是非お読みください!!
バーサーカードラッグ プロローグ
作:ダークバロンさん
プロローグ
今、正に最後の戦いが架橋を迎えていた…全ての元凶…工藤新一言う所の“黒の組織”との最終決戦が始まっていた。
この一戦に備え、既に入手した解毒剤…ピスコのノートパソコンから落としたMO【単行本参照】から作った物…で本来の姿…江戸川コナンではなく、工藤新一として…また灰原哀としてではなく宮野志保となった二人いや、その二人に協力した服部平次を含めた三人で組織をここまで追い詰めたのだ…
三人はそれぞれの役割を持っていた…既に生存の可能性が知られている新一が囮となり組織の人間を警察に(無論、目暮達や平蔵と言った知り合いのみ)捕まえさせ、その間に組織の事を少しでも知っている志保がデーターをハッキングすると言ったやり方で、組織をここまで追い詰めていた…そして…
宮野「やっとここまで追い詰めたわね…工藤君?」
新一「ああ。長かったぜ…」
彼等はここまで来るのに二週間かかったのだ…それでも、組織の大きさからいったら驚異的な速さだが…
平次「工藤…さっさと終わらせて、蘭ちゃんとこ行けや…和葉が側におる言うても、限界やで…」
そう…コナンとして居る事が限界に達した今、彼の母有希子に江戸川文代を演じてもらいコナンは姿を消したのだ…無論、表向きは海外への引越しと言う名目で…したがってこの二週間、蘭とは一切連絡が取れなかったのだ…彼女の安全を守る為に…
同じ頃…
ジン「チッ…ドイツもコイツも…」
ジンは四面楚歌になっていた…既にベルモットことクリス・ヴリンヤード…いやジョディ・サンテミリオンは警察に捕まり、ウオッカは組織の上層部の命令により彼自身の手で抹殺した…そして組織自体、既にボロボロになっていたのだ…たった一人の男、工藤新一によって…
ジン「アイツ…アイツだけは…」
そうブツブツ言いながら、ジンはある銃弾を用意していた…
バシュッッッッ…
新一「グワッ!!!」
平次「工藤!!!」
宮野「工藤君!!!!」
銃声がしたかと思うと、新一が胸の辺りを押さえてうずくまった。残った二人は慌てて新一に駆け寄った…
新一「だ、大丈夫だ…」
平次「せやけど…」
新一「とっさに左腕で庇ったからな…心臓には当ってねー…」
宮野「甘いわよ…彼方の左腕、良く見なさい。」
宮野の言葉に二人は驚いた…新一の左腕に突き刺さった小型の注射器みたいな物を…
平次「これ…猛獣捕獲用の麻酔弾…?」
新一「ばーろ…そんなのわざわざ俺に撃ち込んでどーすんだよ…第一、全く眠くならねーぜ…」
平次「ほんなら、毒薬か?」
新一「いや…それもねー…さっきから身体に全く異変を感じねーんだ…」
平次「遅効性か…?いやカプセルならまだしも、注射やからな…ほんなら何や?」
ジン「フッ!こんなガキどもに組織を潰されたのか…?」
その言葉に三人は驚き振り向いた…そこにはボロボロになり憔悴しきったジンの姿があった。
ジン「よぅ…シェリー…久しぶりだな…こんな男に骨抜きにされたか?」
宮野「なんとでも言いなさい…ジン、今の彼方のセリフは負け犬の遠吠えにしか聞こえないわ。」
ジン「そうかい…確かに組織は滅んださ…しかし大いなる財産を残し滅びるのさ…」
宮野「なんですって!」
平次「ねーちゃん…気にする事あらへん…どうせ負け犬の遠吠えや。」
ジン「そうかな?シェリー…我々と共に生きた貴様なら判る筈だ…“バーサーカードラック”それがその探偵気取りの坊やに撃ち込まれた物の正体…」
宮野「なんですって!!!」
平次「なんや?その“バーサーカードラック”ちゅうんは?」
ジン「シェリーに聞いてみるんだな…」
そう言ってジンは闇に消えた…最後に意味深なセリフを残して…
ジン「工藤新一!!貴様が新たなるボスとして我々の前に現れる日を待っているぞ…」
平次「如何言う意味やぁ?!!」
宮野はその二人の会話を顔面蒼白になりながら聞いていた…その時
新一「おめーら何ぼさっとしてやがる!ジンの奴ここを爆破するつもりだぞ!!!早く脱出しようぜ!!」
宮野「ハッ!!そうだったわ!行きましょ!!!」
平次「おーい!!!俺を置いていくなぁ!!!!」
三人がその場を後にしたその時、かつて組織の本部があった施設は紅蓮の炎に包まれていた…
翌日…阿笠博士の家…
新一「これで終わり…っと。」
新一は徹夜で組織のデータを編集し、今ようやく終わったのだ。そこへ眠りから覚めた服部が話し掛けた。
平次「工藤!オノレは何やっとんねん!!!」
新一「何って…最後の後始末。」
平次「工藤ぉ!!!」
新一「判ってるよ!!!!」
新一の表情にさしもの平次も黙ってしまった。
新一「おめーの言いたいことは、判ってるよ…でもな…」
平次「あのジンとか言う奴の事か?忘れろや…あんなん只の負け犬の遠吠えや…」
新一「アイツはそんな奴じゃねーよ…」
宮野「工藤君の言うとおりよ…」
何時の間にか、宮野が起き出し話に参加してきた。
新一「宮野…」
宮野「それより、工藤君?ホントに大丈夫?」
新一「ああ…不思議なぐらい何とも無い…いや、強いてあげれば少し興奮して眠れないぐらいだ…」
宮野「そう…完璧な初期症状ね…でもこんなに緩やかなのは始めてよ…」
平次「初期症状…?それって…まさか?!」
宮野「そう…“バーサーカードラック”…別名“闇の薬”…」
新一「どう言う事だ…?」
宮野「その薬はね、組織の上層部…それもかなり特殊な人達に投与されたの…つまり、かつて組織に対抗したり、最後まで抵抗した有能な人間のみに投与された究極の麻薬…」
平次「麻薬?!ほんなら禁断症状が現れるんかいな?」
新一「でも、変だぜ?何の自覚症状もねーなんて…普通麻薬を打たれたら、何らかの反応が有る筈だぞ?たとえば幻覚作用とか…これといって何も無いなんて変だぜ?」
宮野「普通の麻薬と違うのよ…脳内麻薬…つまり…」
平次「アドレナリンのようなもんか?」
宮野「それだけじゃないの…何種類か有る脳内麻薬それら全てが暴走し出している筈なのよ…」
新一「どう言う事だ?」
宮野「この薬はね…人間が誰しも持ってる欲望それを押さえる力を無くすの…どんな成人君主でも一つ二つぐらい人には言えない欲望が有るわ…それを引き出す薬なのよ。」
平次「なんやてぇ!!」
新一「俺の中に有る欲望を引き出す…?!」
その時、不意に新一の頭にあるシグナル映像がよぎった…それは一瞬の事だったが、新一を愕然とさせるには十分な内容だった…それは、全裸の毛利蘭が自らの欲望のはけ口に成り下がり、性欲の奴隷と化した姿…
平次「工藤…オイ工藤!…どないしたんや?!」
新一はその声にハッとした。新一は一瞬の事だと思ってたのが、結構な時間が過ぎたようである…
新一「だ、大丈夫だ…な、何でもねーよ…」
平次「何を言うとるんや…自分、真青やんか…」
宮野「どうやら、彼方の欲望が目覚め始めたわね…それが何なのか知りたくも無いけど、忠告しとくわ…早い事かなえる事ねその欲望…でないと、ますます酷くなるわよ…」
新一「ばーろぉ…んな事出来ねーよ。」
宮野「そう言って、みんな深みにはまって行ったのよ…」
新一「なんだと…?」
宮野「言ったでしょ…組織の最高幹部に投与されたと…彼等は優秀なエージェントだったり、FBIやインターポールの有能な捜査官だったのよ…組織を壊滅させる為に、命がけで潜入した人達…」
平次「何を言うとるんや?そない優秀な人物が何で組織の…」
そこまで言って服部は気付く…バーサーカードラックの本当の恐ろしさを…
つまり、こう言う事だ…彼等は自らの正義感で、組織の恐ろしさに気付き正体を偽って潜入し叩き潰そうとしたのだ…しかし、彼等に気付かれ投与されたのだ…バーサーカードラックをそして…
宮野「彼等は、戦ったのよ…自らの欲望と…でも、勝ち目は無かった…当然よね、どんな立派な人間でも…それこそ成人君主と呼ばれるほどの人物でもカルマ…つまり“業(ごう)”を持っている…いいえ、持っているからこそ人間なのよ…そして破れた…彼等は自らの欲望に溺れた自分を責め…自らを落としてしまったの…悪魔へと…」
平次「そうか…それで“闇の薬”、“バーサーカードラック”かいな…人間を狂わせる…そう言う意味かいな。」
宮野「そうよ。工藤君?これで判ったでしょ?」
新一「ああ。完璧に理解したぜ…絶対に守って見せる。自分でそう決めたもんな…蘭…守ってやるよ…一番手ごわい相手、下らない独占欲…ジュニアバロンからな…」
平次「ジュニアバロン…?なんやそれ?」
新一「父さんが以前言ってたんだ…“私にとってナイトバロンは自分の闇の部分なんだ…最近そんな気がしてね…小説つまり物語の中で暴れさせて自分の闇を封じている…そんな気がするんだ…まあ考え過ぎだとは思うけどね”あの時は父さんが絞めきり間際で何も小説のネタが無かったから、思い余って言ったもんだと思ってた…でも違ったんだ…今なら判る…俺もそんな闇の部分が在ると気付いたこの瞬間から…」
平次「ナイトバロンの息子やから、ジュニアバロンかいな…」
新一「我ながら、安易だと思うぜ…全く。」
宮野「そんな問題じゃ無いわよ…知らないわよ、蘭さんがそのジュニアバロンに襲われても。」
新一「安心しろよ…宮野。俺はだいぶ前から…何時の間にか俺の中に生まれた独占欲から蘭を守って来てたんだ…だからこれからも守って見せるさ…“バーサーカードラック”だかなんだか知らねーが、そんな物に負けてたまっか!」
宮野「本当に判ってないわね…そんな決意だけで何とかなるような物じゃないのよ…」
だが、そんな話を新一は全く聞いていなかった…彼は自分の話が終わると直ぐに、
「さすがに疲れたぜ…俺は隣で休むよ…久しぶりに自分のベッドで休ませてもらうぜ。」
と言い残して、隣の自宅に帰ってしまったのだ。
後に残された二人は、暫らく呆然としていたが…
平次「まあ、ええやん…どうせ、あのねーちゃんがこんな事話した所で工藤の事嫌いになると思えんし…」
宮野「そうね…状況が落ち着いたら、蘭さんに全て話しましょ…江戸川コナンのことも含めた全てを…」
平次「そやな…あの様子やと工藤も暫らくほっといて大丈夫そうやし…」
宮野「そうね…普通、あそこまで大人しい訳無いんだけど…よっぽど工藤君の自制心が強いのね…」
平次「ホンマや…」
だが、二人は気付いていないだけだった…既に新一の心はバーサーカードラックに侵され新一の言うジュニアバロンが目覚め初めていたと言う事を…
続く…