『りぼん』2001年1月号感想

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『りぼん』の発売日だった12月1日、コミック文庫編集部に、
太刀掛秀子先生単行本未収録作文庫化プロジェクトの署名を送付しました
このプロジェクトは、集英社を相手に、署名活動を行って希望を実現させようという、かなり気が遠くなるようなものです。でも、このためにHPを開設したくらいなので、絶対に諦めたりしませんが…

話はずれますが、『りぼん冬休みおたのしみ増刊号』を買う予定です。『りぼん』の関連誌は基本的には買わないのですが、“りぼん21世紀まんが名鑑”が気になるからです。誰が『りぼん』に所属しているのかということはきっちり把握しておきたいのです。
太刀掛秀子先生は本誌から、漫画界からいきなり消えました。私はその時から、漫画家とはいきなり消えたり、移ったりするものだと認識しているのです。

P184に「天使なんかじゃない」完全版の広告があります。これは『Cookie』編集部側が企画したものだと思われます。矢沢あい先生はカリスマ漫画家になられたので、このような企画があがったのでしょう。矢沢あい先生のように、『Cookie』で全面的に売り出すという方針が見える方はいいのですが、『Cookie』は本誌・増刊号含めて『りぼん』の中堅・ベテラン漫画家が多く出筆されているわりに、『Cookie』と『りぼん』との関係はやたら曖昧で、どちらの編集部の意図もまったく読めないというか感じで気持ち悪いです。

それに、『Cookie』にゲストで『りぼん』の漫画家が行ってもちっとも歓迎されない感じがします。『りぼん』から出て勝負するならまだしも、バックに『りぼん』がついているぞとかいう影をちらつかせせたりすると、発行部数が多いくらいで読者をなめてんのとか、私が『Cookie』の読者だったら感じるでしょう。(私は『りぼん』の読者だけれども、『りぼん』の読者もなめられているようでなんか嫌ですから。)

P64にRMCの広告に、『りぼん』出身で『ぶ〜け』に行かれて、今は『Cookie』で描いている園川由美先生のコミックスの紹介があります。MCでコミックスを出されているのに、わざわざ『りぼん』出身ということで、RMC Cookieシリーズで凱旋という状況なのでしょうか?矢沢・谷川・あいざわ先生のように『りぼん』色が濃い漫画家ではないし、タライ回しではという印象を受けました。
『りぼん』の漫画家が、移ってしまったのか、ゲストで出ているだけなのかという扱いが曖昧で、さらに、少数ならまだしも(池野恋・水沢めぐみ先生だけとか)、複数動いているので混乱してしてしまいます。

『りぼん』で活躍されていた漫画家に対して、何度か出版社の方(集英社の方からではありません。)からお問い合わせをいただいたことがあります(私が部外者なのを承知で)。同じ業界なのだから、直接集英社に問い合わせることも可能なはずなのにそれをしないのは、どこに問い合わせるべきか難しいということがあるように思います。(というのは、60年代とか、70年代後半に『りぼん』で活躍されていた方々への質問だったので。)
曖昧なのはすっきりしないので、その点も「Love Dream Smile」でスパッと整理できればと感じています。

今月号から新たな世紀を迎えているわけですが、『りぼん』では、過去の作品を振りかえることは一切していません。私はそれでいいと思っています。
しかし、『なかよし』編集部が、「「なかよし」ミステリー&ホラー傑作選」、「「なかよし」読みきり傑作選1976-1980」、「「なかよし」読みきり傑作選1981-1985」(いずれも講談社漫画文庫、全1巻)を出版しているのを知り、『りぼん』関係でもこのような企画があれば楽しいなと感じました。
この役目はコミック文庫編集部に期待しています。

今月号からリニューアルをした3つのコーナーについて触れておきます。
まず、情報コーナーが「スクープ!まんが情報」となりました。
1972年2月号から続いた「こちらまんが情報」が、1999年1月号から「それいけ!!まんが情報隊」に、2000年1月号から「それいけ!!まんが情報隊α」に、さらに今月号で「スクープ!まんが情報」と、情報コーナーはリニューアルを続けています。(名前だけはコロコロ変わってはいますが、「こちらまんが情報」のコンテンツの改革は93、4年以降から行われていました。)

「スクープ!まんが情報」という名前が示す通り、「こちらまんが情報」のコンテンツが少し戻りました。私が好きだった“テーマに沿って漫画家か答える”という形式のコーナーなのですが、期待したいところです。個人的には、新連載・読み切りに関しての漫画家のコメントも、インタビューよりもイラスト1枚でアピールするという感じにしてほしいのですが。

フリースタイルにすると文字のように型にはまらない漫画家の意外性のある部分を発見できて本当に面白いんです。インタビューも長めのものなら面白いですが、内部で(『りぼん』の編集者が質問しているわけでしょう)、お決まりの質問を並べられてもちっとも面白くないということに、「それいけ!!まんが情報隊」痛感しました。ここまで面白くないとは驚いたくらいです。戻したということは、イラストを見直す動きもあったのかもしれません。嬉しいことです。

読者コーナーの「キクゾーのぱおぱおサーカス」は、イラスト担当の漫画家が渡辺わかな先生から朝菜きり先生への変更となりました。
「キクゾーのぱおぱおサーカス」が嫌いとかそういう気はないですが(どちらかというと好意的です。1人1人にコメントをしていて熱心さが感じられる。)、1997年2月号から約4年も続いているし、漫画家も変更されることだし、
なんで担当編集者が変わらなかったのか不思議に思いました

以前、「みーやんのとんでもケチャップ」で、柊あおい先生からさくらももこ先生に交替がありました(1986年9月号)。しかし、これは「みーやんのとんでもケチャップ」が1985年4月号に始まったばかりでしたし、柊先生も「星の瞳のシルエット」で大ブレイクしていて当然って感じがしました。今回は、渡辺先生は『Cookie』など活躍の場を広げられているので交替もわかるのですが、読者コーナーは若手の編集者が受け持つパートですし、若手の編集者を育てる意味でも、ここで交替するのがいいように感じたのです。

「りぼん漫画スクール2001」は、漫画スクールの通号が1からのスタートとなりました。(予想が外れた。)○年○月号から第○回の漫画スクールなのかということは数えやすくなります。(データを整理していない人には無用のことですが。)
P451の質問コーナーの「りぼんは投稿者が多いからデビューしにくいって本当?」の問いに「過去には、ひと月に5人もデビューしたことがあるんですよ。」などと書いてありますが、これは違います。
まず、S・B賞があったときに同時にデビューが決定したという話であり、S・B賞は3ヶ月に1回再審査があって決まるものなので、ひと月という表現では正しくありません。次に5人という数字です。1998年6月号の第67回S・B賞で7人受賞(後にデビュー)という実績があります。
正解は7÷3=2.333…人です。
いい加減なこと教えないでほしいです。私は即座に2つの誤りに気づきましたが、ここに質問してくるようなりぼんっこは気づかないと思うから…(注)


◆時空異邦人KYOKO(種村有菜)

カラーを見て「神風怪盗ジャンヌ」だと思ってしまいました。響古とまろんはつくづく一緒ですね。ちなみに私は
「神風怪盗ジャンヌ」より、「時空異邦人KYOKO」の方が好きです
種村有菜先生の作品は突っ込んで楽しもうってノリはある程度の年齢の読者には必ずあるとは思うのですが、「時空異邦人KYOKO」はそれも意図されているのか突っ込みながら読んでも気が楽なのです。「神風怪盗ジャンヌ」では、本気?って感じで突っ込むのに疲れてしまう感じだったので。あと、「神風怪盗ジャンヌ」の世紀末の雰囲気とは反対に、「時空異邦人KYOKO」は雰囲気も明るく、エンターティメントしていますし。(あの世紀末のノリに私はついていけませんでした。種村先生自身が酔っている感じでしたし。)

ただ、読んでいると詰まる回数は本誌連載陣で1番多いように感じます。
これは、種村先生がアニメ絵だからです。
アニメ絵は、キャラクター同士の立ち位置や、目線に着目することは無意味です。しかし、私はマンガを読む際に無意識に空間を捉えようする性質があり(映画好きで、建築を学んでいるからこんな性質が身についたと思われます。)、分析してしまい、結構混乱してしまいます。

例えば、P17・18は場面転換のない部分なのです。P17の1コマ目に画面転換のコマをいれ、2コマ目の響古のアップに続いて、3コマ目にドアの前にいるということからキャラの場所(華蓮の家)を認識するのですが、P18の2コマ目でやっと外のドアの前にいたことがわかりました。お姫さまだし、家に上げてもてなすのが当然だと思っていたら、まさか外でやりとりしているとは。
P23も屋外なのか室内なのか不明だった部分。金のバラの園にいたはずが、勝手口から屋外へ。屋外から屋外って感じで疑問でした。

位置関係では、P26の2コマ目から3コマ目も、逆滝と氷月の位置関係が逆転しているし、P27へはどういう状況で移ったのかまったくわかりませんでした。
あと今月号のポイントだと思うのですが、P32の最後のコマの氷月。どこから響古とウィドシークを見ているのかわかないのが気になりました。単に入り口から意味ありげに見ているのでしょうか?響古は刃を向けられているというのに、それはないのではと感じでしまいました。

あと、P19の1コマ目に画面転換のコマが入って、2コマ目に室内への画面転換をしてこれは順調なのですが(3コマ目にアップ)、2コマ目のごちそうが、1コマ目の建物とのペンタッチの違いも気になりますし、何しろおいしそうに見えないのが気になりました。ただし、「神風怪盗ジャンヌ」でもまろんが稚空の父親と一緒に食事をするシーンで(2巻収録)、ごちそうがごちそうにさえ見えない状況だったのから思えば、ごちそうに見えるので上達されたのだなと感じましたが…

最後のP48は上手いなと思いました
種村先生はやたらと格好つけた言葉を使う傾向が「神風怪盗ジャンヌ」では見受けられましたが、「時空異邦人KYOKO」では減っているのも嬉しいところです。(格好いいと思えばいいのでしょうけど、思えなかったし。)
ネームのない終り方ってのはあるのですが、P47で響古は「歌でもうたうかっ」と歌い出しているので、実際には音がある状況をつくった上で、セリフ・オノマトペをなくし、黒塗りのバックで音を消したこと(読者が心理的に聴覚を奪われる)、響古が華蓮から目線を外すと平行して2人は手をつなぐ(読者の視点が可憐に移る&響古が華蓮に触覚をプラスし読者も心理的に2人につながっているような気分になる)、華蓮の顔のアップ(読者が華蓮の内面に入る)、最後黒塗りのベタで終わった(幕が下りる)という流れがカッコイイと感じました。

ちなみに、私はちょこらがかわいいとは思わないので、P34はふ〜んと思いました。表紙も逆滝とのツーショットとかの方がよかったです。気合いれて描いているキャラだし、狙っている部分もあるので、ちょこらって人気あるのかな〜と感じますけれど。(でも、逆滝&氷月の人気にはとても及ばないでしょうし。)
あと、華蓮って聞くと可憐(一条ゆかり「有閑倶楽部」)を思い出してしまいます…


◆GALS!(藤井みほな)

先月号からの流れ(蘭・乙幡・タツキチの三角関係の問題)から見事につながっていて楽しんで読むことができました。
ただ、P79の1コマ目と、P82の4コマ目のコピーには思いっきりひきました。汚いから単行本になるときには直してほしいですね。今月号はやたらと背景がきわどい部分がありましたが、台湾への取材旅行がひびいているのでしょうか。P76の2コマ目のコピーくらいなら許せるけれど…

P84にタツキチの「オトっちの方が蘭のコトよくわかってるよーな…」というセリフがありますが、少女マンガの法則では「相手を強く想い、理解した方が恋の勝利者となる」という法則があるのですが、それをマミリン(マミリンっていうのも、矢沢あい「天使なんかじゃない」を思い出してしまいます…)が、部分否定するのがスカッとしました。

あと、P99に蘭の「「好き」なんてハズすぎて言えるか〜〜〜っ!!!」ってというセリフがありますが、言葉で相手の想いを確認したがるのは、女の側の心理です。男女逆転しているわけで、蘭はヒロインでありながらヒーローでもある部分が、「GALS!」の強さなのだろうなと感じました。
照れながら「わたしはタツキチでいいんじゃなくて、タツキチがいいんだよ!」というところは、やっぱりヒロインって感じですし。

P83からP84へのタツキチの変身ぶりに笑いました。タツキチは初登場時と違って今の方が読者の情が増しているので、その点は強いですね。(乙幡はヒーローとして出てきたから、最初から高いので特別増したとかではない。)
P92の蘭の大きさと蘭の服装に驚きました。大きい&あまりにも寒いだろうと…人は腕は出してもある程度は平気だと思いますが、腹や足を出すと冷えるでしょう。スカートのボタンの外れ具合もすごいかも…

サル・ケーキ・手作りのクッキー・手編みのマフラーのネタもキレイに重なっていて、どれも効果的だったと思います。美由と大和の定番の流れも定番として楽しむことができました。
やはり今後の蘭・綾・乙幡・タツキチの動きがどうなるのか気になります。来月号は台湾なので、乙幡・タツキチは出てこないのかな…
ちなみに、「Love Dream Smile」は台湾方面からも見ていただいている方が結構いるようです。


◆ソラソラ(槙ようこ)

初連載で最終回がカラーで印刷もオフセットとは素晴らしいです。次の連載は巻頭カラーで始められると思います。
最終回の見所としては、写真を撮っていたのは空緒だったというのは誰でも想像できたので、あらすじよりまとめ方の部分だと思います。

面白さを感じたのは、2ヶ所。
まず、P125〜127。槙先生はアニメ絵ではないので(「時空異邦人KYOKO」の感想参照)、人物の位置関係を示すために、キャラクター同士の立ち位置や、目線を読者に意識させています。(コマの中に構図があるという表現の方が的確かもしれません。)

P125の2コマ目は空子からの視点になっています。それを“!”で表現しているわけで、次のP126の空子の驚いたアップに自然につながります。P127の“ム?”で空緒の関心か後ろに流れたことがわかって、結季に向いたことがわかります。ただし、写真がどこから出てきたんだということは説明がないのでやたら不自然。アップとロングの使い方が甘い感じがします。
P127の1コマ目では、空緒と、空緒越しの空子と結季の後ろ頭のカットですが、空子・結季共に空緒を見ていると感じられます。だから、P128で
2人の視線が改めてあって緊迫感があがって「どこ見てんだよ」とつながります。見事な外し方です。
「オレ あんたみたいな自己中女 大嫌い」の方が作品のキーワードになるため、文字も大きくなっていますが、私はこの「どこ見てんだよ」の方がすごく好きです。こういう緊張感の出し方ってセンスあるよなと感じます。

P129からはセカンドラウンドで今度は空子が啖呵を切るわけですが、なんかここで畳み掛けてほしくなかったと感じました。
この方がカッコよくはあるんですけれど、P124では「もう自分が何したらええか わからん どうしたらええかわからん」状態だったので、ついていけませんでした。P128の2・3コマ目の空子の心理面での変化が読み取れなかったからだと思います。P120の2コマ目の後の展開を遮らず見たかったように感じました。ここにいれた方がスマートなのはわかってはいるのですが。

もう一つは、P140〜144。
P140の2コマ目の「オレ空子んこと大好きなのに」は、空子の向いている方向とセリフの聞こえる方向が逆だという絶妙の構図で印象に残りました。しかし、視線の流れが1コマ目からすぐ下にいかず、1コマ目の横にある空白に流れてしまい、2コマ目の肝心な部分を最初全体で見ることができなかったのが残念に思いました。左から右へという変則的な読み方を意図していたとは思えませんし。(これは、マンガの文法に逆らう反則ですから。)
槙先生はコマ割りが複雑なだけで効果がよくわからず読みにくいという新人漫画家らしい部分もありますが、これはマンガをたくさん描いているうちに解消されていくと思います。
P141の手招きは、手というのはいろいろなエピソードを効果的に見せる小道具の一つとして重要だなと感じました。あと、P143の空子の涙は定番ですがおいしいですね。
P144の空ですが、「ソラソラ」というタイトルに象徴されるように、空をたくさん描いていますが、空の表現の仕方はもう少しバリエーションがあればよかったかなと思います。

楽しい最終回でした。


◆ペンギン☆ブラザーズ(椎名あゆみ)

話の展開は楽しいし、先の展開は読めないし、ヒロインは魅力的だし、まわりのキャラも面白いし、私にとって今最も安定して楽しめる作品の1つです。

P157の3コマ目で陽菜は襲われたと勘違いしますが、普通したら薬でも使ってない限り気がつくように思います…触れられとか、キスされたとかならわからないでしょうけど。まあ、少女マンガの定番ですが。
P160の「京茶?」には笑いました。普通の展開だと、襲おうと思ったら男の名前を言ったからやる気が失せたというのが定番なのですが、勘違いしてるっていうのが。

西崎の親戚が出てきましたが、陽菜以外のキャラクターの家族が今までに出てきたことはなかったので、注目したいです。今までの「ペンギン☆ブラザーズ」は学校ばかりが舞台でしたが、今後は外に広がっていくかもしれません。
夏海に関しては、P164の2コマ目の西崎の「もうただの親戚なんだからよ」というセリフが気になります。ただの親戚ではないということは、元恋人って線でしょうか。「もういいかげんおばさんに心配かけるのは…」の“おばさん”が“叔母さん”ならば、従姉ということになりますが、親戚で姉代わりというだけで西崎との関係が不明なのが気になります。

P165からの緊迫した場面の途中、P166下段からP167の上段までの抜きの入れ方がすごく上手いと思いました。単純なんだけれど笑えてしまうのが不思議です。これが、P168の下段からP169の2コマ目のスムーズな展開につながっていると思います。

先月号から今月号にかけて、西崎に親近感を持てたので、陽菜・一色・小柴・西崎それぞれの関係に同等に目が離せなくなって、盛り上がっているよなと感じます。
また、先月号では陽菜と西崎に焦点が当たっていたのですが、今月号は小柴と一色中心に後半は周っていて、キャラに向ける焦点も上手さを感じます。キャラ同士の関係に深みが増したとことろで、来月号からは新展開でしょうか。

「ペンギン☆ブラザーズ」は想像以上に面白くなって驚きです。
ただし、パソコンの絵はキツイ。あんなにごつくて大きいパソコンはないと思います…


◆世紀末のエンジェル(倉橋えりか)

なんだか本筋とは離れての新展開です。想像通り、2組のカップルに亀裂を走らせたいような展開となりました。
新展開は楽しめたのですが、どうにも主人公カップルに共感・憧れなどの感情が一切わかないので、辛さを感じます。

倉橋先生の絵が上手くはないのでは誰もがわかっていることだと思いますが、マンガは画力だけがすべてではなく、様々な総合力により決定されるので(最近ではマンガ力という言葉で表現されているみたいです。)そう問題を感じません。(先月号のように「有閑倶楽部」と一緒の構図のシーンがあったりすると辛いですが。)
私がむしろ気になるのは全体に流れる倉橋先生のセンスなのです。

「世紀末のエンジェル」には、全体的にダサさを感じるんです。私は『りぼん』にセンスのよさを求めているわけではありませんが、適度なセンスのよさはほしいのです。
例えば、P189の下段の鈴花・P190の2コマ目の雅・P190の3コマ目の今野・P191の1コマ目の雅・P196の3コマ目の今野ですが、ポーズ(手の形)がどれも一緒で、かつなんとも形容できないダサさを感じます。
また、P189の上段の鈴花・P190の3コマ目の雅・P203の5コマ目の今野・P208の1コマ目の今野・P211の1コマ目の今野ですが、あごに手を当てるというポーズをとっています。これは考え中ということを意味する記号です。
倉橋先生は、こういうポーズをとっているときにはこういう状態を表すことを示していますという記号を多用する傾向にあるのです。

マンガを読み慣れないりぼんっこには記号による表現は読み取るのが楽かもしれませんが、あくまでも記号による処理なので、融通が利かない雰囲気・硬さ・ダサさのイメージを私は受けてしまいます。
少女マンガは、キャラの細かい心理描写を柔軟に表現していくところに面白さを感じる部分もあるので、青年マンガの「賭博黙示録カイジ」のような記号の連続による作品はなかなか受け入れにくいものだと思います。

主人公カップルに共感できないというのは当然、P192〜197。
私は鈴花のように「他の子からもらった物と重なったりしたら困るし」(P192の4コマ目)などと嫌みは言いませんし(これが嫌みのつもりではないというところが驚く)、「…だっ…だって…いえないよっそんなの…超ワガママじゃんっ…」などと言って泣きませんし。
これで、鈴花がかわいく見えて、今野が格好よく見えたら作品の見方が変わるのでしょうが。
私は、P194で階段の途中でキスしたのに、P197で階段の下にいつのまにやらいるということの方に注目してしまいました…

池野恋先生の「ときめきトゥナイト」の第20巻に同じようなカップルの会話があります。

なるみ:(鈴世くんを好きな人はいっぱいいて“みんなの鈴世くん”なのだからあたしがひとりじめしちゃ ほんとはいけないんだよね……)
<中略>
鈴世:……ぼくは きみだけのぼくだから
なるみ:(えっ)
鈴世:“ひとりじめ”のほうがいいんだけどな
なるみ:(リッ鈴世くん!?)さっきのきいてたの〜〜?//////
鈴世:好きだよ
なるみ:(鈴世くん……)あっあたし あたしも鈴世くんが好き(顔から火が出ちゃう!)やっぱりひとりじめしたい!(でも正直な気持ちだもの)
鈴世:ありがとう

()内は内面の言葉です。鈴世はなるみの心が読めるという設定です。
このセリフの裏には様々な背景があります。鈴世がアイドルに好かれたり、第1部のヒーロー真壁くんとの対比(真壁くんは想いを口には出さない照れ屋なタイプで、鈴世は正反対ということ)とか。池野恋先生は絵のセンスがあったとかいう方ありませんが、王道系のエピソードを工夫して組み合わせて、作品の中に取り入れることが上手い方だと思います。
鈴花と今野の会話にはそれが感じられないんですよね…

悦の約束をお見合いですっぽかすというのは「九太郎がやってきた!」(浦川まさる、RMC全3巻)を思い出しました。倉橋先生がデビューされたのは1988年ですから、同時期に『りぼん』で連載されていた「九太郎がやってきた!」に影響されるのは当然かもしれません。私も大好きなエピソードです。(まあ、許婚とかお見合いとか少女マンガには多いのですが、「九太郎がやってきた!」が一番近いでしょうってことで…)


◆グットモーニング・コール(高須賀由枝)

こちらも新展開です。また新キャラの登場ということですが、なんかどうでもいい感じ…

高須賀先生は、ストーリーを除いて、絵もコマ割りも構図もすべて「グットモーニング・コール」を始める前とは比較にならないほど上達されているとは思います。でも、私は「グットモーニング・コール」に飽きました。
まず、菜緒が好きになれない。(っていうかむしろ嫌い。私は向上心のないキャラは苦手なんです。)あと、ストーリーがとてもツライ…ヤオイじゃないけれど、ヤマナシ・オチナシ・イミナシというストーリーだと感じてしまいます。

2・3月号連続の全プレにはまた菜緒ちゃんグッツがつきます。まだ続くのかって気分でした。高須賀先生の違う連載作品を読みたいです。


◆ランダム・ウォーク(吉住渉)

吉住先生らしく計算されつくしているような印象を受けますが、非常に読みやすいです。
連載が始まった当初はダラダラした感じを受けましたが、2000年10月号の望のキスシーンから優架の“ランダム・ウォーク”が始まって、作品が一気に引き締まりました。
相変わらず、ストーリー構成、コマ構成、絵、コマ割り、ネームなどすべてのバランスが整っています。そして、何よりも『りぼん』では一途なヒロインが常識だというのに、その常識に真っ向から立ち向っているのが楽しい部分です。

本筋とは関係ないのですが、私は以前から「ランダム・ウォーク」の“感想を聞かせて!!”という柱がすごく気になっています。(P282)
各作品には必ず柱に、にがお絵orイラストの募集と、漫画家へのファンレターの受け付けがついています。
しかし、「ランダム・ウォーク」の連載開始号から「ランダム・ウォーク」だけに、この柱が登場しました。なぜ連載開始から半年も経った今取り上げるかというと、今月号から「世紀末のエンジェル」にも同様の柱(P203)が出現したからです。これは、何かあると勘ぐってしまいます。

担当編集者はアンケートの順位は知っていますが、自分が受け持っている作品の感想も知りたいのではないかと感じます。だから、漫画家のファンレターを私は編集者も読むものだと思っていますが、感想を個別に募集することで、編集者がファンレターを見ることなしに感想を知ることができますし、読者に感想を書くように積極的に促したりできるような気がします。今後の展開が気になるコーナーです。

面白かったシーンは、P281〜282の塔子と桂の会話です。塔子と桂は読者の天使と悪魔という感じで、対比されているように思います。
優架は『りぼん』で新しいことにチャレンジしているキャラなので、自然に読者に優架に共感させるということはできません。そこで、優架・塔子・桂の3人の会話の中で、自然に優架の行動に突っ込みをいれつつ、説明し、読者にとってわかりやすく、共感できるように仕向けているように感じます。上手いです。

あと、終り方が2000年8月号のキスシーンと一緒だったのが気になりました。
連載開始2ヶ月でのキスシーンで、かつキスから始まるということだったのですが、今回も海斗がメインに出て来てから2ヶ月で、キスシーンで締めたからです。これは同じことが今後も繰り返されるというサインなのかどうなのか…


◆Wピンチ!!(亜月亮)

亜月亮先生、デビュー7周年おめでとうございます!
『りぼん』本誌の漫画家歴平均は、7.8歳ということで、まだまだ若手の気分だと思いますが、来年は平均を超えるかもしれません。漫画家としての貫禄や安定感がもっと出て来てくれることを期待します。

私は「Wピンチ!!が好きです。確かに文句はいろいろとある。
絵では、目が大きいとか、動きが堅いとか、話では、マンネリだとか、ギャグが寒いとか(それを狙っている気もする)、細かく指摘しだしたら止まらないのですが、好意的なのです。今月号はカラーでよかったよ…とか心配してしまいます。
私はこの手のマンガが好きです。
B級でいいじゃんってノリの作品。浦川まさる先生に始まるこの流れは、優等生な雑誌の『りぼん』にあって、優等生っぽくなくて突き抜けている感じで、やっぱりあってほしいよなと感じます。

先月号は、暁名がありさのことを好きだと自覚しかけて、今月号はアリサのことをという展開も想像通りではありますが、楽しみました。(新キャラの錦琴若も。)
P332の猪神の「両方とも好きだなんて僕は認めないからね!!」は意外な感じがしましたし。ありさとアリサの間でふらついているのは確かですが、両方とも好きだからという考えは私はうけなかったので。
猪神の好きな相手はわかりましたが(アリサということで)、彼の過去はまだわからないし、ありさ&アリサの2重人格は今後どうなってしまうかもクライマックスに向けて気になるところです。


◆偽りのライオン(朝比奈ゆうや)

チャッチフレーズが「クールにキメる・ラブパワー」(P337)とありますが、朝比奈先生の作品はクールよりもストレートという感じを受けます。スパッとしているし、飾りっけがないからです。

朝比奈ゆうや先生が、なぜ人気があるのかというと、りぼんっこがしたい等身大の恋愛が描かれているからだと思います。朝比奈先生の男の子のキャラに憧れる娘が多いのもその結果だと思いますし。(槙ようこ先生のファンにはこういった現象は私は感じません。空子のようになりたいとかいう娘は多いようですが。)
ちなみに、私が普通のりぼんっこと何が違うかというと、『りぼん』歴の長さではなく、恋愛経験だと思っているので、別段憧れたりできないので、そこが朝比奈先生の作品を読む上で一番辛いところかなと思っています。

自分が好きになった人に好きな人がいると知り、ヒロインがした行動というのが、“言いふらすという嫌がらせをして詳しい事情を聞き出す”という今月号の展開に、私はとても驚きました。
本当に好きなのかを確認するまではするかなと思いますし、事情を聞き出したい気持ちもわかりますが、方法がなんというかあまりにもストレートで子供っぽいというか、私には考えもつかないことだったのです。

好きになった人に好きな人がいるらしいなどというエピソードは少女マンガではよくあるのですが(私は「天使なんかじゃない」が印象的でした。)、いろいろなエピソードを加えつつ、じっくりと浮き彫りにしていくのが普通の手法なのに(現実にそうする人が多いと思います。)、それを1日後に“嫌がらせ”を行って、事情を聞き出そうななどとは、あまりの速攻さで驚きました。

朝比奈先生は会話のテンポを大切にしている作家なので、会話による駆け引きで作品により旨みを引き出させるために出てきたエピソードなのかもしれません。
P353〜P355までの中原とレオの会話はよかったので、このエピソードも成功かなと感じます。そのため、P356〜P363はどうなるんだという思いで読むことができました。

今後の展開としては、思い違いの部分をどのように効果的にばらすかと、クローバーのエピソードをどのように絡めていくかの2点です。クローバーは忘れた頃にならないと4つ葉にならないので、多少の時間経過が必要な部分があるので、その点の絡みとか。

不安定な部分はたくさんあるのですが(絵もネームも)、全体として初連載の「近距離恋愛」よりも面白さを感じるようにはなりました。


◆えみゅらんぷ(藤田まぐろ)

藤井まぐろ先生の作品は、「ケロケロちゃいむ」「ティンクル★ティアラ」は、面白さは感じませんでしたが、「ねりんぐプロジェクト」以降楽しんで読めています。

今月号は、絵美に心境の変化が起るまでが丁寧に描かれていて、それそれのキャラの魅力も性格もわかりやすくて楽しめました。子供&男性の読者向けって感じで、感情移入はできませんけれど、ほのぼのとしていていい作品だと思います。


◆おてなみ拝見!(西野りんご)

西野先生の本誌への登場は、1996年10月号(3作目)、1997年8月号(5作目)以来の3回目ということで、久々の登場です。私は本誌に2回目に載ったとき以来、西野先生の作品を読んでいなかったので、すっかり忘れていました。そこで、「おてなみ拝見!」を読み返した後に前の本誌に載った2作を読み返したりしました。

さて、「おてなみ拝見!」ですが、面白くなかったです
絵は、キャラクターの顔はかわいいのですが、作品全体を包む雰囲気(キャラの髪型・服装・背景etc.)を表現されてはいない印象を受けました。私は、特に男女共に髪型に違和感を感じました。(現代と一緒なの)世界観を自分自身で構築しちゃうとかどっちかにしてほしかったです。
マンガやアニメからの借り物のイメージで、江戸時代?を描いているような印象で、実際の江戸時代を調べて、自分で消化して自分の世界のものとして表現していくという努力も感じられませんでした。

ストーリーは、何故くれはが捕り物の真似事をしているのかその背景がよくわからなかったのをはじめ、個々のキャラが浮き立ってくるようなエピソードもなく、これもどこかで読んだようなキャラを並べている印象を受けました。

さらには、絵とストーリーのイメージが合っていないように感じられました。線が細いキャラの捕り物ではお遊びって感じでしたし、アクションシーンも盛り上がりに欠けました。
絵は下手であっても、漫画家独自の世界観を持ち、その世界観の中に合う雰囲気の絵柄であればいいものなのです。
以前の作品を見たときには、絵は今回に比べたら全然未熟さがありますが、自身の絵柄に合ったストーリーを描いていたように感じました。描きたいストーリーに絵を合わせるか、描きたい絵柄にストーリーを合わせるかしてほしいです。

江戸時代の捕り物ということだったら、「流星お恋 捕物控」(本田恵子「虹と真珠たちへ」第6巻収録、MC)が、とても面白いのでオススメです。


(注)
紫弦さんから以下のようなコメントをいただきました。

えいこさんは『実績』が98年6月号(第67回)のことと解釈なさったようですが、私は1997年12月号(第65回)のことだと思います。
この月は、佳作受賞者が5人、また10月のスクールで佳作を受賞、このとき既に秋のびっくり増刊でデビュー済の春野ゆきなさんを合わせてS・B賞は6本でした。
ですから、「5人」が12月号で佳作、同時にS・B賞でデビュー確定、なので「ひと月で5人デビュー」は間違いではないと思うのですが。(佳田朋弥・大野のぞみ・浅月舞・いなみ海里・水野たま先生です)

ということで、質問の答えは誤りではなかったようです。私はデビューは佳作受賞ではなく、S・B賞だと思っていたので勘違いしました。(現に前はそうだったわけですが)申し訳ありません。

話がずれるのですが、これは元々「りぼんは投稿者が多いからデビューしにくいって本当?」という質問への答えなのですが、ひと月でたくさんデビューしたという事実が答えにつながっているのでしょうか?
確かに「すばらしい投稿作が多ければ、何作でもデビューしていただきたいと思っています。」というのは本心にちがいありませんけれど、そんなことは当り前ではないでしょうか。(何作でもという表現は多少気になります。何人でもと言ってほしい。)
質問の意図はもっと素朴で一般的なことを聞きたいように思えます。
りぼん新人漫画賞の方のデータから推察ですが、
りぼんと新人漫画家の関係で指摘したように、応募数が増加していた時期には、デビュー率は下がるのではなく反対に上昇していたという事実があります。
「そんなことはありません。」という答えは正しいのですが、私にはこの方がストレートな答えのような気がします。スマートではないですけれどね…


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