◇◇◇ 「BSマンガ夜話」レポート ◇◇◇

-- Return --
--
←その4 --

■フリートーク4
  (略)  
夏目: 構造自体はね、実はそんなにさ。新しいとか、斬新とかってことじゃないんだけれど、やっぱり上手いんだ。やっぱり、アルドリッチみたいだと思うね、俺は。(注42) (注42)
“アルドリッチ”って何?(知らない言葉だから聞き取りが間違っているのかも知れない…)
岡田: 利口だと思うな。だって、夏目さんにあそこまで解説されちゃうってこうことは、ある種漫画家としては、負けって言ったらなんだけれども、手が読まちゃうわけでしょう。(注43) (注43)
FAXで30年以上読まれているという方の紹介とかされていましたが、そういった方々がなぜ今も一条先生の作品を読みつづけられるかと考えると手が読まれるとかいう次元の問題でないでしょう。
私も単行本はすべて持っていますが、いつも新鮮に読むことができます。
いしかわ: でもね、構造ってかね。話全体の構成とかいうものはそんなにパターンはない。いくつかしかないから、それはね。どう描いてもね、このパターン、このパターンってあるんだよ。あとはね。味付けなんだよね。設定、味付けをどう作るかってところにやっぱり描き手の腕が出るんだよ。これってさやっぱり、金とセックスじゃない。金とセックスってやっぱり、現代なんだよね。(注44)それを金とセックスの話を、金とセックスで描かなかったってことがね。この漫画が優れているところだよね。これって言ってしまえば、少年売春の話じゃない。売春している話なんだよね。これってさ道徳的にはかなり批難されるべきことでさ。 (注44)
「はたから見ると順風満帆に見えるかもしれませんが、じつをいうと、2、3年前から、仕事をするのが面倒くさくなってきたんです。まず、描きたいものがない。これがいちばん大きな原因ですね。」(『婦人公論』1998年2/22号)
私にとってかなり衝撃的な内容だったのですが、1998年で2、3年前というとまさに「正しい恋愛のススメ」を連載されていた時期のことなのです。確かに、一条先生のインタビューを読むと「恋のめまい愛の傷」(番組中で「正しい恋愛のススメ」を離婚してまで描いたと言っていたFAXかE-mailが読まれましたが、「恋のめまい愛の傷」の誤りです。)は描きたかったという強い気持ちを感じますが、「正しい恋愛のススメ」にはそれがありませんでした。しかし、それでこんなに楽しい作品が描けちゃうのかと思うと複雑な気分がしますけれど…
  (略)  
岡田: (略)一条ゆかりのネームに金かかってると思う。(注45)(笑)金と人生すごくかけていますよね。 (注45)
上記のインタビューの続きに
「今、仕事は、質を落とすのはイヤだというプライドと、受けた仕事はやらなくちゃという責任感でやっているんですね。そうするとストレスがよけいにかかるから、ますます遊びたくなる。また、そうやって遊ぶことで、新しい気持ちになれるかもしれないでしょ。本当はそれを狙っているんです。」
とあります。お金はかかっているんです。でも、私は一条先生にお金を落としているわけで、まわっているのでしょう。
  (略)  
わかぎ: この一番最後のね、美穂ちゃん帰ってくるでしょう。英語もすぐペラペラになって。(略)リセットボタン押すシーンがあるじゃないですか。これはたぶん、女の子は救われる。(注46)これが言えたらもういいじゃん。(略)このセリフが、たぶん女の子は言いたい。だから、彼氏が何やっても許してあげるけれど、私のところに帰ってきたら、リセットボタン押すんだよみたいな。(略)イギリス人の彼氏がおってもいいねん。自分もリセットボタンできるねんって思える。 (注46)→(注41)
まさにその通り。私はこのシーンが大好きです。最後までは玲子に一歩リードされていた感じのした美穂が一気に追いついて逆転する瞬間です。イギリス人の彼氏がいるという落ちもよかったですし。
いしかわ: この漫画だけじゃないけれど、一条ゆかりの漫画描くのってわかりやすいよね。(注47)わかりやすくて、共感できて、でね、もう一つね。基本的にちょっと貧乏くさい。どんなに金持ちのことを描いても、ちょっと貧乏くささがある。それはつまり庶民的ということなんだよね。あの、庶民的っていうか、一般的ってことなんだよね。 (注47)
一条先生は『りぼん』で25年間も描かれてきたのです。わかりにくいマンガなど描いていたら、『りぼん』第1線にはいられないのです。分かりにくいマンガがいいとは思いませんし。
視聴者のFAX&E-mailにもありましたが、多くの人が小学生・中学生といった『りぼん』の読者世代で一条先生のファンになっている。ということは、つまり誰にでもわかる・大人でも男性でも楽しめる作品なのだということではないでしょうか?
岡田: 本当に豊かな人は、こんなに豊かなディテール描けないですよ、当り前になっちゃって。
いしかわ: 観察できているってことだよね。
大月: 浮世離れでいないってことだよ、いい意味で。
夏目: もうちょっとsophisticatedに言うと、中間層的なんだと思う。(略)リセットボタンってやっぱり上手いと思うよ、俺。
大江: まわりにシンクタンクみたいな人がいるんでしょうかね。(注48) (注48)
「私って人の助けを素直に借りられる性格しているの。自分が解らないことだったら、小学生にだって「教えて下さい」ってきけちゃうの。」(一条ゆかり「おしゃべりな唇」)
このセリフは「おしゃべりな唇」の中で私にとっては印象的なひとことでした。シンクタンクは世の中と周りにいる人すべてなのだと思います。
  (略)  
いしかわ: (略)一条ゆかりが少女マンガ界で果たした役割って大きいよ。(注49) (注49)
(注2)にあるように、一条先生を論じた文章は非常に少ないのですが、エッセイやインタビューの数は結構あります。
「BSマンガ夜話」で論じられている内容のほとんどを、私はいい意味でイメージしたり、膨らませてみることができました。
大月: すごいと思った。あの〜それこそ「有閑倶楽部」とか、僕も読んでいましたけれど、これ読んだことなくてね。今回やっぱ、眼からうろこが100枚くらい落ちましたね、やっぱね、はっきり言って。  
  (略)  
大月: 男と仕事だったら、仕事を取るってはっきりインタビューでいってますもんね、一条さんは。(注51)仕事が私を自由にしてくれるみたいなことを言ってますものね。それはやっぱ格好いいですよ。男とか女とか別ですよ、やっぱ、1個の社会人っていったら大げさだけれども、人間として格好いいってのも、キャラとして見せられちゃうと、それは理屈は負けますよ。 (注50)
−恋愛とお仕事の両立はいかがですか?
「まんがは時間とられるし、エネルギーとられるし、それに男といてもまんがの方が大事になっちゃうから…作家の宿命みたいに。(略)よく女の人が言う「仕事と私とどっちが大事なの?」って、あーいうこという大バカ者の男がたまにいたりするから(笑)、そんなこと言われたら、まぁ今は大人になったから、一呼吸おいて心の中では舌出しながら「アナタに決まってるじゃない」って言えるかもしれないけど、脳ミソは1秒も使わずに、「仕事に決まってんだろぉー(笑)。おまえの代わりはいても、まんがの代わりはいないよって思えてしまう自分が悲しい。」(
『ぱふ』1998年3月号)
一条先生のエッセイ・インタビューはたくさんあるので、とりあえずこれを選びました。「おしゃべりな唇」etc.でも似たような部分があります。
  (略)  
■視聴者からのFAX&E-mailコーナー
  (略)  

-- Return --
--
←その4 --

Presented by Eiko.