漫画全体

1.読者と漫画家のコミュニケーション
以前、アクセスログのトラブルで『りぼん』の漫画家さんとコミュニケーションをとった時に、解決した後に雑談として「読者と漫画家のコミュニケーションについて」メールで送りました。漫画家と接する機会もめったにない事ですし、『りぼん』の作家だからこそ考えてほしかったからです。

メールの内容を一部抜粋します。

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最近は、作品以外による作者の主張が増え、それが読者にとって、すごく楽しみな反面、それが元で読者が離れていくこともあるようです。つまりは、「コミックスを買う」→「作品が好き」→「作家が好き」とは読者は一概には言えないのです。

プロ意識の欠如・読者との距離感の取り違いが漫画家が嫌われる理由の中でもある程度の位置を占めるようになりつつあります。
プロとして作品を出すことによって読者と相対する以上は、批判や励ましをきちんと受け止めてそれを活かしていく器量をもたなければならないと思います。

今回のように、ただの1読者と漫画家が、すぐにコミュニケーションをとれ、誤解が解けるというようなことが現実ではありえないことです。
漫画家はプロ意識の高い大人である必要があると思います。読者の心無いファンレターも、冷静にきちんと受け止め、自分の中で消化したあとで、読者の前で主張しなければなりません。(多くは作品の中で。いくら文章でそれなりのことを言っても作品がそれに伴わなければ、読者は呆れるだけです)
実際は心無い読者よりも、周りが見えている読者が多いのですから、冷静さを失った文字による主張は作家の人間性までも疑われる原因となるのではないでしょうか?

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何故、漫画家は嫌われてしまうのでしょう。私は「プロ意識の欠如」・「読者との距離感の取り違い」が重要な位置を占めているのではないかと思っています。難しい問題です。


2.漫画家志望サイトのあり方
「また会う約束」はテキスト系のマンガサイトですが、イラスト系のマンガサイトも数多く存在します。
「また会う約束」にはイラスト系中心に見ている人はとんど来ていらっしゃらないかわかりませんが、イラスト系のマンガサイトとはあまり交流もなく、反応をいただくこともほとんどありません。

とはいうものの、私は『りぼん』の漫画家志望さんのサイトを中心に、イラスト系のサイトをときどき周ることがあります。もちろん、『りぼん』の文章・情報に関わる内容が充実していたら、是非ともリンクを設けさせていただきたいとも思っているからです。

最初は、私が面白いと思っているサイト、或いは管理人さんを知っているサイトから巡回を始めることにしています。
リンクを辿って、次々と漫画家志望さんのサイトを周っているうちに、奇妙な気持ちになってきます。「私は今どのサイトにいるんだろう…初めて来たはずなのにどこかで見たような…」と。
サイトの雰囲気はどこもかわいく、サイトの内容も似ていて、リンクを見るとどこかで見たようなサイト名がずらっと並んでいます。
サイトカラーがみな似ているのです。何だか気持ちが悪くなって、ネットサーフィンをやめたりします。

“漫画家を目指す”つまりは、自分のオリジナリティーを持つ人でないとやってはいけないはずなのに、なぜこんなに似ているサイトが多いのでしょう。

たとえば、自分の駄目っぷりを強調したり、自分の絵を卑下する行為。
ある程度の演出ならまだしも、度がすぎていると、そんなに下手だ、失敗したと思ったなら見せなければいいのにと感じてしまうことがあります。過去の作品に関しては、確かにすごく下手だと感じることもあるでしょうが、数日前に描いた絵に関して“ヘボ絵”などと言われても、それをみせられる方が困ります。

また、投稿歴は漫画家志望サイトでは標準的にあるものですが、ただ羅列的にみせられても、興味がわきません。プロの漫画家ならば、「前は成績がよくなかったけれども、デビューできたんだ」とか、漫画家を志望している人にとって励ましになるでしょうけれど。

自分の作品を多くの人に見てもらって、批評してもらおうという意図はほとんどのサイトにはありません。マンガスクールに作品を投稿して、結果が発表されるまでの間だけでも、来ていただいた方から意見をもらって次の作品に役立てるというようなサイトがあってもいいのではないでしょうか。プロになったら日々批評される側になるわけですから、ネットという場所をいかして自分の作品を公表してみるという企画があったら面白いと思います。

漫画家志望さんのサイトの開設の目的は、多くが、“友達作り”なのだと思います。自分と似たような漫画家志望の人と友達になりたい。友達の輪の中に入りたいというような。
だから、輪を乱すようなコンテンツはないのだと思います。掲示板・リンクを見ると、漫画家志望さん同士が、お互いのイラスト・サイトを、上手い、かわいいと褒め合い楽しそうです。褒めることを意図していない興味があっただけという私のような訪問者には、書き込むことを拒否するオーラを感じます。

イラスト系のマンガサイトでも、同人誌関連のような自分の好きな作品のイラストを展示しているサイトならば、似たようなサイトであってもなんら問題はないと思います。しかし不思議なことに、そのようなサイトの方が、好みの問題があるからか自分の個性をサイトにうまく反映させているところが多い気がします。

マンガは個人で作るものです。しかし、できたものは多くの人のものになり、自分だけのものではなくなるわけです。描いた作品を客観的に見つめる目に触れることは重要だと思います。
プロになって作品を評価するのは、マンガ賞を審査している漫画家でも、指導してくれる編集者でもなく目に見えない読者なのです。漫画家志望さんのサイトは、個性に溢れた開かれたサイトであってほしいと感じます。


3.少女マンガにありがちのパターン
テキスト王内の、よくありがちな、読み切り少女漫画のパターンという文章のが面白かったので、少女マンガの黄金パターンについて書いてみようと思います。

「少女まんが入門」(鈴木光明)という本の中に、“ありきたりのストーリー・ワースト10”という部分を引用します。

  1. 町角、あるいは学校の中でドシンとぶつかってはじまるロマンス
  2. 男の子みたいな女の子が出てくる話
  3. チャーミングな転校生がクラスに入って皆大騒ぎ。でも、よく見るとそれは主人公の幼馴染で、もと隣に住んでいた
  4. 有名なプレイボーイが何の取り柄もない女の子に会って恋のとりこに
  5. 見かけが恐ろしい番長が恋のとりこになって
  6. なにかの罰で地上に降りていろいろ良いことをする天使の話
  7. 死神が...やっぱり良いことをしてしまう話
  8. 不治の病にとりつかれて死んでいく少女の話
  9. クラブがつぶれる!
  10. あと味の悪いもの

「こういうのを一切使ってはいけないことはないけれど、何か新しい匂いをつけましょう」と書いてあります。「少女まんが入門」はかなり前のものなのですが、思い当たる作品は浮かぶと思います。(「男の子みたいな女の子が出てくる話」は「ベルサイユのばら」がヒットしたのでその警告のような気がしますが…)

では、少女マンガにあちがちなパターンをざっと挙げてみます。

  1. 「そのままの君が好き」と告白される。自己肯定は少女マンガの永遠のテーマ。
  2. 外見は普通の女の子。しかし、メガネを外したり、髪の毛を下ろしたり、着飾ったりすると、かわいくなる。
  3. 近寄りがたい雰囲気を持つ男の子が、雨の日に捨てられていた仔犬(仔猫)に優しくしている。
  4. 転校する前に偶然合っていた。男の子が転校生であるパターンが多い。
  5. 幼い時に結婚の約束をしていた。お互いに相手が忘れたものと思っている。
  6. 主人公の恋ライバルにありがちなキャラ
    * 美人で、頭もよく男の子に人気がある大人っぽい女
    * 男の子の幼なじみで、彼は妹のように思っているが、彼女の方はずっと好きだった。当然かわいい。
  7. 男女双子なのに、顔がそっくり。
  8. 好きな先輩がいるが、いつもちょっかいをだしてくる同級生の男の子をふとしたきっかけで見直す。そんなときに、先輩に彼女がいることがわかる。
    同級生の男の子は先輩には彼女がいることを知っていたので、主人公が傷つくのと気使い、反対にケンカしてしまったりする。
  9. 学校のアイドル的な存在の男の子に平凡なヒロインはいきなり告白されるが、身近にいた男の子を好きだと気付き、振る。
  10. 襲われても、直前で中断される。
  11. 友人の好きな人が、自分の好きな人と同一人物だということを知る。
    その事を友人は知らない。
    男の子は主人公に告白する。主人公は友人のことがあるので、断る。
    そして、友人が男の子に告白して、彼が主人公のことが好きなのを知る。
  12. 男の子の実家は金持ちだか、様々な理由(親との確執・離婚・家族の死etc.)から、実家に反発し、熱い夢を見ている。

すべてに心あたりのある作品はありましたか?


4.少女マンガとの付き合い方
20代になって少女・女性マンガを愛読するというのは、世間的に見て「若いから」という次元を超えているのは確かです。

マンガを熱心に読みつづけている女性は、自分とマンガの関わりはどのようなものだと感じているのでしょう?
漠然としていることですが、自分自身がマンガを熱心に読んでいるので、興味があります。

先日、『別冊宝島500 コミック雑誌なんかいらない!』で面白い文章を発見しました。

少女マンガに限って言うと読み手は信者になってしまうより、あくまで作品のファンであるほうが断然気持ちが良い。
読んでいる間だけの感情移入と快楽。少女マンガの醍醐味はそこにあり、多分そこにしかない。読み終わったら現実に戻れ。応用が効く。とは思わないほうがいい。そう思う。
                  「イマジン」に見る女の生き方・女の幸福 P134・135

私のマンガとの関わり方は、まさにこのように読んでいる間だけのものです。

例えば、私は『りぼん』が好きです。他の人が作ったファンページでは、自分が『りぼん』が好きな気持ちが収まらないと感じましたし、また、自分なりに『りぼん』が好きな気持ちを表現できる場が欲しかったのです。他の人のページではそのページのコンセプトがあるので、自分なりに『りぼん』を好きな気持ちが表現できません。他の人の上に乗ることなどできないほど、自分の中で『りぼん』の存在は大きいものなのです。
しかし、『りぼん』を客観的に見るようになっているので、読んでいる間だけの関係です。私の記憶では“信者”だったのは小6までだったように思います。

私はマンガにおいて“信者”ではないため、漫画家・作品の“信者”とはそりが合わないことが多く、反対に漫画家・作品の“読んでいる間だけ”のファンとはウマがあうように感じます。

あなたはどのように少女マンガと付き合っていますか?


5.漫画家志望サイトの閉鎖
最近いくつかの『りぼん』の漫画家志望のサイトが連鎖的に閉鎖されました。新たに開設されているサイトも多く、全体量としては『りぼん』の漫画家志望サイト数は増えていると思われます。しかし、閉鎖するサイト数が多いということで、閉鎖に関して私が感じたことを書きました。

最近閉鎖された4つのサイトです。

end Roll(結菜りり)
ドクター★STOP(楼川創)
Secret Heaven(高橋千香)
Natural lemon(高菜歩実)

end Roll」(結菜りり)は、閉鎖の理由が、一番すっきりしていて、納得できました。
漫画家志望でなくなったので漫画家志望としてのコンテンツは廃止したという、とてもわかりやすいものです。

「ドクター★STOP」(楼川創)も、納得できます。
雑誌の
投稿先を、『りぼん』から他の雑誌に変更したようなので、サイトが『りぼん』の漫画家志望として開設したものだったのならば、HPに対するモチベーションが下がるでしょう。そうなると忙しいという言い訳も出てきます。(サイトの管理人はよく忙しいといいますが、暇な人など少ないので、「ページに対する情熱の傾け具合が下がっている=忙しい」のだと私は思います。最長でも1ヶ月以上、普通の意味での忙しさは続くことはないと思います。気持ちが向かないだけなのです。)そんなところに、まわりで閉鎖するサイトが増えたので便乗したようです。
他に管理しているHPは続けるというのは、そちらのHPは投稿先変更とは関係ない話であり、HPに対するモチベーションが下がる理由はないので続けるのでしょう。
ただ、リンクしているサイトに対して閉鎖の連絡をした方がよかったと思います。閉鎖に関して理由を聞かれたくないと思いますが、聞かれてもトップページに書いてあること以上いう必要はないわけで、最後まで責任をもって管理してほしかったと思います。

「Secret Heaven」(高橋千香)は、閉鎖告知のところに、新しいサイトのURLを特定の相手にしか知らせないということを書いてあることに不快感を感じました。
漫画家志望
サイトの閉鎖で、新しいサイトのURLをおしえることが出来ないことを書くことはよくみられるのですが、新しいサイトを作ったとしても、不特定多数の人に知らせることが出来ないのであれば、わざわざそのことに触れる必要性はないと思います。
ちなみに、「Secret Heaven」は、すでに「LUNAR ECLIPSE」としてリニューアルされています。

Natural lemon」(高菜歩実)も、「Secret Heaven」と一緒で、新しいサイトのURLをを特定の相手にしか知らせないということに触れられていました。また、閉鎖告知で(笑)を使うなど、ごまかしを感じた部分が気になりました。
漫画家は、特定のファンだけでなく読んでいるすべての読者のことも視野にいれて考えることが必要となります。そのため、漫画家志望サイトでは、訪問者に対して誠実に対応する部分も学んでほしいと感じます。

サイトを閉鎖するのは自由です。でも、1回立ち挙げたものを、最後まで丁寧に管理していく姿勢を持ってほしいと思います。

現状では、漫画家志望でも成績が上位というだけで、本人の意思とは関係なく、褒められ、ちやほやされるようになっているようです。そのような時、それらの評価を冷静に受け止め、ネットを逃げ場とせずに現実の問題をしっかり考える強い意思と、高いプロ意識を作っていく場としてサイトを活用してほしいと思います。

サイトの運営を楽しいものですが、漫画家になるという目標があるのですから、自己満足にとどまることなく、訪問者をその目標を達成するために利用するくらいの気持ちもほしいと思います。


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