『りぼんオリジナル』2000年10月号感想

珍しいことに、『りぼんオリジナル』を買いました。
私は『りぼん』を17年間以上買いつづけていますが、小学生の時から『りぼん』関連誌はほとんど買ったことはありません。今回『りぼんオリジナル』を買ったのは、別にお目当ての作品があったというわけではなく、
偶然です

何気なく本屋でマンガ雑誌コーナーをうろいろしていたら、『CUTiE COMIC』の横に、表紙が矢沢あい先生の『Zipper COMIC』の創刊号を見つました。“CUTiE・FEEL YOUNG系女流作家(おしゃれ系作家)”の中に、矢沢あい先生の名前があるのにショックを受けました。普通は、『Zipper COMIC』を買うべきなのでしょうけど、私はこの系統の作品をとても雑誌で読みたいとは思いません。そんなときに、『りぼんオリジナル』が見えたので、久しぶりだしいう感じで買ってきたという、意味不明の理由です。
矢沢あい先生は、最近の作品に不満がないわけではないのですが、平均的にレベルの高い作品を描かれる方ですから、いい作品とどうでもいい作品が混じる(同じ作家でも作品に差があるように思います)CUTiE・FEEL YOUNG系の分野にあっては、当然レベルは高く、人気はある程度出ることは間違いないでしょうが、ブレイク後のやや勢いが下降気味の分野のように思えるので(だから、新鮮力の投入なのかもしれない…)この前、『anan COMIC』とかいう雑誌が創刊されたと思ったら失敗していたということの二の舞にならないでほしいものです。

『りぼんオリジナル』の話に移ります。
『りぼんオリジナル』って『りぼん』と比較すると
値段が高いように思えます。
ふろくもなくて、言い方が悪いけれど、人気作家も少なくて、380円もするのですから。お目当ての大好きな作家がいる人ではないと買う気がしないのではないか、と思ってしまいました。

表紙も『りぼんオリジナル』とは関係ない「時空異邦人KYOKO」で、本誌におんぶにだっこで、プレゼントを見たら完全に漫画家志望の読者ねらいって感じでした。
私は漫画は描きませんが、製図はしていたので、持っている道具がいろいろありました。羽ではないけど消しゴムのカスを払うホウキ、水彩画セット、少しですがスクリーントーン、雲形定規、水彩色鉛筆etc. 製図をしない身分となった今ではもったいないですね。漫画を描くために専用に作られた商品など以前はなかったですからね。製図の分野のものが使われるのは当然かもしれません。

私は、漫画家志望の読者は『りぼん』に最も甘いと思っています。普通の読者は『りぼん』に厳しいですし、漫画家も厳しさを痛感しながら描いていらっしゃるでしょうけれど、漫画家志望(新人漫画家もプロ意識が出来てないので甘さはあると思いますが)は『りぼん』に甘い人が比較的多いように感じます。彼女らは、『りぼん』を熱心に応援する人達でもあり、なんだか餌食にされているように見えました。

ぬるま湯に浸かっていると感じたのは、作品一つ一つのレベルが低いからというわけではありません。作品と作品の間に流れる緊迫感がないからです。枠をただ埋めているだけという印象を受けました。
本誌のそれぞれの作品の間には、言葉には言い表せない緊迫感があります。本誌を読む楽しみとして、1つ1つの作品を楽しむだけでなくそれを比較する楽しみがあります。連載作品は常に他の作品と比較されているものなので、カラーの有無、掲載位置、ふろくの扱いなどから、読者はそれぞれの作品の関係を読み取り楽しむのです。

今回の『りぼんオリジナル』では、似たような作風の作品の重なりが目立ちました。
別冊ふろくの組み合わせ「聖・ドラゴンガール」(松本夏実)・「熱愛発覚!」(井上多美子)、猫がモチーフになっている「月明かりの散歩道」(香村陽子)・「ちゃらでいず」(清水ゆーり)、素直な自分が出せない娘がヒロインの「黄金ハニー」(滝田ミナ)・「プライマル・オレンジ」(酒井まゆ)。
バラエティに富んだ作品を並べて、1つ1つの作品の個性を出していくのは雑誌として当然のことのように思うのですが、本誌では当然されていることも、関連誌になると発行部数と一緒で気力5分の1って感じがしてしまいました。
漫画家のバランス(ベテラン・中堅・新人とか、作家の注目度のバランスetc.)は、かなり計算されているように思いましたが、作品間の面白さがなければ、単行本で作品を読んだ方が読者としては楽しいものなのです。『りぼんオリジナル』は、読み切り作品なので難しいところがあるとは思いますが、雑誌を買わせたいならば、作風の面で面白さが出せるような
雑誌構成を工夫するべきではないかと感じました。

本誌と同様に前から順番に読んでいきました。


◆桃天娘。(芳原のぞみ)
芳原先生の本誌連載の行方がかかっている作品(
2000年10月号感想「もっとちょーだい」参照)ということで期待・注目したのですが、これは当分は、本誌連載は無理かと思いました。
「5−ファイブ−」のとよりもパワーダウンしているという感じさえしました。

できる姉と似ていない妹という設定からしてありがちでした。姉はロングで、妹はショートとか、姉と同じ人を好きになるという設定は「姫ちゃんのリボン」(水沢めぐみ)でしょうし、頭の出来を比較されて先生に愚痴を言われ、家庭教師をつける展開は「マインド・ゲーム」(椎名あゆみ)でしょうし…
作品の入り方は「マインドゲーム」と一緒だと思ったわけですが、次に
キャラの名前が変だと思いました。水柳ヒカル、天堂桃というのは作品の雰囲気にあっていないと思います。作風に合えばいいのでしょうけれど、ただの学園ラブコメでは無意味に凝った名前ではなく、何気ないけれどキレイな名前というのが、センスがある人の名前の付け方なのではないでしょうか?

芳原先生の作品は、漫画のストーリーを超えられていないような気がします。(あまりにも王道だったり、不自然だったり…)読者は漫画に自分を重ね、ただの漫画(虚構の世界)を超えるものを作品から読み取るものです。
芳原先生の作品は、読者を作品に引き込む力が弱いのです。だから、絵は綺麗なのに、
読者を引き込もうとする貪欲さを感じなくて、さらっと流して終わってしまうのです。

細かく作品を見ていくと、設定は触れた通りですが、その後のでのヒカルと天堂のやり取り(P12)は、テキスト王よくありがちな、読み切り少女漫画のパターン)という文章で指摘されているそのままで、最後は「そのままの君が好き」(少女マンガにありがちなパターン参照)でした。
P14の女の子のセリフにしても、こんなことを本人に面と向っていう娘がどこにいるというのでしょう。親友だったら言うわけありません。P26〜27の教師の会話もおかしい。今のご時世、こんなことを生徒に面と向っていう教師がいるとは思えません。
P32で、天堂のセリフでヒカルの内面が描かれているのですが、いきなりという感じがしました。芳原先生はエピソードの積み重ねが弱いところがあるわけですが、こういう感動させる(読者を引き込む)部分に淡泊さを感じてしまいます。P16のヒカルの内面描写を煮詰めて、出来のよい姉と比較されるエピソードで象徴的なものをつくったりして、P32でそれを重ねて読者を引き込む工夫をするべきだと思いました。
P34の「心のトゲがはがれ落ちていくかんじ」って、自分で自分を諦めていただけで、トゲなんか表現されてなかったので、「なんでトゲなわけ?」と矛盾を感じ、とってつけたようなネームに思えました。
P47のラブレター「マエカラ オマエ ニ ヒカレテタ ヘントウ マツ」も、「前からっていつからだよ」と思ってしまいました。

1999年秋の号『プ〜タオ』P28で、一条ゆかり先生のこんなコメントがあります。

「(略)だいたい何もしないで『そのままの君が好きだよ』なんてことありえるわけないじゃない!主人公である、というだけで愛されるなんて、それこそ理不尽でしょう」
女たるもの愛されるために努力するべき、と言い切る。

ヒロインであるというだけで、「前から」(P48)「あたしを見てくれて」(P49)という展開には、ちょっとな〜と思わずにはいられませんでした。「あたしはあたし それで頑張っていけばいいのに…」というセリフだけでなく、実際に頑張って天堂を捕まえるくらいはしてくれないと、あまりにも甘いでしょうと感じました。
私は比較的努力を惜しまないタイプなので、受け身のヒロインには共感しにくいという要因もあるのですが…

作品としてのまとまりはありますし、絵は相変わらず上手く、コマ割り・構成も読みやすく、ほんとにストーリーだけって感じがするので残念です。次回作では一周り成長した芳原先生の作品に出会えることを期待します。


◆Super HERO’s 夏(長谷川潤)
最初に読んだ時に、長谷川先生らしい良さがある作品だなと思いましたが、『りぼんオリジナル』を全部読んだ後に、この号は
この作品で繋ぎ止められているものがあるなと感じました。
『りぼんオリジナル』では毎号、本誌に連載してもおかしくないベテランクラスの漫画家が描かれますが、やはり必要な位置ですね。

「きゃらめる・ロリポップ」のときには、乙女ちっくとギャグのバランスがいまいちしっくり来なかったのですが、「Super HERO’s夏」ではかみ合っていて、強引な展開に驚きつつ、思いっきり楽しませてもらいました。タイトルの“HERO’s”という部分に、「あぶない・パラダイス」のHIRO’sと重ねているでしょうと突っ込んだり。
完成度が高い作品だと思いました。長谷川先生の課題は、「きゃらめる・ロリポップ」のような乙女ちっく色の高い作品と完成された感じのするギャグ部分との組み合わせをどうしていくかというところにあるのではないかと思います。新人時代にあったような、バリバリの乙女ちっく作品を、今の長谷川先生のパワーで読んでみたいものです。

長谷川先生は、今後『りぼん』から出てかれることがあるのでしょうか?作風的に『Cookie』・『クリムゾン』・『コーラス』も難しいと感じるので、『りぼん』で粘るのが妥当という感じがしますけれど、キャリア的には結構、微妙な立場にいらっしゃるような感じがします。私は、長谷川先生の本誌連載を読みたいと思っています。新人プッシュの間にでも、ベテラン中堅どころの連載を挿んで息抜きさせてほしいです。(『りぼん』の方針はわかっているつもりだし、新人の連載は好きなのですが、立て続けだと肩の力が入ってとてもつかれます。)


◆いつもそこに君に(松乃美佳)
私は松乃美佳先生の作品があまり好きではありません。常に1歩ひいて作品を分析してしまいます。(
2000年2月号感想「愛MYピープル」参照
「いつもそこに君に」は、今まで読んだ松乃先生の作品と、
作風・絵柄ともかなり違っていたので驚きました。感動路線を磨いていくのもいいですが、新人なのですからいろいろな作風に挑戦しようとする姿勢は大切だと思うので、好感を持ちました。

さて、作品の方ですが、やはりヒロインは好きになれないタイプでした。感情移入しにくいというか、できないヒロインでした。ヒカルと一緒でまったく努力せずに、ひたすらに好かれて両想い…女としてずる過ぎると思わずにはいられないのです。
私も友達だと思っていた人に告白されたことがありまりますし、告白前にいきなりキスされたもありますけど、実体験があるから感情移入できる場合もありますし、今回のようにできない場合もあるわけです。
私はライバルの前田さんの方がサッパリしていて感情移入しやすかったです。

絵柄は以前よりもかなり上手くなって、華やかさが出て驚きました。キャラが高校生には見えない点、キャラのアップがブリッコ調の表情になる点、アップが多い点は気になりましたけれど、大切なシーンをここぞと魅せようとしているので作品にメリハリを感じました。


◆月明かりの散歩道(香村陽子)
表紙に「猫を探して優映と朔海の一夜の冒険が始まる…。」とあるのですが、私も優映と朔海と一緒にワクワクしながら
冒険を楽しむことができました

朔海というキャラが不思議な魅力を持った少年に描けていたので、モチーフのアイデアとしては作中で突っ込みが入っていますが、「ねこ・ねこ・幻想曲」(高田エミ)であり、さらには「綿の国星」(大島弓子)なわけですが、落ちもキレイにきまりましたし、新鮮に楽しむことができました。

ストーリーは楽しめたのですが、欲を言えば、見せ方に工夫がほしいと感じました。
見せ方の部分は、例えば、P188に後ろから抱きしめた後、P189では2人で何故か向かい合ってしまっています。朔海が首輪を拾いに行って、呆然とする優映がその間にあるわけですが、P188の3コマ目からはそれを感じることは出来ません。P189の3コマ目に「これ以上 目を背け続けるのは ムリ………」とあります。優映の視線に読者は注目すべきようですが、私はそんなことには一切注目してなどいませんでしたから。


◆熱愛発覚!(井上多美子)
元が面白くないと思った作品の続編が面白いわけないんですよね…(2000年9月号感想「おでかけサンデー」参照)私には、感情移入できるとか、できないとかの前段階で、年齢的に辛すぎる作品でした。


◆プライマル・オレンジ(酒井まゆ)
やたらと編集側がプッシュしている新人らしいというのが作品を読む前の印象で、作品を読んだ後にはプッシュしたい気持ちはわかるけど…という印象を受けました。

2000年9月号の「プライマル・オレンジ」の批評と重ねられる部分は、批評を引用しつつ感想を比較して書きたいと思います。
「絵、話ともに高いレベルの完成された作品」というのは、まさにその通りでした。プッシュしたい気持ちがよくわかります。
「欲を言えば、なぜアリスが冷めているのか、その原因を描いていればよりよかったかもしれません。」“欲を言えば”というソフトな表現になっていますけれど、重要な部分だったと思います。私はよく“エピソードの積み重ね”と表現しますが、批評で触れられているように、ストーリーの奥行きにも関わってきますし、批評では宙が魅力的だったと書かれてありますが、つまりはアリスは魅力に欠けたわけです。何だか正体不明のヒロインだなと感じてしまいました。

「気持ちがわかるけれど…」と思ったのは、酒井先生のオリジナリティーがわからなかったからです。
絵の完成度は高いですが、小花美穂先生や、種村有菜先生の影響がかなり強く感じました。
ストーリーは、「ゴキゲン女王SUMMER」(おおいま奏都)、「POCHI」(小花美穂)、「ゴキゲン女王SUMMER」の感想の時にも挙げましたが、「君におくるエール」(あいざわ遥)、「バラ色の明日」(いくえみ綾)など、よくある系統の作品です。私はこの系統の作品が好きですが、これだけ作品が多いと、デビュー作と比較するのは酷だと思うのですが、新人作家の作品など入り込む余地がないわけです。

『りぼん』での先を見据えるならば、個性をねじり出さないといけません。『りぼん』で駄目で、他誌で成功する作家も大勢いらっしゃいますが、『りぼん』に合わないといえるくらいの個性がある作家であることが多いです。
多少下手でも個性がある作家の方が、今後前を向いて伸びるだけなので、大変だけれどもわかりやすい思うのですが、完成度が高いわりに個性がない作家というのは、非常に危険なことではないかと感じました。
個性を作り出すために、完成したものを壊さないといけない部分があるかもしれない。新人漫画家には、折角デビューまでこぎつけた完成度を壊すのはかなり酷すぎます。

今のままでは、レベルが高い新人というだけで、それなりのところまでしか行けないと思いました。完成度ではなく、個性を武器にできる漫画家でないと『りぼん』では超えられない壁が多いです。最近、ブレイクしている新人漫画家、朝比奈ゆうや・槙ようこ先生の作品は、完成度はないけれど、個性はあると思います。ベテランになったら、自然に完成度などついていくものだと思うので、新人はフレッシュさ(オリジナリティー)で勝負してほしいものです。


◆聖・ドラゴンガール(松本夏実)
作品の世界観はまとまっているのですが、
ありがちなストーリーで盛り上がりに欠けました。別冊ふろくでの、丁寧な作りに比べると、なんでこんなネームを通したのかなと思ってしまいました。

2000年9月号の別冊ふろくでしか、私はこのシリーズを読んだことしかありません。読後に、「これまでのお話」を読んだのですが、おらすじに書かれてあるストーリーの方が、本編よりも面白そうだと感じました。(キスしているのに2人の関係に進展がないというのはおかしくて。それ以上の関係か、熱い告白でも望んでいるのかなと、あらすじに突っ込みをいれてしまいました…)

ありがちなストーリーというのは、

  1. 学園祭で劇をやる(勇者だけが剣を抜けるという寸劇の内容)
  2. アンケートで上位入ると特典(ハプニングはあるけれど、結果としては上位になって安泰)
  3. すれ違って好きな人と学園祭を周れない(けれど、最後にはラブラブ)

この手のストーリー展開は定番で、次の展開が無意識に読めるので、作品に夢中になることはありませんでした。
学園祭で劇というのは少女マンガの定番です。白雪姫・眠りの森の美女・ロミオとジュリエットが人気演目で、そのまま演じるよりも、ストーリーをみんなが知っているということが前提となっているので、アレンジを変えたり、ハプニングを起したりして、ストーリー展開に織り交ぜるのが普通です。今回の寸劇のストーリーは少女マンガの定番とはいえませんが、よくある系(ディズニー調というか)です。少女マンガではないですが、宝塚宙組「エクスカリバー」を例に挙げておきます。
1〜3まですべて重なっている最近の作品は「Wジュリエット」(絵夢羅、HC)。「彼氏彼女の事情」(津田雅美、HC)は、ラブラブの反対になりました。
『りぼん』で、元気がいい少女と落ち着いた美少年という設定の話は
「いるかちゃんヨロシク」(浦川まさる、RMC)という傑作があります。

「聖・ドラゴンガール」で改善してほしい点は、サブキャラの魅力があまり感じられないことです。桃花と竜牙の魅力は伝わっていくるのですが、シリーズものとなると、メインで関わるゲストキャラの扱いも大切ですけれど、2人を盛り立てるレギュラーのサブキャラの魅力も重要になっていきます。読者はシリーズものに、定番の落ちを期待する部分があります。メインの2人以外にその落ちへの流れを作り出すサブキャラを出していかないと、どうしてもストーリーが単調になってしまうよように感じられます。今回のアゲハは、あまりにも弱いわけです。

2000年11月号掲載の「聖・ドラゴンガール」では、竜牙の婚約者なるキャラがゲストで出てくるようです。婚約者を強引に出てくるのも、少女マンガならではの定番です。今回のように定番の展開にはならないようにしてほしいものです。
そういえば、「いるかちゃんヨロシク」でも一緒のエピソードがありましたけれど、同じようなキャラ設定だったらどうしよう。。。


◆黄金ハニー(滝田ミナ)
絵を最初に見た時に上手いけれど特徴がないなと思ったのですが、P365、1コマ目のギャグシーンで亜月亮先生に似ていると気がつきました。亜月先生のアシスタントをしていらっしゃるようですね。(2000年5月号、P180より)酒井先生しかりなんですけれど、絵柄の面でもう少しオリジナリティーがほしいところです。亜月先生の絵柄はそんなに特徴的ではないので、酒井先生よりは影響を感じなかったのは、不幸中の幸いと感じました…

問題のギャグシーンは、作品から浮いていてマイナスにしか思えませんでした。(P377の1コマ目も同様)亜月先生のように作品に取り込まれているようには読めません。その前のカセットテープのエピソードをはじめ、ヒメが南にひかれていいくエピソード一つ一つには、楽しい雰囲気が伝わってきて楽しませてもらったので、とても残念です。

ヒロインのヒメは最初は読者からはとっつきにくいキャラなのですが(外見も金髪で、自己中で、意味不明にプライドが高くて)、作品が進んでいくと、ヒメのキャラクター像が1つ1つのエピソードから親しみやすいものに変わってきて(私は単純なので、最初はとっつきにくいキャラが、反対に親しみやすくなると反動で最初から親しみやすいよりも気に入ってしまうという効果もあったかもしれません。)、同時に南の魅力も伝わってきたので(P366の“努力家”、P370の“アブナイ”、“「スゴイ」っていうと思ったのに”の流れが印象に残りました。)、P385からの最後の盛り上がりも気持ちよく読むことができました。


◆ちゃらでいず(清水ゆーり)
「月明かりの散歩道」と
モチーフが重なってしまったのが残念でした。(香村・清水先生は、今回の『りぼんオリジナル』を読んで青くなったのではないでしょうか。)でも、「月明かりの散歩道」と同様、「ちゃらでいず」もいい味を出していた作品だと思います。
50ページというページ数は多すぎて途中は中だるみも感じたのですが、P440から盛り上がり、またまとめ方がキレイで心を掴まされました。

また、“落ち込んでいた(心を閉ざしていた・コンプレックスに悩んでいた)少女が、ある人との出会いによって世界が開いていく”というこれもありがちなモチーフでしたから、最初からぐいぐいひっぱられるストーリー展開ではありませんでした。しかし、今回の『りぼんオリジナル』では、「桃天娘。」、「プライマル・オレンジ」、「黄金ハニー」、「ハート・ステップ!」含めて5作、掲載作品の半分以上当てはまる中で、検討していた作品の一つだと思います。

あと、清水先生の作品を読むのは久しぶりだったので、描線1本1本が太く、簡略化されているという絵柄の変化に驚きました。(ギャグ絵と通常の絵の区別がないような感じ…)


◆ハート・ステップ!(かわの航哉)
かわの先生の作品は初めて読みました。

ヒロインが男嫌いという設定は少女マンガではよくあって、お互いにトラウマを持ってというのは「今夜は眠れない」(きたうら克巳、RMC)があります。しかし、原因を作った男の子がトラウマを持っていて女装していたという展開には楽しませてもらいました。ただ、作品全体に、疑問に残る部分や、もっと工夫すればよくなったのにと感じる箇所が多々ありました。

まず、男嫌いだと最初から言葉で説明を加えるのは技がないです。ヒロインに読者を引き込ませるには、読者に説明せずにエピソードで見せるのが効果的だと思います。痴漢から始まる物語だと「ロマンチックください」(一条ゆかり、RMC)などが上手ものがあります。ヒロインの最初の顔がロングから能面で、次のアップは真っ青では、読者は作品に入れないものです。それとあわせて、最初の2ページはコマ割りなども魅力に欠けたので、気を配ってほしいところだなと感じました。

P459で、口に手を当てたのは一瞬なのに(すぐに手を掴んで逃げているから)、何故か体育倉庫に逃げたあとに、即「汚いなあ 手なめないでよ」などと言っているところ。普通なら、P460、4コマ目の「それと!!さっきは、いつなぐりあいになるかと思ってヒヤヒヤしたわ!!」が逃げた後に来るのではないでしょうか?それに、このセリフですが、読んでてリズムが悪かった・・・「それと」で切っているし、「したわ」なんて不自然な口調です。私は言葉使いが悪いので使わないだけかもしれないけれど、それまでの流れではヒロインが言葉使いの丁寧な娘にはとても思えなかったですしね。女装をしているからかもしれないけれど、「宰賀さん」と呼ぶのも不自然に思えました。

宰賀が幼なじみの男の子だと気付くシーンは作品のキーポントとなる重要なシーンだと思うので、インパクトがほしかったと思います。抱き寄せられただけで本当に昔が思い出せるとは私は読んでいて思いませんでした。幼なじみの男の子とのエピソードをいれたり、男の子のくせを作ってエピソードに絡ませたりなど、読者に伝わりやすくしてほしかったです。そうなれば、最後の盛り上がりが全然違ったものになったと思いますから。

絵は私は苦手な系統で魅力は感じませんでしたが(ヒロインの顔になによりも魅力を感じなかった…)、ストーリーは、ネームをつめればよくなりそうと感じる要素があったので、今後の成長を楽しみしたいと思います。


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Presented by Eiko.