『りぼん』2000年5月号感想

表紙画像 目次画像

昨日、泣きました。
帰りの電車の中でふいに流れてきた涙をぬぐったり、駅から歩いている時に泣きそうになって上を向いたりしている自分と、本屋で3誌の表紙を見て、やっぱり表紙のセンスは『りぼん』=『なかよし』>『ちゃお』の順だなと思いながら『りぼん』買っている自分は別人のような気がします。

もしかしたら、気分が高ぶっている可能性があるから漫画を読んだ感じ方も違うかもしれませんが、よくわからないな・・・時間を開けてでもいいのだけど、読んだ直後の方が感想は書きやすいので。

今月号で一番驚いたのは、『Cookie』の広告。
『りぼん』の作家の連載という噂だったら
全部読みきりというのも意外だったのですが、やはりゲスト池野恋先生だったというのに驚きました。池野先生がどのような作品を描かれるのか楽しみです。今後も、池野恋先生のようにたまに、大物ゲストが『りぼん』から呼ばれて描いたりするんでしょうかね・・・読みたい方はたくさんいる。デビュー10年以上のベテランは全員といっても過言でない。大塚由美・小花美穂・椎名あゆみ・長谷川潤・水沢めぐみ・森本里菜・吉住渉先生とかね。
『りぼん』系作家(矢沢あい・あいざわ遥・谷川史子先生)の他には、遊知やよみ、おかざき真里先生が好きなので注目します。稚野鳥子先生は、「クローバー」は面白いとは思いますが、作品のエンターティメント感覚が私の感覚とは合わないので、先生の印象は普通なんです。
しかし、『ぶ〜け』創刊の頃の『ぶ〜け』の怪しい輝きは、今度も『Cookie』には微塵もありません。ちょっと、寂しくはあります。
『ぶ〜け』で連載していた「イティハーサ」(水樹和佳)が手塚治虫文化賞にノミネートしましたが、頑張ってほしいなと感じます。(水樹和佳子先生は『りぼん』のご出身ですしね)


◆神風怪盗ジャンヌ(種村有菜)
カラーの見開きですが、いや〜
見分け付かない・・・先生のひとことを読んで、すべて「神風怪盗ジャンヌ」に出てくる男性キャラだということがわかりました。作品の流れがないとキャラの顔の区別はまったくつきません。
女のキャラにしても同様で、種村有菜先生はかわいい顔が1種類しかないので、みんなまろんに見えてしまいます。(ちなみにかわいくない顔も先生は描けないんで、女の顔は1種類しかないわけですが)

だから、種村有菜先生は絵が上手くないよねと言ってしまったら終わりなんだけど、コマ割り(コマ構成)は上手くなったと思います。漫画が見やすくはなっていて、読みやすいです。
連載の最初の方は絵も整理されていなかったですし、作品がごちゃごちゃしていました。
コマ構成では、顔の連続なのですが、顔全体→アップ→引きという流れにアクションを入れながらなので、目が飽きません。無駄なトーンも無くなって、必要な部分にしっかりと使っている感じで、まとまって見えます。また、コマ割りでは、以前はむやみにコマを重ねたり、今流行のコマ割りが線だったりしていたのですが、そういうのはなくなっていると思います。

ストーリーの面ではまとめに入っているようで嬉しいです。第2部という可能性もあるので、にわかには歓べないのですが、私は種村有菜先生の他の作品が読みたいです。何度も描いているように「神風怪盗ジャンヌ」のストーリーには興味がわきません。

『りぼん』編集部による「神風怪盗ジャンヌ」の紹介文があります。この文章を読むと、編集側がどのように「神風怪盗ジャンヌ」を見ているのかわかるわけですけど、あれっと思いませんか?今の展開は全然違うじゃないかと・・・「神風怪盗ジャンヌ」がこの紹介文のようだった頃が「神風怪盗ジャンヌ」は面白いと思います。


◆GALS(藤井みほな)
絵の癖が気になりますね・・・その内、落ち着くと思いますが。体のバランスが異様におかしいのです。ストーリーは、構成がしっかりしているので楽しんでいます。

私は最近「GALS」が、『りぼん』における「純情クレイジーフルーツ」(松苗あけみ)という感じがしてきました。
表面的な類似点というと、「GALS」は学内の男はストーリーにからみません。女子校と何らかわりない状態です。そして、ヒロインと同じような境遇の他校の女のキャラがでてきます。それに、男のキャラと女のキャラとの作者の距離感がまったく異なり、女のキャラによっています。また、ヒロインはいるんだけど、女3人それぞれにエピソードで華をもたせているので、3人の繋がりが見えます。3人それぞれの家庭も描いています。
以上の点が、私は「純情クレイジーフルーツ」を読んだ時に今までの学園ラブコメとは違うぞと感じた点と重なるのです。
テーマそのものでは、藤井みほな先生は、大人社会を見ながら、夢を持たず今を生きようと口にしながら、夢や憧れを捨てずに持っている女の子・夢と現実との間のギャップに強く生きていく女の子を描きたいのではないか、と思います。
以上の点は、松苗あけみ先生が描きたかったものと一緒だと感じます。

松苗あけみ先生は、ヤングレディース&青年誌に行かれてしまわれました。藤井みほな先生が2000年の今、少女の読む『りぼん』で、「GALS」をどのような作品を仕上げていかれるのか興味があります。
「純情クレイジーフルーツ」の路線だと、「GALS」の最後は高校の卒業で終わります。まだ、高校2年生ですから、あとまるまる2年ありますね。


◆グットモーニング・コール(高須賀由枝)
「グットモーニング・コール」は
男女逆転のラブコメですよね。読者は、菜緒よりも上原くんの行動に感情移入していると思います。少なくとも私は、上原くんの視点で読んでいます。菜緒だけでは話が進まないので、上原くんが進めている状態では。ボケ×ボケコンビだし。普通は、ヒロインが話を進めることが多いと思うのですが・・・
私は男の視点で漫画を読むのはあまり好きじゃないんですよね・・・観客になるならいいのだけど、観客の視点で読んで評価が高い作品はほとんどないです。「BANANA FISH」(吉田秋生)とか、「有閑倶楽部」(一条ゆかり)とか、設定がかっとんでいるものだけです。

しかし、ジャージで笑わせるとは、「彼氏彼女の事情」(津田雅美)と一緒だよ・・・


◆Wピンチ!!(亜月亮)
今イチオシの作品!
しかし、3月号の感想で描いたように、コマのテンポ(画面構成)が今一歩。好きなんだけど、気になってしまいます。私は作品を没入して読むタイプなのでテンポが悪いと引っかかるのです・・・あとは、硬直した絵・・・『りぼん』の絵はみんな止まっているから亜月亮先生だけが悪いわけではないのだけど、亜月亮先生の硬さは、立位体前屈−20cmって感じで読んでいると肩が凝ります。

亜月亮先生の好みからだと思いますが、作品内に今の少女漫画とは異質の要素を入れたいと思われます。「Wピンチ!!」ではお耽美系マンガ&80年代少年マンガ、「青春してるかい」では「アタックNO.1」といった60年代スポ根少女マンガなどです。すべてギャグにつなげているわけですが、弱い感じがします。異質さを自分の作品内に取り入れて、異質の要素をいれるだけで笑わせるのではなく、エピソードの中で差を見せて楽しませてくれたらもっと盛り上がるような気がします。
例えば、新キャラのジュリィ(お耽美系)ですが、まるで「ルナティック雑技団」(岡田あーみん)、
愛咲ルイです。岡田先生がをご自分のキャラにしてしまっていたのと比較すると、私の指摘していることがわかりやすいと思います。「バーニング・プラネット」よりも「アイドルショック」「チンピラ キッド」のほうが聞いてみたいと思います。もしかしたら、「ミントな僕ら」(吉住渉)の栗栖のイメージの方強い人がいるかもしれません。彼も明らかにルイが原型でしょうけど、吉住渉先生と比較しても弱いように感じます。
ぎこちなさも悪くはないのですが、そろそろ上手さを見せてうならせてほしいなと感じてしまうのです。面白いのだけど、想像の範囲内に収まっている感じです。

おまけに、最後の騙されて、いきなり舞台で歌を歌わないといけない状態になるというのは、「ときめきトゥナイト(第2部)」(池野恋)と一緒ですね。落ちは一緒にしないでほしいものです。(変身して(能力をつかって)ピンチを切り抜けるっていうのね)

ほんとに、樹原ちさと&浦川まさる先生だけだったのが、今月号は岡田あーみん&池野恋先生もとは。何はともあれ、好きな作品ではあります。


◆近距離恋愛(朝比奈ゆうや)
1月号の感想で書いたように「たまに無敵仕様」は朝比奈先生をまったく評価していないので、反対に新人は連載で化けることが多いので、それを期待しています。

まず絵の面ですが、違和感を感じた「たまに無敵仕様」とは違って、かなり整理されてきていて、新人らしい魅力的な絵柄だと思いました。私は、ベテランらしい魅力的な絵柄が好きなタイプなのでもっと、もっと上手くなってほしいと思います。あと、横顔の不自然さが気になりました。
背景はまだまだという感じでこれからなので、絵の魅力は人物(特に顔)に頼っているのですが、キャラは高1には見えません。今の『りぼん』が高校生嗜好だからといって、高校生の絵が描けないのだったら、中学生にして踏ん張るべきのような気がします。ストーリー的にも高校生というよりも、男女のノリがだろうという感じがしました。

タイトルから幼なじみものだということが想像はついていました。詩織と敦の関係は幼なじみでわかったのですが、武蔵と詩織の関係が説明されていなくて(仲が良く、シオと呼んでいるのでただのクラスメートという感じでもなさそう。敦と武蔵は友人関係にあるわけですし。)、何故2人が賭けをすることになったのかわからず、違和感を感じました。

何気ない会話のやりとりに上手さがあると思います。ネームの人ですね。新人は絵にストーリーが負けることが多いのですが、朝比奈先生は、ストーリーの上手さの方を感じました。この上手さを大切にして欲しいと思います。
特に最後がよかったです。いきなり告白されて急展開なところで「みんな そんな簡単に 好きだなんて 伝えられるんだろう」と思うところ・・・好きな人がいるとき、その人に告白されようとしているときに、他の人が自分のことを好きだと言われても、頭には入っていても、思考回路がまわらないことはありますよね。その感じがギャップで出ていて。


◆5−ファイブ−(芳原のぞみ)
絵がかわいいですね。
キャラが立ってくるかがいい作品になるかの境目かなと思います。それなりのキャラを揃えてはいますけど、まだ魅力(とくにヒロイン)が伝わってきません。ストーリーも想像通りの展開で、まだ導入という感じがしました。連載の回数が保証されているのかもしれません。(8回分はありそう)これからかな。


◆世紀末のエンジェル(倉橋えりか)
結構ネームの量が多いんですよね、倉橋先生の作品って。
ふと、今月号の展開に「ごめんなさいこ・ぱわあ2」(楠桂)を思い出してしまいました。


◆パートナー(小花美穂)
先月号と今月号は小花美穂先生の上手さを感じました。
緊迫感で作品を包むのは実は最近のマンガでは少ないことです。「神風怪盗ジャンヌ」などと比較してもらえるとわかりやすいのですが、今のマンガの流れは緊迫感のあるシーンであえて外すという手法が確立されていて、漫画全体がその流れとなっています。(80年代後半からの流れだと思います)

小花美穂先生も独特の外し方がある人です。「こどものおもちゃ」を読んでいる人ならわかると思います。「パートナー」は新たな挑戦をしている作品だと頭ではわかっていても、実際に自分の手持ちの手法を使わずに新たな試みをしていることを、読ませられると快感を感じます。
例えば、P351〜353は。その演出の仕方が上手いでしょう。苗が賢というセリフに反応する→ふたがはずれる(同時に萌のセリフがかぶる)→苗が落ちる→東条博士が振り返る→苗と東条の目があう→東条が侵入してきた箇所をみる(外す)
すごい外し方だと思ってしまいました。絵とか、ネームとかじゃなくて、画面の雰囲気の流れの中で緩急をつけている間をとるとは。

これからの展開が楽しみです。(どんな新しい手法を出してくるのかも)


◆もっとちょーだい!(あゆかわ華)
“キス=好き”という直通回路は平和でいいな。

陸がどこが魅力的なのかまったくわからない。客観的に見るともてそうではあるけど、陸に魅力がよくわからないので、彼女に感情移入しようという気になれません。
では、ストーリーを楽しめばいいのかと思えば、工夫がなくて面白くないし。
となると、ノリということになると思いますが、私は陸みたいなノリになれるほど若くない。
やっぱり、キャラが魅力的じゃないし、と
堂々巡り状態の作品です。


◆君にあろえ予報!(掛川なると)
「ペンギン☆ブラザーズ」のピンチヒッターの作品です。

第1印象は、男女の描き分けは出来ていないが、絵は上手い。(扉絵での判断ですが、かわいいなと感じる絵と、安定してないなと感じる絵が同じくらいの割合であったように感じます)
第2印象は、コマ割り&コマ構成はよくない。(ぐちゃぐちゃしてればいいってものではありません。コマ関係が上達すると、絵も相乗効果で急に上手くなっていきそうな感じはします)
第3印象は、ノリについていけない。(あゆかわ先生に重なる私が苦手なノリを感じました。絵も影響受けていますね)

あと、作者の突っ込みが外していたような気がします。P424の4コマ目ですが、照れ隠しでもここでするべきじゃないと思います。P430、441、450はわからなくもないですが、P434、445も引きました。P442の落ちはなんなのだろう・・・本編よりも実は気になっていたりするんだろうか。
読者にどのように読んで欲しいかは、作者はある程度演出する必要があると思います。マンガとしては、作者の突っ込みにあまり頼ることないのが、スマートでしょう。
ストーリーも盛り上がり不足で、読後感が「よくわからん」といった感じでした。


最後になりましたが、田辺真由美先生ご結婚おめでとうございます。
あと、りぼん新人漫画賞に種村有菜先生が審査員で入りましたね。しかし、ストーリー部門とギャグ&ショート部門とに分ける意味があるのだろうか?経費の節減ってわけでもなさそうだし。


-- Talk top ---- Log top --
--
← 4月号 ---- 6月号 → --

Presented by Eiko.