく避難してください」

壁内の空間に拡声器の、ハウリングしがちな声が響いた。

ようやく、事故箇所に、ネルフの救護班がやってきたようである。

班の構成メンバーの8割は、パニックに陥り続ける避難民を、誘導していた。

そして、残りが、ダメージを受けたエントリープラグから、レイを救出すべく、奮闘していた。


ようやく、外からハッチを開いた救護班は、即座に中で気絶しているレイを、担架に乗せた。

一部始終を見ていたケンスケは、殴られたような衝撃を受けた。

そう、収容されたレイは、怪我で血みどろになっていた。

意識を失っており、危険な状態にあることは一目で確認できたのだ。


もはや薄い呼吸、そして、かすかに上下する胸とその膨らみ。

開いたハッチから流れ出てくる黄色い液体、そこに混じる、赤い血。


そして、その穴から見える、巨大ロボットの苦闘。


ケンスケは、思わず顔を伏せかかった。


だが、目をむいて、その戦いから、そして、レイから目を背けてはならない、と思った。

そう、あのロボットには碇が乗っている。

こんな目に遭うかもしれないリスクを背負って。

どうして?

なんで?

疑問は次々に湧く。

だが、今はただその戦いを見ることに、集中していた。





足下に川があるのに気がつかなかったシンジは、使徒の攻撃をもう何回目か分からないくらいに避け続けたあと、川に足を取られて、よろけてしまった。

使徒は、もちろんその隙を見逃してくれるわけがない。


襲う、触手。

初号機自身は避けることが出来たが、そのよろけの代償は、大きかった。



「アンビリカルケーブル切断!内蔵電源に切り替わります!残り4分56秒!」

「まずいわね。」

リツコはつぶやく。

その間にも、ミサトの頭の中は、作戦指揮とシンジをどう動かすかでぐるぐる回っていた。



だが、シンジは、ミサトの想像以上の、逸材であった。

そう、戦う、と言うことに関してはおそらく、天性のカンがあったのかもしれない。

そのとき、ミサトが見た光景は、彼女の生涯でもっとも、碇 シンジという少年が、戦闘という分野には向いてない、ということを痛いくらい思い知らされたものであった。



初号機=シンジは・・・使徒から思いっきり最高速で逃げていた。



「シンジ君!何やってるの!使徒に立ち向かって!」



だが、シンジは、恐怖に手がつけられなくなったのだ。

ただでさえ、かわし続けていれば神経はすり減る。

常人より細いシンジのそれは、外部電源の断線という衝撃には、耐えられなかったのだ。



「ダメだ、もうダメだ、電源は5分で切れる、内蔵電源は外部兵装を使うともっと早く無くなる、ダメだ、・・・」

そのか細い言葉は、発令所内にも、まるで念仏のように流れ続ける。

もはや、シンジは耐えきれず、泣いていたのだ。


「ちっ、使徒は!?」

「現在、ゆっくりと沈黙した零号機の方へと向かっています!」

「マズイ、今あれを完全破壊されたら、戦力が大幅ダウンするどころか・・・」

「加えて、第7区画の避難リフトにエントリープラグが直撃しており、パニック状態に手をつけられず、避難完了見込みが出ない状態です。」

「なんですって!?」

零号機がいる先には、パニック状態の第7区画がある・・・使徒がそこに向かってしまえば、もはや死人が大量に出てしまう・・・民間人にああいう形で犠牲を出してしまえば、私どころか、ネルフそのものがヤバイ・・・っていうか、ここで負けたらあとがない・・・。

思考の無限ループで、マリオが王冠くらいたまったミサト。


「いったん、初号機を戻して、はやく!」


やがて、初号機は、そばにあったリフトから、一旦地下・ネルフ本部へと、戻された。


「一旦ケージへ行って来ます、使徒がこのまま進んで第7区画へと言った場合の到達時刻は?」

「3分12秒後です。」

「分かった。私が合図したら、即初号機を第7区画の真ソバに出して。」

「了解。」







ケンスケは、逃げ惑う人々と、同じく逃げてしまった初号機を見て、何も言わなかった。

だが、その眼鏡の反射光は、すこし落胆しているかのように、さっきよりは鈍かった。








ケージに収容されている初号機、その中のエントリープラグで、恐怖に震え上がっている、シンジ。

その様子をモニターで見ながら、初号機のそばまで行って、ミサトは語りかける。



「シンジ君、何やってるの?」

あまり、怖くはない口調で。

「だって、電源も切れたし、もうダメでしょう、おろしてください、もう勘弁してください、僕が人を守るなんて無理だったんだ、僕はだめな人間です、父さんにも会ってもらえないし、僕はいらない人間なんだ、だいたい僕は人がよく分からない、なんで僕はこんなところでこんなことやってるんだ、父さんに会いに来たはずが、どうして、父さん、一緒に暮らせるはずじゃなかったんだ、僕をこんなのに乗せるためだったんだ、結局そう言うことなんだ、僕は死んでもいい人間なんだ、でも死ぬのは怖い、でも、僕はだめな人間だ、怖い・・・」

ぶつぶつしゃくり上げながら呟き続けるシンジ。

だが、ミサトは突然、

「なにあまったれてんの!!!!」




はっ、とするシンジ。




「あんたが必要だったから、ここに呼んだんでしょう、司令は!!あんた悔しくないの!?女の子を守ることもできないで!!そうやって自分を哀れんでばかりいるから、ダメなのよ!!」



すこし、優しい口調になって、

「今、あなたが行かなくては、なんの力のない人々が、使徒に攻撃されて死ぬわ。あなたは少なくとも、エヴァを操れるでしょう。それは、あなたに価値があることだと、思うわ。

あなたがここに来た理由、お父さんがあなたを呼び寄せた理由なんて、私には分からない、でも、今ここにいる私たちは、あなたの力が必要なのよ。

だから、今は人を守って。あなたが行かなくては、人がなにも出来ずに、死ぬのよ。あなたのせいとは言わない、私たちオトナが巻き込んでいるだけですものね。でもね、あなたは、今行かなくては人を見殺しにしてしまうことになるのよ。」


シンジは、泣きやんでいる。


すこし、しゃくり上げている。


ケージに見える、ミサトの顔。


僕は、なんでここに居るんだろうか。









でも、人が死ぬのは、いやだ。








こわい・・・。







とうさん、かあさん・・・。















開いたり、閉じたりする手。

やがて、その手が、ぎゅっ、と握りしめられる。





「もう一回、出してください・・・」






すぐにあわただしくなるケージを見返して、ミサトは整備員に、アンビリカルケーブルを再装備させるのを忘れなかった。











「使徒、第7区画に到達まで、あと80秒!!」


「初号機、行けるわ!出して、さっき指示した場所によ!」


緊急射出で、第7区画の傍に出される、初号機。





ケンスケは、またもや現れた初号機を、その目で見た。

あいつ、なんで・・・こんなに怖い目に遭っているのに・・・どうして・・・俺らを守るため・・・


きっと、怖いんだろうな・・・怪我したら、いたいし、下手すりゃ綾波みたいに大けがを負ったりするのかも・・・。


ケンスケは、眼鏡越しの視線が、すこしゆがんできたのに気づいた。

でも、眼鏡が、ゆがんだんだ、と思うことにした。

ゆがんだ眼鏡の向こうで、初号機は使徒に対峙していた。



あいつ・・・






「聞いて、シンジ君。もう通常兵装は出せないわ。これいじょう、あなたと使徒の斜線をずらせば、使徒の攻撃を第7区画から遮る物はなくなってしまうから。

今から20秒後に、通常兵器で弾幕を張るわ、だから、その隙に懐へとATフィールドを中和しながら飛び込んで。

使徒のコアは、データとしてエヴァーに送ってあるから、そこめがけて肩のプログ・ナイフを突きまくって。

いいわね。」


「はい・・・。」


「いくわよ・・・」


シゲルが、カウントダウンを始める。


迫ってくる使徒。


「シンジ君、まだ我慢して!!」


シンジは、緊張にはやく突き込みたい。


だが、まだだ。


5、





4、





3、





2、





1、






「スタート!!」

あと一歩、初号機に手を触れるか触れないか、と言うところで、ネルフの通常兵器が大量に発射され、使徒の周囲に大量の弾幕を張る。

使徒は、おそらく初号機を認識はしているだろうが、すこしはひるむはずだ。

そう考えたミサトは、その考えが甘かったことを知らされる。



弾幕が張られるのとほぼ同時に、シンジは、コアとおぼしきところめがけて、プログ・ナイフを突き込んだ。

だが、それと時を等しくして、使徒の触手が初号機を襲う。

ナイフは、思うところを外れて、初号機はよろめく。

使徒は、容赦なくその隙を逃さない。

初号機の右大腿部を触手でつかみながら、もう片方の触手で、初号機の顔面をぶん殴った。



「いてっ!」


フィードバックで、シンジの顔面に痛みが走る。

ふと、なぜかこんな状況なのに、シンジは先日、ケンスケに殴られた時を思い出していた。



『俺は 相田 ケンスケ、いつでも文句あったら、かかって来いよ。

俺は喧嘩も弱いけど、お前見てると、腹立つんだよ!英雄気取りで学校きやがって、ふざけんな!!』



そうみえるのかな?

英雄気取りに見えるのかな?

このエヴァに乗ってる、ってことってそんなに自慢できることなのかな?


少なくとも、鈴原、君を怪我させてしまった、みたいだし、でも、なんで、これにのって、こんな痛い想いを味わってる?


どうして、僕はこれに乗ってるんだ?


使徒、どころか、僕の周囲の人まで傷つける、このエヴァに。





そう思う間も、使徒は触手で殴り続ける。





でも、僕が負けたら・・・そうだ・・・綾波に悪いじゃないか・・・。

僕がビビらなければ、あのとき弾幕で視界を遮りさえしなければ・・・。



僕はいつもそうだ。

弱くて、泣き虫で、なんの力もない。



分からないよ、でも、使徒は・・・





使徒は、とどめとばかりに、触手で初号機の腹を貫いた。


「う、うぐっ!」



シンジはその痛みに顔をしかめる。



「シンジ君!!」

発令所で、ミサトはなにもすることが出来ず、歯痒い想いでモニターを見つめることしかできない。





なにも考えられなくなったシンジ。

だが、手に持つプログナイフだけは、いやにハッキリ意識できた。



「うわあああああああああああああああああ!」



雄叫びとともに、コアめがけてプログナイフを突きだした。



コアにプログナイフが突き刺さり、ものすごい火花が飛び散る。



「うわああああああ、うわああああああああああああああああ!」



だが、使徒はまだ蠢くのを止めようとはしない。
















使徒の沈黙が確認され、触手が空間から喪失したのは、それから1分後のことだった。



「作戦、終了。パイロットを収容して、エヴァーをネルフ本部へと戻して。第1種警戒態勢にします。」

だが、ミサトの仕事は終わらない。

これからが、オトナの仕事の領分だった。





程なくして、シンジの無事収容、そして、いっさいの怪我がないことが報告されると、ミサトはそのレポートもまとめて、ゲンドウのいる司令室に向かった。



「失礼します。」

「なにかね。」

「とりあえず、第1次戦闘記録レポートをまとめましたので、提出に上がりました。」

「ふむ、はいりたまえ。」



司令室は、ただ広く、薄暗い中に、ゲンドウの執務用の机と、その周りを照らす間接照明があるばかりであった。



「これです。」

ミサトは、手元にあるMOをゲンドウに手渡す。

「ふむ、わかりやすいな。」

「ありがとうございます。

ところで、レイのほうは。」

「病院に収容させた。重傷だよ。」

語らないゲンドウの代わりに、冬月がこたえる。

口を開くまでいないものだと思っていたミサトは、すこし驚いたが、いつものことだと思い直し、すこし言いにくい用件を切り出した。



「初号機パイロット、碇 シンジ君は、無事帰還し、特に外傷もないようです。」

「分かっている。今、呼んでいるところだ。」


ミサトは、すこしだけ、シンジのために、喜んだ。

(ようやく、お父さんと会えるわね・・・)

だが、ゲンドウの目的は、ミサトの意図しているものではなかった。


「初号機パイロットを、これより尋問する。上司として、葛城作戦部長、君も同席したまえ。」


ジンモン、ジンモン。ダチョウ倶楽部?そりゃジモンだわ。




「どうして、ですか?」

「初号機パイロット、碇 シンジは、敵前逃亡、及び作戦行動の阻害の疑いにより、査問会にかける。私自らがだ。」

「納得行きません。どうして、作戦部所属のパイロットを、私に対する事前通告も無しに査問会にかけるのですか?」

「葛城君、君はまた降格したいのかね?降格だけならともかく、ネルフ司令として、これ以上の反論は許さん。」


降格、と言われてしまうと、なにも言えないミサト。

ちょうど、そこへインカムがなる。


「碇シンジ、出頭しました。」




シンジは、黒服に左右を固められ、ゆっくりと執務机の前へと連れてこられる。

ミサトは、やるせない気持ちを抑えながら、脇で見ているしかない。



「では、査問会を始める。初号機パイロット、碇シンジ。」

「はい・・・」



シンジは、いつもの中学校の制服に着替えていた。



「お前に掛かっている嫌疑は、敵前逃亡、作戦阻害、この二つだ。何か言いたいことはあるか。」

「・・・」

「なにもないのか。」

「・・・なんでだよ・・・」

「言いたいことがあるならはやくしろ。」

「・・・なんでだよぉ!どうして僕はエヴァに乗らなきゃならないのさ!なんで父さんはこれまで僕にも会わずに僕を捨ててたのに、どうしていまさらこれにのって、訓練して、痛い目に遭わせるんだよ!」


泣きながら叫ぶ、シンジ。

暗い部屋で、そこだけが明るい、執務室。

その間接照明に、涙が弾けた。



「必要だからだ。でなければ、お前を呼んだりはせん。」

「なんで、僕なんだよ!!」

「お前でなければ、出来ないからだ。」

「じゃあ、なんで僕をほっとくんだよ!なんで、ここまで来て一人にならなきゃいけないんだ!」


ミサトは、直感的に、シンジの心が見えた、様な気がした。

寂しいのね、それなのに、エヴァに乗ってたのは、それでも、心のどこかでお父さんを、家族のぬくもりを求めていたのね・・・。


ゲンドウは、なにも感じない様子で、黒服に言う。


「初号機パイロットを、自室へと帰していい。以降、3日間の謹慎処分。ネルフ本部内への進入を禁じる。本部内への進入禁止処分の解除は、これから72時間経つか、各部長が十分に必要と認める理由がない限り、これをいっさい認めない。いけ。」


たださめざめと無くシンジを、黒服に連れて行かせ、ゲンドウはポーズを決める。


「葛城君、今回の嫌疑に関しての、処分を言い渡す。」

「はい。」

「初号機パイロット、碇 シンジは、この双方の嫌疑について、司令より書面による訓告と、それに伴う72時間のネルフ本部内への進入禁止処分に処す。

これ以降の処分は、君に任せる。」

「了解しました。」

「では、行きたまえ。」


ミサトは、執務室の入り口まで行くと、敬礼をして、去っていった。


「あれでよかったのか。」

「今は、いい。」

「まあお前がシンジ君と一緒に住むなんてあり得ないことだがな。」

「ああ。」


冬月は、ゲンドウの方をひとつ見ると、また何かの雑誌を熱心に読み始めた。







黒服によって、自室へと帰らされたシンジは、そのまま泣き疲れたのか、ベッドに倒れ込むと、眠ってしまった。






ミサトは、レイによってリツコの研究室でクダを巻いている。


「てなわけでぇ〜、シンジ君は3日間、実験も訓練もできないのよね〜。」

「そうなの、でも別にいいわ。」

「リツコったら、ホントは訓練遅れていやーな気持ちなんでしょ?。」

「そうでもないわよ、だって訓練にしろ、彼は人のいうことには従うから、結構進んじゃってるし。作戦部長さんが気にかけてくれるのは嬉しいけど。」


そう言いながら、リツコはタバコに火をつける。


「でさー、ひとつ気になることがあるんだけどさ〜、」


リツコは、直感でミサトがなにやらたくらんでいることに気がついた。







いつも、こういう口調で切り出してくるのよね、ミサトは。


(そう、あのときも・・・加持くんとああいうことになるまえもそうだったわね・・・)



「ここなんだけどね〜、ほら、処分は作戦部に任せるって言うじゃな〜い。つ・ま・り、作戦部長たるあたしの、自由にしていいってわけよねぇ?」

リツコはいやーな予感がよぎるのを感じたが、それを無視して、聞く。

「それはそうでしょうけど、だから、なに?」

「シンジ君、って今一人暮らしよねぇ?」

「だいたい分かったわよ、あなたの言いたいことなんてお見通しよ。」

「じゃあ、答えは?」

「家族ごっこがしたいんなら、今でなくてもいいでしょ。」


リツコには分かっている。

ミサトは、シンジを、自分の家族として、引き取るつもりじゃないか、と。


「ごっこじゃ、無いわよ。」

リツコはその視線にすこし真剣な物が加わったのを見た。









翌日、出勤一番にゲンドウが見た物は、作戦部からの書類である。

大したものではないだろう、と思って、読んでみる。

後から、冬月ものぞき込む。


「ほう、それは、そうか。」

「ああ。」

「許可、するんだろう?碇。」

「ああ。」





その書面には、「パイロットの健康及び精神的保護について」とあり、署名は「作戦部長 葛城 ミサト」となっていた。





リツコは、作戦部からの広報メールを見て、

「そういう名目なのね。ミサトにしては、頭使った方かしら」

と、小さく笑った。






だが、そのころ、作戦部長・葛城ミサトは、ちょっとした報告を諜報部から受けていた。


「サードが!?そう、まさかロストしちゃあいないでしょうね?そうね、いいわ、そのまま監視を続けて。」


「どうしたんですか?」

マコトが、すこし仕事の手を休めて、ミサトに尋ねる。

「なんでもないわ。ちょっち、ね。」

ふと、ミサトはあることを思いつく。

「そうだ、日向君、ちょっち手を貸して欲しいことがあるんだけど?そうね、出来れば、青葉君もね。」


遠くの方でキーボードをいじっていたシゲルも振り向く。


「今日、仕事早めに切り上げるから、ちょっち、手伝って欲しいことがあるんだけど。」


(ちょっちって連発する歳でもないだろう?)

シゲルは思ったが、口では別のことを言う。

「なんですか?」


「お・た・の・し・み」

シゲルは、それこそいやな予感がしたのだが、表面上は、うなずくしかなかった。






あちこちから、工事車両が走り回り、町はすこしずつ、修復されてゆく。

また、壊されるために。

だが、それでも、人が町という物を直し続けるのは、そしてそこに住み続けるのは、やはり、そこに家があるから、だろう。



シンジは、そんな町並みの中を、学校にも行かずに、ただふらつき歩いていた。

なにも持たずに。

ただ、ひたすら、町の中を歩き続ける。



頭の中では、昨日のゲンドウとの会話が、ぐるぐると経巡っている。


「ひつようだから、よんだ」

ひとつつぶやく。

「おまえでなければ」

ふたつつぶやく。


行く当てのない、旅。


行き先を失った、本当の言葉。


「一緒に住んで欲しい」


すんでにとどまった、その言葉は、いつまでも頭の中を回り続けて、離れなかった。


日は天高く昇り、そしてやがて、周囲はすこしずつ、紫色へと移ろってゆく。






「あれ?あれは、お前が言うとった、碇いう転校生と違うか?」

「あ、ホントだ。」


夕暮れの町並みに泳ぐシンジを見つけた、二人。

一人は、ジャージ姿に松葉杖をついて歩いている。

もう一人は、だらしなく中学校の制服を着て、眼鏡をかけている。


「いや、トウジ、行こう。」

「あかん!」


そのまま去ろうとしたケンスケを、トウジは引きとどめた。


「オマエ、昨日の戦闘で、見たんやろ?あいつが戦う様を。綾波が、怪我するところを。でもって、この前、あいつを殴ってもうたんやろ?」

「あ、あれは、トウジが、怪我させられて、で腹が立ったから・・・」

「なんや、ワイが怪我して、なんでワレがなぐんのや。ワイがパチキかますんなら、話は別やけどな、ケンスケが殴ってもうたのやろ、やったら、いくで。」

「トウジ!」

「なんや、男のくせにうじうじしたやっちゃな〜。」

「違うよ、今は気持ちが、なんだか、どういえばいいのか、分からないんだよ。」

「そんなもんはええわ、まあ、ワイに任しとき。」


トウジは、でっかい声で、叫ぶ。


「おい!碇 シンジ!」


シンジはびっくりして、その声がした方を振り返る。

視線の先には、ケンスケと・・・松葉杖をついてる・・・あれが、鈴原、君?



トウジは、一生懸命、松葉杖をつきながら、シンジに向かって、歩いてくる。

それを追って、ケンスケもあるいてくる。



「どうも、初めてやったな、碇とは。」

トウジは、臆することもなく、すけすけと話しかけてくる。

「え、と、鈴原、君だよね」

「そうや、ワイの名前しっとるんか、やっぱワイは有名人だからのう」

「うん、まあね。」

「そうや、ケンスケがなんぞ言いたいことがある言うんで、ケンスケを連れてきたんや。のう、ケンスケ。」

「それは、トウジが無理矢理連れてきたんだろ・・・って、碇。」

「う、うん。」

すこし、シンジは目線を伏せる。

「この前、たまたまさ、お前と敵が戦ってるの、見たんだよな。」

「え?」

「綾波が乗ってたロボットがさ、やられて、俺らの居るところまで吹っ飛んできたんだよ。

でさ、綾波は、すごく大怪我してたんだよな。」

いまいち話がつかめず、シンジは黙り込んでいる。


「ごめんっ、碇!!」


いきなり、ケンスケは頭を下げた。


「おれさ、お前のこと、誤解してたよ。

あんなロボットに乗ってさ、いつ綾波みたいに怪我するかもしれない状況で、俺らを守るために戦ってたんだよな。

そんな碇を、あんなふうに言って、なぐっちまって、ほんとゴメン!!」


トウジが茶々を入れる。


「そーゆーわけで、許したってや。ホンマはワイがケンスケのことを怒るとこやったんけど、これで許してくれや。」



だが、シンジの言葉を聞いて、びっくりした二人。


「本当は、謝らなきゃいけないのは、僕の方だ。

僕は、大した理由もないのに、あんなロボットに乗って、それで、敵、を倒して、でも、それって自分でもよく分からなくて、でもって、人を傷つけちゃって、周りの人を傷つける結果になっちゃって、ホント、どうしようもない奴なんだよな。」


なにも、言えない二人。


慰める言葉すら、思いつかない。

いや、半端な憐憫の言葉は、返ってシンジを傷つけるだけだろう。

それを、トウジは直感で、ケンスケは思考で、知っていた。





だが、シンジの後から、声がかかる。


「シンジ君、そうやって、自分を傷つけるだけの言葉を並べても、誰も同情なんかしてくれはしないわ。」


それは・・・ミサトだった。



「どうして・・・ミサトさん・・・ここに・・・」



「シンジ君が、シンジ君の心が呼んでたからよ・・・って言うのはもちろん嘘だけど。」



「そう、ですよね・・・。」

「いい、シンジ君。今回と、そしてその前の戦闘のこと、あなたは気に負う必要はないわ。あなたは、人にほめられる、立派なことをしたのよ。」

「どう・・・して、だって、だって父さんは、あんなこと、言ってたじゃないか!!」

「お父さん、司令が、何か言ったかもしれない、でも、現に、あなたはこの町を、2回も守ったのよ。

少なくとも、そこにいる、あなたのクラスメート、その二人が今あなたの前でこうやっているのも、あなたがこの町を守った結果なのよ。」

「でも!」

「もう、いいのよ・・・。シンジ君、私と一緒に、住まない?」


「ええのう!!」

かなりうらやましいトウジ。


「なんで、ですか。それは、ネルフの上司としての命令、ですか?」

「ちがうわ。」

「じゃあ、同情、ですか?」

「それも、まあ違うわね。」

「じゃあ、どうして・・・」

「私も、家族が欲しいから。

シンジ君、一人でいるのは確かに、楽だけど、寂しいでしょう?

家に誰かいるって、とてもすばらしいことだと思う。

でも、あなたはそういう経験、無いでしょう?」

「そうですけど・・・」

「だから、よ。」

「それだけ、ですか?それって、同情とは違うんですか?」

「ちがうわ。私の勝手、わがまま。」



シンジは、また、目線を下げた。


「いらっしゃいな、ウチに。」


ぽた、ぽた。


地面に、垂れている。


「ほれ。鼻水、ふけよ。あんまり、かっこわるいとこ、人に見せんなよ。」


そういって、ケンスケはハンカチを差し出す。


「あ、ありがとう。」


シンジは、借りたハンカチで、鼻水と涙を拭く。

ケンスケの、さりげない心遣いが、シンジの気持ちをすこしだけ、溶かしたようだ。


「ミサト、さん。

ホントは、僕、昨日連れてかれて、父さんと会って、いや、その前からずっと、期待してたんです。

父さんが、一緒に住んでくれるって。

ホントはうらやましかった。

みんな、「家族」がいて。

寄宿舎に入っていたころも、みんな休みごとに、帰って行くんだ、家に。

でも、僕はずっと一人だったんだ。」


ミサトは、黙って聞いている。


「ミサトさん、僕、家族が、欲しい、です。」


「アタシでよければ、ウチにいらっしゃいな。」






「はい。」






か細い声だったが、ミサトはその声を、ハッキリと聞き取れた。

たとえ、周りが工事中でも。

工作機械がガツンガツンやっている中。


4人の影は、すこしずつのびていった。










(第4話に続く)


第4話へ行く





どうも、作者のだいちゃんです。

今回は、あまり長くないですね。

以外と、書けなかったです。

どうも、ここいらの話って、本家では、いまいち画像からのイメージが強すぎちゃって、文章に起こすの難しいんですよ(と言いわけ)。



さて、次回予告とかは、あまりしないんですけど、次回は予想、つきますよね?

次回は、おそらくお約束の連発で爆発、でしょう。

ミサトの家で同棲を始める二人は、どうなるんでしょうか?

果たして、だいちゃん初の18禁になってしまうのか(なしつぶさんゴメン<っていうかうそ)?

では、次回作品で、お会いしましょう。



いつもながら、なしつぶさん、ご苦労をおかけします・・・。


素晴らしい小説を書いて下さった作者にぜひ感想を!
感想は作者への感謝と次回作を生み出すエネルギーです。
作者へのメール/小説の感想はこちらへ
だいちゃんへのメール

投稿小説に戻る