たれたある朝

 アスカは今日も朝からたれていた。
「暑いわねぇ」
「そうだね」
 たれアスカの下で同様にたれていたシンジが答える。二人はうつぶせになって折り重なっていた。何というか、裸で……。
 早朝のお勤めが終わった後、たれアスカは時速2.75mで転がってシンジの上に重なったのだ。
 シンジは背中にあたる豊満な乳房の感触を楽しみながら時計を見た。
「そろそろ服着なきゃ。マユカが起きてきちゃうよ」
「んふふ、やぁだ」
 二人の長女マユカはいま中学二年生。微妙な年頃だからシンジとしてはこんなところを見せたくない。ところがアスカはことさら見せようとする。母親としてのアスカはマユカのことを愛していたが、女としてのアスカにとってマユカはシンジをめぐるライバルなのだ。娘のマユカは重度のファザコンで、最近母親に対して嫉妬して見せるようになっていた。
「パパ、おはよう!」
 勢いよくドアが開いたかと思うと、マユカが元気に挨拶した。と、二人の状態を見てカチリと固まる。子供のころは両親が朝になるといつも裸なのに疑問を抱かなかったが、性の知識を得た今ではその理由がわかる。理性では夫婦なんだから当然なのと思いつつも、最近芽生えてきた女としての感情がそれを許せない。
 ピンク色のだぶだぶのパジャマを着たマユカは硬直から立ち直ると、肩をいからせながらドスドスと足音も高らかに部屋に入ってきて、ベッドの横に立つと両手をこしに当てて息を吸い込んだ。この辺のポーズは母親譲りだ。
「ママ! どうしていつもいつもパパの上に乗っかってるのよ!?」
「ん〜? ここはとっても寝心地がいいから」
「もう、パパが苦しそうじゃない! 降りてよ!」
 マユカはシンジの上からたれアスカを転がりおろした。たれているので大して抵抗しない。均整の取れた美しい裸身がシンジの隣に転がる。
「別に苦しくはないけど……」
「もう、パパったらママには甘いんだから」
 マユカはため息をついた。
 父親譲りの髪と母親譲りの瞳を持ったマユカは評判の美少女だ。戦闘訓練に明け暮れていた14歳のころのアスカと比べて、胸こそ小さいものの体形は華奢でより女らしく丸みを帯びている。顔立ちはアスカにそっくりだが、気の強そうな印象のある鋭角的な美女の母親に対して、父親の影響か目元口元が柔和で見るからにやさしそうな、人をほっとさせるような雰囲気を持っている。
 アスカは再びシンジの上にのろうと転がり始めた。マユカはその機先を制してシンジの上に覆い被さり、アスカのまねをしてたれた。
「んふふ、パパの背中ぁ」
 たれマユカはシンジの背中に甘える。
「マユカ、また少しグラマーになったかな?」
 パジャマの布越しに背中にあたる慎ましやかな二つのふくらみを感じながらシンジが言った。
「んもう、パパのエッチ! ……あのね、また1cm大きくなったの!」
 嬉しそうに報告するたれマユカの上に時速2.75mで転がっていたたれアスカがのぼった。
「でもまだAカップなのよね。あたしがあんたの年の頃にはもうBカップだったけど」
「ふんだ! ママ、重いよ! また太ったんでしょ!?」
「失礼ね。またとはなによ、またとは。あたしはこの十年間、完璧なプロポーションを保ちつづけてるわよ。そういうあんたこそこの間太ったって大騒ぎしてたじゃない」
「あたしは成長期だからいいんだもん」
「横に成長してるんじゃないの」
 そういいながらたれアスカはたれマユカのわき腹の肉をつまんだ。あのころのアスカよりも華奢なマユカはつまめるようなお肉はほとんどなかった。
「もう、ママの意地悪!」
「あ〜、ずる〜い! キョウカもやる〜!」
「ユイカもユイカも!」
 開け放たれたままのドアから三女と次女の双子がやってきて、たれアスカの上にのぼった。二人とも小学3年生。金髪碧眼で顔立ちはマユカにそっくりだ。
「く、くるし……」
 さすがにシンジは苦しくて悲鳴をあげた。
「パ、パパ!?」
 マユカは慌ててシンジの上からどこうとしたが、たれアスカが重くて身動きが取れない。
「ユイカ、キョウカ、降りなさい! パパが苦しがってるでしょ!」
「え〜、お姉ちゃんずる〜い! あたしたちもパパのお背中にのりた〜い!」
「お姉ちゃん、いっつもパパを独り占めするんだもん。ずるいよぉ」
「ね〜」
 最後の「ね〜」は二人で見事にハモっている。そこに末っ子のアスマが起きてきた。子供のころのシンジによく似ているがさらにかわいいと評判の小学一年生だ。アスカは時々アスマに女の子の服を着せたりするが、ぜんぜん違和感がない。それどころかちょっとした美少女に見える。
「あ〜、僕も仲間にいれてっ!」
 眠そうに目をこすってたれの山を見たアスマは自分も仲間に入ろうと飛び込んできた。
「きゃ〜!!」
 さすがに耐え切れなくなったたれの山はユイカとキョウカのうれしそうな悲鳴とともに崩れ去ったのだった。
 おしまい

 
BBSに投稿したものに加筆しました。基本設定はめぞんEVAに投稿した「再会」を参照してください。たれぱんだアニメ発売記念。

素晴らしい小説を書いて下さった作者にぜひ感想を!
感想は作者への感謝と次回作を生み出すエネルギーです。

投稿小説に戻る