作品レビュー・紹介

1.1999年りぼん作品BEST
1999年度中に『りぼん』関連誌や単行本で発表された作品の中で、私がお気に入りのものをいくつか順不同で紹介したいと思います。

「オレンジ紅茶」(あいざわ遥、RMC全1巻)
センスがいいというか、すごく作品から漂う香りが好きです。紅茶好きなんですよ。d(>o<) オシャレな喫茶店で美味しい紅茶とか飲んでいると幸せですよね〜 もちろん、この作品の良さは雰囲気だけではありません。“女の友情”の描き方が上手いです!私は中高女子校で、濃密な女社会を経験しています。私は女の子との付き合いは好きですけど、キレイではないものかもしれません。でも、言葉にできない良さというものがあって、そういったいい面を「オレンジ紅茶」から感じました。紅葉と友緒のコンビも楽しいものでした。

「POCHI」(小花美穂、RMC「水の館」収録)
「こどものおもちゃ」の要素を残した読み切りです。笑いや感動のバランスは完璧で、これぞ小花美穂!でしょう。読み切り作品なので無駄なエピソードは一つも無くまとまっています。派手な作品ではないのですが、心に残る作品でした。今、『りぼん』で連載している「パートナー」系統の話として「水の館」を描かれていますが、やはり「パートナー」同様、そんなにすごい作品とは感じませんでした。とりあえず、「POCHI」は新しい第一歩に踏み出す前の最後の作品といえるのではないでしょうか?頑張れ!小花先生。

「GALS」(藤井みほな、RMC既刊1巻)
『りぼん』で現在連載中の作品で勢いのある作品の1つです。“コギャル”が全面に出ていますが、少女にとって一歩上の憧れの生活を描いているだけで、現実とは違うのは明らかです。現在は、恋愛よりも友情や社会(学校・教育)などに主眼が置かれています。エピソード一つ一つがまとまりがあり読むと爽快な気分になれます。今後も、説教的な要素をできるだけ排除しつつ、元気と心地よさを与えてほしいと思います。

「下弦の月」(矢沢あい、RMC全3巻)
矢沢あい先生の『りぼん』本誌での最後の連載作品です。『りぼん』で明らかに異彩を放っていましたが、「下弦の月」があることで『りぼん』にわけのわからないまとまりが生まれたような気がします。この作品で最も私が好きな点は“子供への視線”です。矢沢先生は子供を描いたことがあまりないのですが、このように描くことができる作家だとはまったく思いませんでした。見事だと思います。あと、ストーリーの構成力。全3巻、最後まで一気に読ませる力があると思います。場の作り方とかが、あまりにもこりすぎていて引いてしまった部分もあるのですが、MTV感覚で読むこともできて楽しめました。

「ミントな僕ら」(吉住渉、RMC既刊5巻)
今月号で連載が終了しました。連載中はかなり文句を言ったのですが、振り替えって見ると安定して楽しませていただいたように思います。吉住渉先生の本質を変えず、一見新境地を開いた作品であるのが印象的です。エンターティメント性のみ見れば100点に近いのですが、少女マンガはエンターティメントだけではないというのが難しいところなのではないでしょうか?


2.谷川史子「王子様といっしょ!」
私が今やるべきことは、就職活動&論文出筆。そんな状態で読んだ谷川史子「王子様といっしょ!」の感想です。ネタばれがありますので、読んでない人は読まないで下さい。

★王子様といっしょ!
P97ページ3コマ目で、その後の展開がすべて読めました。つまり、のばらが美蘭とカンナの関係に嫉妬する事、草一と美蘭が両想いである事、美蘭がのばらを羨ましく想っている事etc.
私はわかったのは、今までこのような話を読んだ事があるからです。例えば、矢沢あい「白のフィールド」(この手の話で私が最初に読んだ作品)が挙げられます。

私は「周りが羨ましく見えているヒロインが、徐々に周りのことが見えるようになり成長する」というこの種類の話が好きです。
現在、私は“周りが羨ましく見える・周りが見えなくなっている”状態です。就職活動では、男に囲まれて生活しています。なので、男の方が女の私よりも楽に見えます。また、研究活動では、自分が進んでないように感じてしまったりもします。

谷川史子先生の作品の良さは、日常の生活の中の、さりげない出来事を、優しい視点できれいな作品に仕上げられる点です。「王子様といっしょ!」は、谷川先生の作品では、普通のレベルの作品だと思います。でも、今の心情には残るものがありました。心の重さが少し軽くなったような気がします。

★プリンス・プリンセス
「王子様といっしょ!」の前のストーリー。「王子様といっしょ!」で描かれている、「なぜカンナはのばらを好きなのか?」といった部分に疑問を感じ、いい作品とは思いませんでした。本題の前の1本と見るとまとまったいい作品に思えます。「王子様といっしょ!」を表題作になっているのがわかるような気がします。

私のようなりぼんっこの平均年齢よりもかなり上のりぼんっこが、平均年齢のりぼんっこと、どこが一番違うかというと、『りぼん』を知っているということではなく、恋愛経験の差だと思います。『りぼん』の作品のほとんどは、恋愛について描かれているわけですから、作品の感じ方に経験の差が生じるのは当然です。

「プリンス・プリンセス」の設定は、女にとってあまりにも都合が良すぎました。
初恋もの(幼なじみの男の子が成長して目の前に現れてというもの。太刀掛秀子「花ぶらんこゆれて・・・」を原点にして、本田恵子「月の夜 星の朝」、水沢めぐみ「ポニーテール白書」、柊あおい「星の瞳のシルエット」など『りぼん』には傑作は多い)で、性別を間違えていたというのもありますが(高橋由佳利「祭りのあと」・・・女の子だと思っていたら男の子だったという作品。レズものでもあり、思春期の女の子の潔癖気味さを描くのが上手かった高橋先生ならではの佳作)、目新しくないからという理由ではありません。
目の前にカッコイイ男の子が現れて、自分のことを好きだと言ってくれる。彼は、自分の幼なじみの男の子。自分は気になる先輩がいるが、幼なじみの男の子が気になりかけたときに、先輩が告白してくれる。幼なじみの男の子が助けてくれる。けんかするが仲直り、というわけです。上手く行き過ぎでしょう。のばらって何者〜と思わずにはいられませんでした。

少女マンガではヒロインは複数の人からよく言い寄られます。しかし、実際には複数の人から思われた経験のある人は多いと思いますが、単純に複数の人から好意を寄せられる事はあまりないと思います。少なくとも私にはありません。もてる時は必ずいろいろな理由で弱っていたときでした。(1人から思われる時にはこの限りではありませんが)だから、弱っている理由が「プリンス・プリンセス」は、幸福過ぎでしょう。だから、感動はありませんでした。羨ましいな〜と思っただけです。

★北風とポスト
単行本「王子様といっしょ!」の中で一番気に入った作品です。何度も読み返したくなる傑作だと思います。
設定もロマンチックですし、展開も早く、読後感もさわやか。何よりもヒロインが自分の卑らしさをわかっているところが好きです。いい娘よりも、自分の卑らしさをわかった上で頑張るヒロインに私は弱いです。私はただいい娘であるヒロインには、生身の女に感じません。
それにしても、谷川史子先生の描く男の子はなんでこんなに、魅力的なんだ!香椎くんにしても、前の2作のカンナにしても。女の子も魅力的なんですけど、この男の子のさわやかさには感動してしまいます。

単行本「王子様といっしょ!」を読んで気になったことを2点。

  • 目にスクリーントーン

漫画家にとって、目の描き方は絵の特徴をつくる最も大切な部分だと思います。今回、目にスクリーントーンを使用する割合が多いと感じました。かなり気になったので、過去の単行本と比較していると、前コミックス「外はいい天気だよ」より使われてはいましたが明らかに今回に割合が増えていることがわかります。
目にスクリーントーンを利用する手法は、松苗あけみ先生が生み出したといわれています。私はここに来て、谷川先生がこの手法を多用した意味がわかりませんでした。私は普通の黒目の方が好きだからでしょうか?

  • 横に切るコマ割り

多用していると感じたのは、1ページを横に切るコマ割りです。
  王子様といっしょ!・・・・P64〜68
  プリンセス・プリンセス・・P101、P108、P126〜130、P133〜137
  北風とポスト・・・・・・・・・・P154、P181〜182
盛り上がるシーンではかなりの比率で横割りのコマ割りです。このコマ割りは「外はいい天気だよ」よりすでに多用されていましたが、私はかなり好きです。コマ割りは単純ですが、構図の取り方は絶妙なので、作品内に引き込まれます。この「王子様といっしょ!」が、このコマ割りの完成形かもしれません。

★泥酔横丁
谷川先生はおまけマンガの人気が高い作家でもあります。
今回は「外はいい天気だよ」の続きのおまけ漫画でしたが、前回方が面白かったです。理由は今回のテーマのお酒関係のネタが普通すぎたからです。

谷川先生がバイブルとして描かれていた、二ノ宮知子「平成よっぱらい研究所」を、私も当然読んでいます。エッセイマンガでは定番作品です。エッセイマンガでは他にも、西原理恵子「鳥頭紀行」などでお酒に絡んだネタがあります。比べてもどうしようもないのですが、谷川先生の描かれたものはあまりにも普通でした。(上の二つが異常のレベルです・・・この2つの楽しさを知ると普通のレベルでは満足できない)

私が「外はいい天気だよ」が面白いと思ったのはお酒のネタが理由ではありませんでした。“占いネタ”が面白かったのです。占いは恋愛に絡んでいました。お酒うんねんよりも、恋愛ネタに絡んだお酒ネタということで、前回は大ヒットだったのです。

二ノ宮知子「平成よっぱらい研究所」も単行本に収録してない部分の内容が気になります(ご承知のように、二ノ宮先生は結婚されたので、お酒との関係が気になる・・・)。西原理恵子「鳥頭紀行 ジャングル編」では、魚だけではなく旦那様も釣られました(こちらは、子育てが気になる。西原先生ほど、子育て漫画を熱望される方はいないと思います)。
恋愛が絡んだエッセイマンガは強いと思います(現代洋子「ともだちなんにんなくすかな」。脅威の実録お見合いマンガ)。最もプライベートな部分ですから・・・

しかし、長谷川潤先生とのコンビは最強ですね。柊あおい先生のコミックスに長谷川先生が描かれているおまけマンガがあるので、そちらとセットで読むと、谷川先生のおまけマンガが10倍楽しくなるように思います。
考えてみると、長谷川先生を男に描くことで、恋愛要素が出ておまけマンガが面白くなっているのだと思います。虚構だとわっていても、恋愛要素が入っているものは面白いのです。


3.テーマ:涙
最近泣くことが多いので、『りぼん』作品における“涙”について振り返ってみます。

喜怒哀楽すべてにおいて、人は涙を流します。『りぼん』では、喜怒哀楽の激しいヒロインが好まれるために、泣くシーンは非常に多いように感じます。

よく“喜”での涙のシーンはあるのですが、このような涙の使い方を私はあまり上手いと感じることは少ないので“楽”は触れず、私が最近流す涙は“哀”が多いので“哀”と、たまに上手さを感じることがある“怒”と、“楽”について触れてみます。

  • 「ときめきトゥナイト」(池野恋、RMC、全30+1巻)

泣いているシーンのインパクトでは、蘭世が真壁くんにふられて泣くシーンほどのものはないと思います。今でも、

人は気を失えるほど泣けるのか

ということが疑問です。「砂の城」(一条ゆかり)のように、行ってほしくないものを行かせないために、心臓が痛くなるというのならなんとなしにイメージできるのですが、嘆きの感情が高まりすぎて、振り切れて気を失うなんて・・・
蘭世ってやはりタダモノではないスーパーヒロインだよと感じてしまいます。蘭世はよく泣くんですけど、ほんとにいい涙が多いのも事実です。蘭世の涙に真壁くんが弱いのでラブシーンが多くてドキドキするという理由もありますが。

  • 「花ぶらんこゆれて・・・」(太刀掛秀子、集英社文庫コミック版、全4巻)
  • 「秋への小径」(太刀掛秀子、RMC、全1巻)

泣いているシーンばかりの作品No.1は「秋への小径」でしょう。「秋への小径」は、「花ぶらんこゆれて・・・」と同様に、肉親の死、母親との確執、かわいい妹などのキーワードが絡んでいますが、恋愛要素がないので、明るくなるシーンが少ないのです。ただ、感動するシーンは濃密にあります。
「花ぶらんこゆれて・・・」は、泣いている割合の中で、“哀”が多いのです。だから、常に泣いているというような気がしてしまいます。
響子にしても、るりにしても、すごいいい娘なんですよね〜嫌みになってないのは、あまりにも境遇が凄まじいからでしょう・・・

  • 「おちゃんでゴメン」(本田恵子、RMC、全2巻)

本田恵子先生ほど、泣きのシーンが印象的な作家は私にはいません。喜怒哀楽を使い分けているのです。涙を流すのに充分な明確なシチュエーションがなくても、泣いていたりする。読んでいる方は感性で泣いている理由がわかるのです。本当に、女ってものを分かっているなと思ってしまいます。しかし、何がすごいのか頭ではわかるけど、心がついていけないという人もいるようには思いますが・・・・

私が「おちゃんでゴメン」で指摘しているシーンは、花音が「くちなしがにおう」と夏のそばで泣くところです。花音は泣くシーンの前に盗み聞きをしてしまいます。これが上手いから、泣くシーンの説得力がでるのでしょう。

最近、『りぼん』の恋愛ものでは、ヒーローがヒロインの最大の理解者であることが多々あります。

男は女のことをわかっているものではない

と私は思っている人なので、高校生くらいで妙に理解されてたりすると変だなと感じてしまいます。わからないなりに、お互いを認めていく・尊重するというのが、私の考えなのです。

相手をより理解したものが恋の勝利者となる

というのは、少女マンガではよくありますが、現実はそうとは限らないでしょう。

  • 「女ともだち」(一条ゆかり、RMC全3巻、集英社文庫コミック版全2巻)

女は泣きながら、次の事を考えていることがあります。その辺を一条先生は描かれるのが上手いです。瞬間的に自分を見失いますが、次の瞬間には泣いている状態を冷静に理解している。

私ってば間抜けなことしてる

こういうネームがさらっと出てくるところが上手いとしかいいようありません。

あと、パーティ会場でのこずえの涙はすごい。一瞬で表情が変わるんですよね。普通は最初に泣いて、次ににらむという順番だと思うのですが、最初に誤りの言葉のあと、一気に泣く、にらむとしたので、女同士の対決が迫力が出ています。

  • 「こどものおもちゃ」(小花美穂、RMC、全10巻)

「こどものおもちゃ」の魅力は紗南&羽山の人物描写にあるのですが、私が最初にこれはすごいと感じたのが

・・・死にたい・・・なんて・・・ 言・・・う・・・

というシーンです。ここで羽山が紗南ちゃんに興味を持ったのは明らかだし、気合入ったシーンなのですが、成功していますよね。それまでの紗南ちゃんとこのあとの紗南ちゃんは少し変化しているように感じます。話を動かし、キャラを成長させる涙だったと思います。

  • 「涙のメッセージ」(椎名あゆみ、RMC「ピーターパンの空」収録、全1巻)

タイトルが「涙のメッセージ」とあるように、よくあるストーリーなのですが、涙のシーンの良さで、いい作品だと思います。

「おちゃんでゴメン」の涙の種類は一緒です。反対に、男の子が見てしまうという涙なのですが。

ばかやろぉ・・・

言葉はいつもの姿、目に浮かぶのは涙というアンバランスさがいいのです。

  • 「ハンサムな彼女」(吉住渉、RMC、全9巻)

吉住渉先生は、言葉の使い方が上手い方です。タイトルだけ見ても「ハンサムな彼女」・「ママレード・ボーイ」・「ミントな僕ら」1つ1つの単語は普通なのに、組み合わせるとインパクトがあるようになっているのが上手いですよね。

・・・ほんというと おまえの泣き顔 けっこう好きなんだ

すごい、殺し文句。「顔をみなけりゃこれくらいはいえる」としっかりと落ちがついているのが、吉住渉先生のすごいところ。

  • 「天使なんかじゃない」(矢沢あい、RMC、全8巻)

登場人物がほんとによく泣いている作品なのですが、感動できる泣きシーンが多い作品だです。
私が一番印象に残っているのは、志乃の悲鳴のような泣きのシーンです。いやすごいの一言・・・

他にも、たくさん涙のシーンは思い浮かぶのですが、最近の『りぼん』の作品からのが思い浮かびません。印象薄いよな〜


4.マンガ関連本「だって読みたいんだもん 少女マンガベスト100」
この4月に出版された、少女マンガ紹介書「だって読みたいんだもん 少女マンガベスト100」(少女漫画発掘研究所・著、ソニー・マガジンズ)で紹介された『りぼん』の作品を見てみたいと思います。
キャッチフレーズは「’70年代〜’80年代を中心にめちゃくちゃ面白い1冊が探せる本 まだ読んだことがない少女マンガを発見して」だそうです。

「だって読みたいんだもん 少女マンガベスト100」は、ソニー・マガジンズから初めての少女マンガ関連本だと思うのですが、雰囲気は「この少女マンガが効く!」(アスペクト)にかなり酷似しています。まあ、別冊宝島のセンスの悪さを、少女マンガを読む人向けに多少なりともましにしたけれどで、センスの悪さは隠せないという装丁です・・・

いつも思うのですが、マンガの関連本って何を考えているのかと思うほど装丁が悪い!
私が持っているマンガ関連本にほぼすべてにカバーをつけているのは、汚れないようにするためというよりも、あまりにもダサい装丁をみたくないからでもあります。私は別にかっこいいものが好きというわけではありませんが、ダサいのを気にしないようなタイプの人間ではありません。ダサいと感じたら、裁縫道具・工具などで改良をきたような人ですから・・・
マンガ関連本って、明らかに“世間から隔離された人”を対象にしているとしか思えません。そんな人はマンガ読みの中では少数派でしょう。

さて、「だって読みたいんだもん 少女マンガベスト100」は、少女マンガの入門書といった感じで、少女マンガ初心者が基本として押さえておくべき作品が中心にラインナップされています。
私が読んだことある作品は、58/100、知らなかった作品は、10/100、知らない作家は、0/100でした。

ちなみに、『りぼん』関連に限っては100%読んでいました。これぐらいは読んでおくべき、読んで損無し、という作品しか『りぼん』からは上がってないので是非、チェックしてみて下さい。

  • 「愛してナイト」(多田かおる、集英社文庫コミック版)

多田かおる先生は『別マ』の作家ですが、「愛してナイト」はアニメ放映中に、『りぼん』で「愛してナイト<りぼん編>」という短編を連載されていました。『別マ』編集部により、その記録は末梢され、当時『りぼん』を読んでいた人の記憶の中と、今も残るふろくがないと幻だったのかと思えるほど、その事実を知っている人はすくないと思います。単行本・愛蔵版・文庫版といろいろなタイプで「愛してナイト」は出版されていますが、<りぼん編>は収録されていないようなので。(収録されたものを知っている方は是非おしえて下さい)

多田かおる先生の作品は、「イタズラなKISS」が一番好きなのですが、作品の温かさは「愛してナイト」も負けません。「愛してナイト」は大阪が舞台なのですが、私は地方ものが苦手だから「愛してナイト」に一歩引いてしまったのかもしれません。
中学生のときに始めて読んだのですが、八重子と剛とセックスシーンでは、かなりドキドキしたな〜

  • 「こいきな奴ら」(一条ゆかり、集英社文庫コミック版)
  • 「砂の城」(一条ゆかり、集英社文庫コミック版)
  • 「有閑倶楽部」(一条ゆかり、RMC)

「こいきな奴ら」は「有閑倶楽部」の元になった作品として有名ですが、「こいきな奴ら」の方がタイトル通り“粋”という感じがします。完璧なエンターティメント・練り上げられた作品構成という面では「有閑倶楽部」にまさるとも劣らない出来です。男性でも読みやすいという事では「有閑倶楽部」の上を行くかもしれません。いつかシリーズが復活するということはあるのでしょうか?一条先生は「夢のあとさき」以降、外国を舞台にしたマンガは描かれていらっしゃらないからな・・・
どうでもいいことですが、「ミントな僕ら」(吉住渉)のタイトルは絶対に「こいきな奴ら」を意識したと私は1人で確信しています・・・

「砂の城」はメロドラマの最高峰でしょう。

愛の本質は「エゴ」である。(中略)
究極のラブストーリーとも言えるほど、とにかくもう、すごい設定、すごい展開。これでもか、まだまだか、これでとどめだ!と不幸を畳みかけてきて、主婦御用達の昼メロドラマ顔負けのエグさで押してくる。

まさにそのとおりです・・・とにかく読めば、意味がわかります。

「有閑倶楽部」を読むと、一条先生の実力の高さを実感できます。
大量にマンガを読んでいると、この作品はあの作品と似ている、系統が一緒とか思うことがよくありますが、一条先生にはこれはありません。
「一条ゆかりあらかあると」で一条ゆかり作品のキャラの人気投票をやっていますが、「有閑倶楽部」のキャラの人気は高いです。かくゆう私も、今までマンガを読んだ中での最高の男性キャラは“松竹梅魅録”です(初恋は、真壁俊「ときめきトゥナイト」)。彼氏にしたい・結婚したい・抱かれたい・友達になりたいどれをとっても、魅録がNo.1!いい男過ぎます。

  • 「ときめきトゥナイト」(池野恋、RMC)

気がつかなかった・・・
「ときめきトゥナイト」が「ポーの一族」(萩尾望都)に影響された作品であることは、**Review**に書いたとおりですが、望里(モーリ)、冬馬(トーマ)が「トーマの心臓」(萩尾望都)の影響だといえるなんて。
「ときめきトゥナイト」フリークとしては、この事実に気付けなかったとは、情けない・・・

先日「ときめきトゥナイト」は完結しましたが、これからもずっと残る名作でありつづけると信じています。私にとって大切な作品です。

  • 「雪割草」(おおやちき、マーガレットレインボーコミックス)

おおやちきがマンガ界で活躍したのは、3年あまりです。その間に少女マンガ界に与えた衝撃たるやすごいものがあったのでしょう。マンガ史に欠かせない方となってしまわれたのですから・・・
おおや先生の作品は、コメディ系統のものとシリアス系統のものがあるのですが、私は圧倒的にシリアス系のものが好きです。中でも「雪割草」は最も好きな作品かもしれません。
フィギュアスケート・不治の病・少女マンガ初のレイプ未遂シーン・・・画面から緊迫感があります。入手困難な作品ですけど、是非一度読んで欲しい作品です。

  • 「リップスティック・グラフィティ」(小椋冬美、集英社文庫コミック版)

小椋冬美先生の『りぼん』時代の作品の代表作であり、私も最も好きな作品です。
私もこの作品の舞台同様、男子部と女子部に分かれた学校に中高校6年通っていました。男女別学校ってやつです。大人になった今でも、当時のことをさわやかに思い出せる素晴らしい作品だなと最近読み返して思いました。基本的に、乙女ちっく系統の流れを汲んだ作品です。

  • 「3丁目のサテンドール」(清原なつの、RMC)

清原なつの先生の評価は高いですけど、1つの作品にしぼるのは難しいように感じます。私が一番好きな作品は「3丁目のサテンドール」ではありません。「真珠とり」・「飛鳥昔語り」が好きです。
この本に書かれているように、清原なつの先生の作品にはブラックユーモアが含まれていると思います。笑いというよりも、読むと切ない思いが残るような作品が多いです。
川原泉先生が清原なつの先生の後継者というのは、その通りでしょうね。なにか、ペンネームまで似ていますし、川原泉先生は『りぼん』に投稿しようとしたというコメントも残っています。絶対に、清原なつの先生がいたからだと思います。今となっては、谷川史子先生くらいしか、清原なつの先生が好きで、『りぼん』にいらっしゃる方はいませんが・・・

  • 「粉雪ポルカ」(陸奥A子、集英社文庫コミック版)
  • 「フランス窓便り」(田渕由美子、集英社文庫コミック版)
  • 「花ぶらんこゆれて・・・」(太刀掛秀子、集英社文庫コミック版)

“りぼん乙女ちっく御三家”の3人方です。私は、太刀掛先生に圧倒的に思い入れがあって、太刀掛>>田渕>陸奥という順番なのですが、陸奥>>田渕=太刀掛、だったり各人によって、思い入れが異なるようでこの時代の作品を好きな人とこの時代の作品を語り合うのは楽しいです。
よく“乙女ちっく”という言葉を聞くと思うのですが、その本質がこの3人にある(特に、陸奥先生は原点でしょうし、田渕先生も上手い発展系であると思います)ので、興味を持った人は、読んでみてほしいお3方です。

陸奥先生の作品は初期作品よりも、「粉雪ポルカ」くらいの時代が一番好きです。さりげない世界に陸奥先生らしさを感じる1作だと思います。
「フランス窓便り」は、乙女ちっく全盛期に『りぼん』で連載されたオムニバス作品で、とにかくこんな作品を読んだら影響を受けずにいられなかっただろうな思われる作品です。(少女の憧れの世界だったので)
「花ぶらんこゆれて・・・」は太刀掛先生の代表作ですが、あまりにも不幸の連続で読んでいると辛いものが、あります。当時は「砂の城」と、「花ぶらんこゆれて・・・」が同時に連載されていましたが結構ハードだよな〜とか思ってしまいます。

ちなみに関連作家の作品以下の通り。

  • 「エロイカより愛をこめて」(青池保子、PC)
  • 「イブの息子たち」(青池保子、PC)
  • 「Z(ツェット)」(青池保子、HC)
  • 「草迷宮」(内田善美、BC)
  • 「海辺のカイン」(樹村みのり、MiMiKC)
  • 「イティハーサ」(水樹和佳、BC)
  • 「樹魔・伝説」(水樹和佳、BC)

『りぼん』9作品、『なかよし』2作品(原ちえこ「フォスティーヌ」・美内すずえ「妖鬼妃伝」。「キャンディ・キャンディ」が含まれてないのは、最近の騒動の影響とかかな)、『ちゃお』なしという勢力関係でした。1970年代から1980年代にかけては、圧倒的に3誌の中で『りぼん』は強いかもしれません。

こういう企画本である“少女漫画発掘研究所”とかって何ナノでしょう?筆者は、小久保素子・井澤里佐・猪川奈夏。佐藤薫・橘川友・橋本二郎・原田千智・松本麻美・和田仁見さんらしいのですが、マンガ評論家系列の方ではないですね。そうだったら私は名前を見たことがあるはずですから。どこぞかの編集者なのだと思います。謎本よりはましとはいえ、“少女マンガ徹底追及委員会”・“えらいマンガ選定委員会”とか、マンガ関連本は変な集団が書かれているケースが結構あります・・・


5.テーマ:運動会・体育祭
先日、体育祭が行われました。
男がスポーツをする姿は女の目にはかっこよく見えるものなので、“スポーツができる男の子がもてる”という鉄則が、少女マンガの中には色濃くあります。
体育の授業や、スポーツを題材とした作品は多いのですが、今回は、体育祭(運動会)を取り上げた作品を紹介します。
  • 「星の瞳のシルエット」(柊あおい、RMC全10巻)

「星の瞳のシルエット」の運動会のシーンは、印象に残っている人が多いのではないでしょうか?「星の瞳のシルエット」は香澄の妄想モードのシーンが多いのですが、そのレベルは高いと思います。

久住くん
頑張って!!

抜いた!

ああ 久住くん

白いハチマキ
風になびいて
額の汗が 陽に光る

久住くん
久住くん

久住くん!

走る あなたは
まぶしいほど素敵ね

大好きよ・・・

こんなネームでは、否応なく盛り上がらずにはいられないでしょう。
「星の瞳のシルエット」はすでに古典の域の作品です。「ときめきトゥナイト」だと本気で読めるのですが、私はリアルタイムで「星の瞳のシルエット」を最初から最後まで読みましたが、今となっては「こんなことあるわちゃないよ」、「香澄ちゃんってほんとに嫌な女だよ」とか思いつつ、突っ込みをいれながら読んでいます。

今は、種村有菜先生も妄想系ですけど、きっと今、先生の作品に夢中の娘が数年後に読んだら笑えるのではと思ってしまいます。(私は今の時点ですでに突っ込んだり、笑ったりしてしまう)
ちなみに、柊あおい、種村有菜先生は笑わせるためではなく、あくまでも本気で描いていらっしゃるのはもちろんのことです。

笑わせるために描いている、亜月亮先生は弱さがどうしても気になってしまします。完全に自分のものにして笑わせてくれる岡田あーみん先生の作品や、昔の名作をもっと研究して頑張ってほしいところです。

さらに、上に紹介したネームと同号に掲載されたもの

久住くん

ああ 夢じゃない

初めて触れた指と指
高鳴る胸の音
伝わってしまいそう

忘れないわ ねえ
最初で最後の2人のダンス
眼を閉じれば ほら

2人だけのダンスパーティ
そんな夢も見られそう―

最後の部分は、宇宙空間に(星空?)をバックにドレスを来た香澄ちゃんと久住くんが躍るというすごいシーンでした。あくまでも、中学校の運動会のフォークダンスでの1シーンだというのに・・・

私は女子中・高だったので、フォークダンスの経験はありません。私のフォークダンスのイメージは「星の瞳のシルエット」です。危険ですよね・・・

  • 「ときめきトゥナイト」(池野恋、RMC全31巻)
    「桃色ミステリー」(樹原ちさと、RMC全5巻)

ライバルと運動会で競い合うものになっています。こんな運動会あるわけないという奇抜な種目があったりするのが笑えます。

  • 「いるかちゃんヨロシク」(浦川まさる、RMC全7巻)

体育祭(運動会)という呼び名など「いるかちゃんヨロシク」の世界では通用
しません。鹿鳴会と呼ばれる生徒会に、総合成績がよかった順からメンバーとなるのです。
この設定は「有閑倶楽部」(一条ゆかり、RMC既刊18巻)からの連想でしょうけど、面白いです。(「有閑倶楽部」に当てはめると、いるか×春海って、悠理×清四郎にちょっと似てない?)

  • 「天使なんかじゃない」(矢沢あい、RMC全8巻)

「いるかちゃんヨロシク」に続いての生徒会もの。
生徒会ものの原点「有閑倶楽部」でも、神無祭とよばれるダンス大会などが出てきますが、生徒会=イベント=文化祭・体育祭となるらしく、多く登場しています。
「天使なんかじゃない」の学校でのイベントに憧れた人は多いと思います。体育祭も一筋縄ではいかず、全員柄が悪い格好でのものでした。

やはり、体育祭で見ると「星の瞳のシルエット」のインパクト勝ちでしょう。次点は、「天使なんかじゃない」かな。差は大きいけど・・・


-- Back --

Presented by Eiko.