漫画家別ふろく批評

  漫画家のふろくのセンスというのは、漫画のセンスとは異なる能力が要求されます。自身のマンガのキャラをキャラクター化し、与えられたテーマに合う最もよい絵柄・絵のバランス・色彩を決める必要があるからです。そこで、1985年以降の『りぼん』の主要ふろくの絵柄を描かれた作家のふろくについて批評します。「マンガあってのふろく」と評価するのが一般的だと思いますが、「マンガがなくてもふろく」という考えなので、キツイコメントも多少あります。

池野恋 私は「ときめきトゥナイト」に想い出のふろくがたくさんあります。読み始めた当時にすでに、人気作品となっており、手慣れたこともあったのでしょうが、「ヨーコ犬」をキャラクターとして活かしたり、蘭世の雰囲気(髪型・ファッション・年齢)も作品中よりも幅を利かせてあり、毎号目玉ふろくを提供されていたにも関わらず、飽きることがありませんでした。
萩岩睦美 センスが抜群でした。「銀曜日のおとぎばなし」「パールガーデン」「うさぎ月夜に星のふね」では、他を圧倒するほどのふろくセンスを感じされられました。池野先生のふろくが赤・ピンク系が多かったのに対し、萩岩先生は、ブルー系の色が多かったようです。目玉ふろくも、そうでないものも萩岩先生のふろくには特別なものを感じられました。
本田恵子 ふろくというと絵柄をシンプルにする作家が多い中、特に「月の夜 星の朝」では比較的ふろくの絵柄もマンガに近かったために、大人っぽい雰囲気がありました。しかし、簡略化した絵柄もうまく、多様な色彩で常にふろくに工夫を感じました。

以上の作家は私にとっての「想い出のふろく御三家」です。私は小学生の時に、これらの方々のふろくがあったからこそ、私のふろく黄金期がありました。

水沢めぐみ 絵がまだ未発達の「ポニーテール白書」の頃から素晴らしい付録の絵を描いていました。絵の書き方もいろいろ工夫が感じられました。マンガよりもふろくの方が先に実力が出たと言えるくらい新人離れしたふろくセンスに驚きました。その後もふろくのセンスは上達されましたが、最近ではマンガの絵柄自体もふろくの絵柄のように感じられます。
柊あおい 柊先生のふろくのカラーセンスのオリジナリティーは素晴らしいものがあります。独自のパステルカラーを基調としたカラーセンスは付録向きだと思います。キャラクター化も上手く、ふろくの絵柄もなんなく自分のものにされ、「星の瞳のシルエット」の後半には、登場人物をキャラクター化するセンスを作品中にも発揮させていました。
さくらももこ 「たそがれどきに見つけたもの」に触れられていたように、さくら先生の絵柄はキャラクターグッズに合います。マンガとふろくの絵柄を変化させることはありません。また、独特の色彩センスとカラーページに見られる幾何学的な模様のようなバックなどオリジナリティを感じます。
吉住渉 「ハンサムな彼女」でブレイクし、ふろくの絵ををほとんど描いたことないの急に目玉ふろくを描かなければならなくなってしまったせいか、最初からマンガの絵は新人としてはとてもうまかったのですが、 付録についてセンスを少しも感じられませんでした。吉住先生ほどふろくに苦労していると私が感じた人はいません。人物はキャラクター化できても、ふろく全体の空間構成がうまくいかず、すべて背景が印刷(ストライプ、水玉etc.)だったりして、苦労が感じられました。しかし、「ママレード・ボーイ」の途中からマスコット(かっぱ、猫etc.)を自由に書けるようになって元から絵はとてもうまいので、本当にかわいいふろくを作れるようになったと思います。
矢沢あい ふろくの目玉を描かれるようになったのが「天使なんかじゃない」からで、それまでの連載経験が豊富であったためと、作品内にすでにマスコットを作りだしていたので、最初からレベルの高いふろくでした。デザインセンスもあるため、オリジナリティーもあるふろくが多いと思います。
椎名あゆみ マンガのキャラの描き分けが充分でないために、ふろく絵では余計キャラが区別がつかなくなっているように感じます。垂れ目さが増すのも気になります。椎名先生の生み出すキャラが魅力的なだけに、ふろく絵になってもキャラの魅力が損なわないようにする必要を感じます。
小花美穂 絵が止まって見えるので、止まる絵で構成されるふろく絵は上手いはずだと思うのですが、とても魅力あるふろくの絵だとは思いません。小花先生のセンスの良さは絵よりも、文字の方に強くあるのでふろくに関してはセンスが作品中で見るキャラクターほど魅力を感じられなくなっているのかもしれません。これは絵が下手なことが原因ではないので、今後もふろくのセンスが上がることはあまりないかもしれません。
彩花みん かわいいですし、上手いと思います。しかし、無難にこなしているという印象を受けます。マンガから受けるほどのパワーのようなものをふろくからあまり受けません。そのために他のふろくに埋まってしまう印象を受けます。
藤田まぐろ 付録とマンガの絵がほとんど一緒なのでふろくに絵が自然に感じます。ふろくのバランスも上手いのですが、どのふろくも似たようなものになってしまっているように思います。
種村有菜 ふろくもマンガと同様に華があります。今後も、うまくなりそうで楽しみです。しかし、ふろくから受ける印象はどれも似ているのが残念です。
高須賀由枝 ふろくの絵柄が不安定でしたが最近安定してきました。但し、まだオリジナルキャラのように感じることがあります。センスはあり、かわいく魅力的です。
藤井みほな 特徴のあるふろくで、独特の色彩センスもふろくに活かされています。ふろくに作品にはない自由度を持たせてほしいと思います。

  『りぼん』の漫画家は、りぼんっ子が喜んでくれるように、ふろくの絵を描かなければなりません。人気がある漫画家だからといって、ふろくの絵はいい加減なのでは、『りぼん』の作家である資格はありません。小花美穂先生がコミックスの余白で書かれていたように、『りぼん』の作家になったからには、ふろくの絵柄を描けることに誇りと歓びをもってほしいと思います。


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