のどかな土曜日の午前中。
都内米花市米花町五丁目にある毛利小五郎探偵事務所。
日差しが優しく差し込む室内に三人の姿があった。
応接用のガラス・テーブルに向かい合っている男女。
女の子の方は毛利蘭、17歳。
この探偵事務所の所長のひとり娘だ。
一方の男の子は、江戸川コナン、7歳。
ご承知の通り、「黒の組織」によってAPTX4869を飲まされた作用で体が幼児化してしまった工藤新一のなれの果てである。
ふたりは紅茶をすすって他愛もない話をしている。
そして所長デスクに座り込み、行儀悪く脚を机の上に投げ出しているのが蘭の父親である毛利小五郎だ。
その格好で暇そうに新聞を眺めている不肖の父親を、諦めたような目で見ていた蘭が言った。
「ホントーに暇そうね、お父さん」
「あーー?」
小五郎が、今にも眠ってしまいそうな目で反応した。
「いいじゃねえか、蘭。オレがヒマってことは……」
「世の中、平和って言いたいんだよね」
コナンがからかうような口調で言ったが、小五郎はまったく気づかないようにうなずいた。
「そうよ。世はなべて事もなし、ってな」
「でもさあ」
蘭は父親のデスクに身体を伸ばして、新聞を取り上げる。
「最近、けっこう騒がれてる事件てあったでしょ」
「んーー? そんなもん、あったかあ?」
「これこれ」
蘭がガサガサと音を立てて指差した記事を小五郎が眺める。
「なになに……。あー、これな」
コナンも立ち上がってデスクの新聞を覗き込んだ。
その記事には、派手なゴシックで「連続美女誘拐事件?」の文字が踊っていた。
「これ、ワイドショーなんかでもけっこう毎日取り上げられてんのよ」
「そうそう。おじさんはどう思うの、これ?」
机に両肘をつき、組んだ両手の上に顎を乗せていた小五郎が答える。
「どう、ってなあ……。どうってことねえだろ」
「どうってことないってことないでしょ? 誘拐事件なのよ?」
「だからさ」
蘭の父親は、さも面倒くさそうな顔をして椅子に寄りかかった。
「よく読めよ。証拠なんか何もないんだぞ」
「証拠?」
「だから誘拐だっていう証拠だよ」
「……?」
娘の方はよくわからないらしい。
「簡単に誘拐、誘拐って言うがな、本当にそうなのかどうかってのはわからんのだぞ」
「でも人は実際にいなくなってるんでしょ?」
コナンは無邪気を装って聞いてみる。
「そりゃそうなんだろうよ、捜索願が出てんだから」
タバコを取り出し、火をつけながら小五郎が言う。
「けどな」
太いため息とともに煙を吐き出す。
「実際には、誘拐だか蒸発だかわからないってことだよ。失踪には違いないだろうけどな」
「……」
「この日本じゃな、年間に2万人以上の人間が失踪してるんだよ」
少し小五郎の目が鋭くなる。
「もちろんその中には本当に誘拐された者や拉致された者もいるだろう。しかしな、大半は自分の意志で姿を消した連中なんだよ」
「自分の意志って?」
訊いた娘をジロリと見つめて答える。
「この時代だからな、借金抱えてにっちもさっちも行かなくなって夜逃げするやつだってゴマンといるだろう。人間関係や仕事に家庭の問題。悩みには事欠かない」
「……」
「そういう中、もう何もかもイヤになって逃げ出す人もいるってことさ。そういうのも、この2万人の中に入ってるってことだぞ」
「……」
「おまけに家出。これは今むちゃくちゃに増えてるんだよ。去年(平成15年)のデータだが、なんと10万5千人だそうだ。これも届け出があれば行方不明者扱いだ」
蘭が少し曇らせる。
「そういう状況だからさ、警察も本音としちゃあ、とても全部はかまってられないんだよ。マスコミは面白がって、警察の対応の悪さや不手際だって騒ぐがな」
探偵は面白くもなさそうに、右手の甲で新聞を叩きながら言った。
「それに、なんだこの「美女」誘拐事件ってのは」
「何か問題ある?」
「美女ってなあ、誰が決めたんだよ。新聞記者どもには、女に美形のランク付けが出来る権利でもあんのか?」
「……」
話題がずれてきている。
小五郎がやる気のない時の習性だ。
蘭とコナンは「やれやれ」といった風情だが、今回に限っては小五郎の言うことにも一理あるので反論はしなかった。
「でも、これがもし大事件でも、おじさんのところに依頼がないんだから関係ないよね」
蘭は思わず「ぷっ」と吹き出し、小五郎は両手の上から顔を落とした。
「その通りだわね、依頼がなければお父さんも動きようがないもんね」
「け……」
父親の、渋柿でも噛んだような顔から視線を外し、壁掛け時計を見て娘の方が慌てた。
「いっけない、もう時間!」
「なんだ? 今日は土曜で学校休みだろ?」
「部活があんのよ」
蘭は、在学する帝丹高校の空手女子部に属し、その主将も務めている。
腕もかなりのもので、都大会で優勝したこともある。
それだけにサボるわけにもいかない。
「コナンくん、ごめん。片づけといてくれる?」
「うん、わかった。早く行った方がいいよ」
「ありがと!」
蘭はバッグを抱えて、ドアに突進するようにして出ていった。
「やれやれ、お忙しいこって」
「父親より、よほど娘の方が忙しいんだよね、この父子は」
「……一言多いんだよ、おめえは」
* - * - * - * - * - *
「……こちらからの説明は以上です。何かご質問があればお受けします」
雛壇の壇上から公安部外事一課の刑事がそう言った。
この件の担当で、名前は一柳英機という。
階級は警視。
なまっ白い印象の男で、着ているスーツも白かった。
捜査一課の佐藤美和子は、彼を最初に見たとき「もやし」をイメージした。
別に痩せているわけではないのだが、どうも力感のない体つきだった。
年の頃は、美和子よりも2,3歳若いくらに見えた。
それで警視ということはキャリアなのだろう。
ポール・スミスの高そうな眼鏡をかけているが、その下の細い目がいやらしかった。
さっきから何度も美和子を舐めるように見つめていた。
その視線から逃れるように、そっと周囲を見渡す。
この広い警視庁第一会議室はほぼ満杯になっている。
警視庁だけでなく警察庁の面々まで集まっているのだ。
警視庁だけでも、美和子たち刑事部の捜査一、二、三課がいて、警備部もいる。
そして、なぜか交通部に防犯部の少年課まで顔を出している。
もちろん所轄関係もいる。
第一から第八方面本部の本部長クラスも顔を揃えていた。
こんな大がかりな会議(というより説明会だが)は、美和子が入庁以来初めてのことである。
半ば呆れたような顔で辺りを眺めていると、隣に座っていた同僚の高木刑事が話し掛けてきた。
「なんだと思ったら、例の誘拐事件のことだったんですね」
「まさかこんな大事だとは思わなかったけど」
コナンたちが話題にしていた連続誘拐事件は、本物だったのである。
それも国際犯罪だというのだ。
今までは主に欧米および南米を中心に荒らし回っていたらしい。
そこに、アメリカ司法省とユーロ・ポール−欧州警察機構−から、今度は日本を含むアジア圏が狙われているという情報が入ってきたのである。
正式にインターポールとFBIから捜査協力と合同捜査の申し入れがあり、警視庁と警察庁も慌てて体裁を整えたというわけだ。
壇上で経過を説明していた公安の一柳警視が指揮を執るらしい。
他に、正面に座っている銀髪に眼鏡の男がFBIの担当だとのことだ。
彼はジェームズ・ブラックと名乗った。
ブラックがいるということは「黒の組織」絡みなのかも知れぬが、警視庁の面々にそのことは知らされていない。
捜査二課長の茶木警視が挙手した。
いつもは怪盗1412号、つまり怪盗キッドを追うのに躍起だが、今回は総監からの直々の命令だから断るわけにもいかないのだろう。
「どうぞ……えーー、捜査二課の……」
「茶木です。その……」
茶木神太郎は、口ひげを撫でながら言った。
「どうも、その……いまひとつ信じられんのですがな……。国際誘拐団と言われても」
あたりで失笑が起こった。
当然であろう。
この日本では、そんなものはフィクションの世界以外にはあり得ないとされている。
しかし、彼に反してFBI担当官とインターポール日本事務局の男はむっつりと押し黙っている。
一柳が口を開く。
「茶木警視のご意見ももっともです。ですが、これはもう欧米ではかなり深刻な問題になっているようです」
「パレットがそうだというのですか」
パレットは国際的な人材会社で、人材派遣はもちろん、スカウトや人材提供、人材教育まで手広く手がけている。
育成にも熱心で、パレットが拠出している教育関連の基金がいくつもあった。
日本では怪しい動きはほとんど見せていないが、ICPOを通して海外の警察機構からの捜査要請や協力依頼は何度か舞い込んでいる。
そのたびにパレット・ジャパンを調査するのだが、何も不審なところはなかったのである。
そこに急変があったのはつい先日のことだ。
FBIから手配が回っていたパレット・チャイナ香港支社の朱永徳が来日したのである。
そこを公安外事課が引っ張り、任意で取り調べたのだ。
ただ、朱を確保した所轄署から警視庁への護送中、パトカーが事故に巻き込まれ、同乗していた警官3名とともに死んでしまった。警察庁としては、これで面倒な仕事の真相は不明のまま終わらせることが出来たと思ったが、FBIは逆に色めき立った。
「なぜです? ただの交通事故じゃ……」
「ないようですな」
茶木がその件を問い質すと、それまで所在なげに座っていたジェームズが立ち上がって答えた。
「と、言いますと?」
「この手口は、連中の常套手段なんですな」
例え容疑者として逮捕されたり、参考人として取り調べられても、護送中に事故を装って殺されてしまうのである。
今回の朱のように護送車で移送中、その車列に大型トラックやトレーラーが突っ込んでくるというパターンは、アメリカだけでなくヨーロッパでもいくつも例があることを、茶木もユーロ・ポールの担当官から聞いたことがあった。
そういうケースが増えて以来、FBIは護送するのに州軍の装甲車を借りて行なったこともあったらしいが、その時はタンク・ローリーが突入してきて爆発炎上したというから呆れる。
それではと、区域内を閉鎖して完全な交通規制をとったこともあったらしいが、その時にはなんとヘリコプターを使ってきたのだそうである。
さすがにヘリの特攻には為す術がなかったらしく、アメリカのマスコミも「現代のカミカゼ・アタック」と言って大騒ぎした。
いずれにせよ、護送ルートや日時は完全な部外秘だったのだ。
にも関わらず攻撃があったわけで、さすがに司法省も内部のスパイによる情報漏れの可能性を示唆せざるを得なかったのである。
「……」
さすがに二課長も呆気にとられる。
その様子を見ながら銀髪のFBI捜査官は話を続けた。
「うまく移送出来たケースもないではないのですが、その場合も警官に化けた組織の工作員に殺害されています」
「では警察内部に……」
「インフォーマーや組織構成員が潜入していたと認めざるを得ませんな」
ジェームズは顔を曇らせて言った。
身内の恥を晒すようなものだから当然の反応だろう。
「いいですか」
今度は捜査一課の目暮十三警部が手を挙げた。
美和子や高木の直接の上司である。
頭の傷跡を隠すため、常に中折れのソフト帽をかぶっているが、さすがに今は脱いでいる。
「逆に警察から連中への潜入捜査はどうですか? 日本じゃ禁止されてますが」
「やりました」
ジェームズは目暮の方に身体を向けて答える。
「過去、何度か潜入捜査官を使ったことはあります。ありますが……」
「……失敗ですか」
「おっしゃる通りです」
FBI捜査官は苦しそうに顔を振った。
目暮は、既に老境に入っている異国の捜査官に同情した。
若い部下を預かる自分も立場は同じなのだ。
「男性捜査官は、潜入して一週間もしないうちに全員殺されました。遺体やその身体の一部がFBI本部に送られてきています」
「……」
「女性警官を潜り込ませたこともありますが、こちらはすべて行方不明です」
「行方不明……」
「やはり一週間ほどで連絡が取れなくなっています」
「……」
その女性警官たちにどのような運命が待っていたのか、誰も想像がついたが、誰も口には出さなかった。
「警官だけでなく、組織内の人間を取り込んで使ったこともありましたが、結果は同じでした」
ジェームズたちのやりとりを見ていた一柳が腕時計を見やった。
「そろそろ時間になりますので、最後の質問にしたいと思います。何かある方は……」
美和子がすっと手を挙げた。
一柳の目がヒヤッとした輝きを発した。
ジロジロと美和子の肢体を服の上から眺め回すと、ようやく彼女を指名する。
「……はい、どうぞ。ええ、捜査一課の佐藤美和子捜査員……でしたね」
「はい」
いやらしい視線を弾き返すようにして、美和子は毅然と起立する。
きりっとした勝ち気なイメージだが、その美貌を覆い隠すほどではない。
スラリとした肢体はスーツに隠されているが、スカートから覗くふっくらしたふくらはぎやきゅっと締まった足首だけでも、そのスタイルの良さが想像できる。
一課の猛者たちのマドンナ的存在というのもうなずける。
「日本が狙われているとのことですが、どういう目的で、でしょうか?」
「目的……と、おっしゃると?」
「人身売買をしているとのことですが、それは老若男女だれもが狙われる、ということでしょうか」
「ああ、なるほど」
一柳がうなずくと、座ったままのジェームズが代わって答えた。
「結論から言いますと、誰でも対象になる可能性があります」
「誰でも?」
「Yes」
ジェームズは美和子の目を見ながら言った。
「彼らは、誘拐と言っても身代金目的ではありません。あくまでも攫った人間を必要に応じて顧客に売るために誘拐するのです」
まず誰でも思いつくのが、新鮮な臓器としての人間、つまりはドナーとしてである。
臓器移植が必要だが、ドナー登録の進んでいない国や移植自体が認められていない国の人間ではどうしようもない。
移植手術の盛んな海外での治療という手もあるが、そこでもドナーの順番待ちとなる。
結局は、どこへ行っても需要に対して供給が圧倒的に少ないのが現実だ。
そこで経済的に豊かな者たちは、違法を承知で彼らパレットに注文するのである。
噂に過ぎないが、パレット内部には移植手術をするための病院や医師たちまで存在するという。
つまり移植に耐え得る健康な若い人間が対象になるわけだ。
そしてもうひとつ、これもフィクションではよく言われていたことだが、性的奴隷として女性を売るというものだ。
歪んだ性癖の者もいるから、成人女性だけでなく年端も行かぬ少女も含まれる。
最近は、同じ目的で若い男性や少年まで売買の対象になるそうだから、犠牲者は女性とは限らなくなっている。
「どちらにしても若く健康的な男女ということになりますが、ここに来て子どもの需要がぐっと増えているらしい」
「……子どもですか」
子どもの臓器移植では、臓器の大きさの問題でおとなのドナーは使いづらい。
そこで子どもの身体がどうしても必要になるらしい。
「それでも、あまり幼いとドナーでは使えないはずなのです。なのになぜ彼らが小さな子どもまで攫うのか。我々にもその理由がわかりませんでしたが、最近になってわかりました」
「それは?」
求めているのはアフリカの第三諸国、そして中東らしい。
そこに根付いている武装組織が兵士として子どもを欲しているのだそうだ。
幼い頃から兵士として育て、10代になれば一般兵として使うのだという。
また、小さな頃から躾ていけば、狂信的な宗教信者に育て上げることも可能で、兵士に向いていない子供には爆弾を持たせて自爆させるのだ。
「そんな……」
思わず息を飲んだ美和子に、ジェームズは重くうなずいて言った。
「アメリカの……いや、世界の悲劇ですな。おまけに、こいつは男女の区別はないそうです。女の子でも兵隊に出来るし、銃の持てない子なら、そのまま慰安婦として……」
「わかりました、もう結構です」
これ以上、聞くに堪えない。
見計らったように一柳が口を挟んだ。
「そういうことです、おわかりですね佐藤美和子さん」
「……」
わざとらしくフルネームで呼んだ一柳を無視して美和子は腰を下ろした。
彼はまだ美和子をジロジロ見ながら言葉を続ける。
「ブラック氏が述べたように、誰でも犠牲者になる可能性があります。といって、日本中の人間をサポートするわけにもいきません。連中は日本や韓国では妙齢の女性を狙っているという情報もあります。他に手がかりもありませんので、そのあたりからチェックしてみてください」
「……」
「佐藤捜査員、あなたのような美人がもっとも危ないですから気を付けてくださいね」
「ご心配なく」
ぴしゃりと叩きつけるように美和子が言うと、一柳は一笑に付した。
美和子はますます気分が悪くなる。
一柳が閉会を宣言すると、ざわざわという私語とともに人々が一斉に立ち上がった。
一柳は、まだ美和子を見ている。
高木はそれを察して、美和子を庇うように彼女と一柳の間に立った。
「……」
美和子が高木を見ると、彼は後ろの一柳を気にしながらぎこちない笑みを浮かべている。
(ムリしちゃって……)
それでもそんな高木が微笑ましくなり、美和子も柔らかい笑みを返す。
その様子をトカゲのような視線で見つめていた一柳のことなど、もう視界に入らなかった。
* - * - * - * - * - *
その日の午後。
練習を終えた蘭は友人の鈴木園子とともに帰路についていた。
園子は、かの鈴木財閥の令嬢だ。
蘭の家とは不釣り合いなほどの金持ちの娘なのだが、当の本人はまったくそんなことは頓着していない。
身なりもちゃらちゃらせず、良い意味でお嬢さまらしさはほぼ皆無である。
開けっ広げな性格で、蘭に似てサッパリした気性の女の子だ。根が素直で正直であり、そういう意味でも蘭にとっても気兼ねなくつき合える友人だ。
校門を出てふたりで歩いていると、塀際に駐車してあったクルマからひとりの男が降り立った。
最初に気づいたのは園子の方だ。
「あれ……」
「なに?」
「もしかして蘭の知り合い? あの人」
「え?」
言われて見てみると、黒塗りのセダンから降りた若い男がニコニコしながらこちらに歩いてくる。
知り合いなのかと思うのは当然だろう。
「知らない……。園子の方じゃないの?」
「あたし知らないって」
彼女たちが立ち止まり、訝しげに見ていると、男は近寄ってきて軽く会釈した。
「すいません、突然」
笑みを絶やさぬその男はネクタイ姿で、手で脱いだスーツを抱えていた。
髪は短めで、きりっとした目元が涼しげだ。
「あの、毛利蘭さんですか?」
「あ、はい……」
「ほら、あんたじゃない」
男は蘭を見て確かめると、ワイシャツの胸ポケットから名刺を取り出して彼女に渡した。
「私、こういう者でして……あっと」
名刺が手から滑り落ちたが、地面に落ちる前に園子がうまくそれを掴んだ。
蘭と園子が名刺を覗き込むと、既知の名前が刷ってある。
「あ、月刊「空手道」……」
帝丹高校空手部でも購読している専門誌である。
もちろん蘭も毎号目を通している。
蘭がそう言うと、若菜−名刺にはそう書いてあった−は、いっそうにっこりして言った。
「ありがとうございます。それでしたら話が早いや」
「話……?」
「はあ」
彼の話によると、何でも、都内の高校空手部の主将たちを集めて座談会記事をやるのだそうである。
自分個人の目標はもちろん、部をどうまとめるかという悩み、あるいは部活動を離れたプライベートについてなどを思いつくまま話してくれればいい、という。
「そんな、急に言われても困ります」
「いや、本当に私らも困ってまして」
若菜も苦笑している。
「実は来月号でやる予定だった別の企画がぽしゃっちゃいまして。急遽別のものをと思ったんですが、すぐにやれそうなのがこれくらいしかないんです。で、慌てて、再来月予定だったこれをやることになりまして」
「はあ」
「座談会のメンバーはこちらで選ばせていただいているんですが、それに毛利さんも入ってまして」
「私?」
「はい。来月にでも連絡を取って、と思ってたんですが、こういう事情で急にこうなることになっちゃいました」
若菜はそう言うと、照れくさそうに頭を掻いた。
「それで申し訳ないんですけども、これからその座談会に参加していただけないか、と」
「え、今すぐですか」
若菜は、ハンカチで汗を拭きつつ、腕時計も気にしながら蘭を説得する。
彼の話によると、もう他のメンバーは別の記者たちが連絡をつけ、集めているらしい。
都大会優勝の実績を持つ蘭も、当然メンバーに選ばれて不思議はないだろう。
休日だったから蘭の自宅に連絡をしたのだが、その時すでに彼女は部活へ行ったあとだったのだそうだ。
「で、部活中に練習のお邪魔をするわけにもいかなかったので、終わるまで待たせてもらってたんですが」
「そうだったんですか……」
そう言われてしまうと、無下に断るのも申し訳ない気がしてくる。
園子は、若菜の方をちらちら見ながら蘭にささやきかける。
「いいじゃないの、行ってあげれば」
「もう、人ごとなんだから」
「だって、今まで待ってもらってて、それで断ったりしたら可哀相じゃない」
「そうだけど……」
すかさず若菜が割り込んでくる。
「そう言っていただけるとありがたいです。それと、これ少ないんですが、お礼です」
「あ……」
若菜が手渡してきたのはスポーツ振興券だ。
5000円分だが、部費の足しにしてくれ、という意味だろう。
ふたりは、ぺこぺこと平身低頭する若菜を見、顔を見合わせて苦笑する。
「わかりました。そういうことでしたら……」
「助かります! お疲れのところ申し訳ない」
実際は、そう疲れてもいない。
主将である蘭は、型の練習をいくらかしただけで、あとは部員たちの組み手の相手をしていたのだ。
帰ってから少し走ろうかと思っていたくらいだ。
若菜は、揉み手せんばかりの勢いで蘭のバッグを持つと、クルマへ案内する。
そこで、思い出したように園子を振り返ると「蘭さんをお借りしますね」と言って微笑んだ。
園子はそのスマイルだけでぽおっとなってしまう。
単純なものである。
クルマの後部シートに乗り込むと、若菜もその隣に座った。
運転席にはもうひとりの男がいた。こちらはサングラスをかけており、明るい若菜とはまるで違った雰囲気を持っていた。
「じゃ、やってくれ」
「……」
若菜が男に声を掛けると、男は無言でうなずき発進させた。
若菜が後ろを振り返ると、園子はまだ手を振っていた。
見ると、蘭も園子を見ていたので、若菜が話し掛ける。
「どうも急な話ですいませんね。座談会の方は1時間もしたら終わりますんで」
「はい」
「終わりましたら、またこのクルマでご自宅までお送りしますんで」
「あ、ありがとうございます」
そうまでしてくれるなら安心だと思って、蘭が緊張を解いてシートに深く座り直す。
若菜がそれをちらっと見て運転手にうなずくと、いきなり蘭に覆い被さった。
「!」
若菜は手にした大振りのハンカチで少女の口を覆った。
やや鼻につく柑橘系の匂いが蘭を襲う。
口と鼻をふさがれ、その息苦しさに抵抗しようとするのだが、鼻腔を突いてくる甘い香りが、なぜか筋力を奪っていく。
少女を見下ろす若菜の無表情な顔が、蘭に残った最後の意識だった。
* - * - * - * - * - *
「ん……」
蘭は、脚というより股間に感じた鋭い痛みで目が覚めた。
仰向けに寝かされているようだ。
どうしたわけか身体が動かない。
痛みが続いているため、逃れようともがくのだが、がっちりと固定されていてほとんど動けなかった。
首は動くので前に持ち上げて見てみてると、自分の股間を覗き込むようにして男が何かしている。
「う……」
男が離れると、蘭はまた痛みを感じた。
男の方は、「ん?」と発声して蘭を見やった。
「気が付いたかね、お嬢さん」
「ここ……」
「場所を教えるわけにはいかんから聞くだけ無駄だ」
「若菜さんは……」
「若菜?」
男は笑う。
「やつはもう用済みだ。あとのお相手は俺がする。牧田ってんだ、よろしくな」
蘭はまだ朦朧としている頭を軽く振って、何とか事態を理解しようとする。
この男は確かクルマを運転していたサングラスの男だ。
牧田と名乗った男は、まだ状況が飲み込めていないらしい蘭に、笑いながら説明してやった。
「毛利……蘭と言ったか。おまえさんは拉致誘拐されてここにいるってわけだ」
「誘拐……」
「ああそうだ。おまえ新聞読んでるか? 連続美女誘拐事件とかって言われてるあれだよ」
「!」
今朝、父やコナンと話題にした事件ではないか。
今、自分はその被害者になっているというのか。
男は続ける。
「おまえさん、運悪く犯人たちに目をつけられたってことさ。これからその身体を弄ばされることになる」
そう言われて蘭は初めて気づいた。
全裸ではないか。
ベッドに大の字に縛られている。
縛られていると言っても、ロープではなく何か拘束具で手足をベッドの脚に結ばれているようだ。
素肌を男の目に晒しているわけだが、恥ずかしがっている余裕はなかった。
自分がこれからどうなるのかという不安と恐れにおののいている。
そんな少女の様子を見やると、男は一端離れて、何やら手にしたものをいじくっている。
そしてまた蘭に近づき、股間に入り込んだ。
「い、いや……」
蘭は、処女の股間を見られる羞恥と、何をされるかわからない恐怖で顔を背けた。
なんとか股間を閉じようとして必死に身をよじるが、腰を持ち上げることすら出来なかった。
「痛っ……」
また股間にチクリとした痛みが走る。
まるで針で突き刺されているかのようだ。
「やめてください……な、なにを……」
蘭の声に、牧田が答えた。
「あ? これはシャブだよ。覚醒剤ってやつだな」
「かくせいざい……」
「ああ。麻薬だよ麻薬。今じゃ珍しくもないだろ? セイガクでも打ってるやつぁけっこういるぜ」
「ま、麻薬を打ってるんですか……?」
「そう」
「いっ、いやっ!」
「おっと暴れんなよ、針が折れたらどうすんだ」
「……」
牧田は、用心のため蘭の腿を押さえ込んで注射していた。
二の腕に打ったのでは注射痕が残ってしまうため、常習者は外から発見されない場所に打つ。
そこは、腋の下であったり足の裏だったりする。
他にも、今、牧田が蘭にしているように、脚の付け根にすることもある。
いずれ、着衣ではほとんどわからない場所だ。
彼がこの場所に打つこととしたのは、もちろんこの後の作業をやりやすくするためである。
「うっ……」
牧田が針を抜くと、蘭が軽く悲鳴を上げる。
彼は針を抜いた痕を、アルコールを含ませた脱脂綿で抑えて血を止め、消毒した。
そのさすられる感触と、ひんやりした感覚に、蘭は完全に覚醒する。
改めて男を見ると、年の頃は30歳そこそこといったところか。
上半身は裸で、その身体は筋肉質だった。
右目の端に切り傷のような痕跡があった。
そして何より印象的なのはその背中だ。
映画でしか見たことのないような、見事な入れ墨がしてあった。
昇り竜が玉を掴んで身をうねらせている様が、背中一面に彫り込んである。
どう見ても堅気ではない。
暴力団関係者なのか。
「どうして、こんな……」
「そう何でもかんでも知りたがらない方が身のためだと思うがね」
「……」
「まあいい」
牧田は、蘭を固定しているベルトを調整しながら言った。
少し緩めようとしている。
「普通はこんなにガチガチに縛ることなんてないんだが、おまえ空手やってるそうだな」
「……」
「まあタイマン張ってやる分にゃ、いくら有段者だろうが、アマっ娘に負けるとは思えないが、それでも油断してたらぶちのめされないからな」
「……」
「それに、おまえ処女なんだろ?」
「!」
「身体をほぐすにしても仕込むにしても、手間がかかるからな。だからシャブを使ってる」
「……」
「こいつを使えば、初めてでもけっこう感じるようになれるぜ」
彼の話している言葉の半分もわからないが、ほぐすだの仕込むだのと言っているのは、恐らく女の身体を凌辱することなのだろう。
つまり男は蘭を犯すと言っているのだ。
「そんな……い、いや……」
「まあまあ」
牧田は最後の一枚を脱いだ。
さっきから少女の無垢な秘部を覗き込んでいたためか、その男根は見事なくらいに勃起していた。
蘭はつぶらな瞳を思い切り見開くようにしてそれを見ていた。
もちろん蘭は、こうまではっきりと男のものを見たことはないからわからなかったが、相当に大きい気がした。
少女の、怖ろしげな顔を見て牧田がにやりとする。
「そう怖がるこたねえって。遅かれ早かれ、女なら誰だって経験するこった。心配しないでも、あんまり痛くねえようにしてやるから」
「いやああっ!」
蘭は、絶望的な状況に、悲鳴をあげずにはいられなかった。
牧田が少し拘束具を緩めたせいで、少しは身体が動くようになっている。
それにしても、多少、手足がジタバタ出来るようになったり、腰が少々浮く程度である。
そんな美少女のもがく様子を面白そうに見ていた牧田は、おもむろに蘭に覆い被さってきた。
「いや……」
犯される……。
こんな形で処女を喪うなど絶対にイヤだ。
それは新一に捧げられるべきもので、彼とはまだ軽い口づけすらない。
だが、どうにもならない。
状況は絶望的だ。
牧田は、若い男のようにがっついたりはせず、そっと蘭の肌に触れた。
「ひ……」
男の無骨な指が肌を這い、そのおぞましさに蘭の喉が鳴った。
牧田はかまわず少女のすべらかな皮膚の感触を愉しんだ。
すべすべで、産毛などほとんど見えない。
それでいて、水を弾くような張りもある。
若い女独特の香しい肌だ。
色白で肌理も細かい。
しかしその裸身はもうすっかり女のものだ。
「ほう」
牧田は感心したような声を出した。
17歳と聞いているが、とてもそうは思えないほどの肉体である。
最近の小娘は発育が良いが、蘭は年齢に不相応なほどに胸も腰も充分に大きかった。
髪をおかしな色に染めてなどおらず、綺麗な漆黒で艶やかなロングも気に入った。
「やめて、触らないで!」
男が腕を伸ばし、胸を揉んできた。
豊かな乳房を、下からすくい上げるようにしてたぷたぷと揉み上げる。
アンダーバストを撫でさするように優しく揉んだかと思うと、五本の指全部を使って、わしわしと揉み込んでみた。
それぞれの異なった愛撫に、蘭は顔を逸らし、唇を噛んで耐えた。
少女の身体は、まだ恐怖と緊張のためか固くなったままだ。
その瑞々しい肉体を、牧田は両手で弄ぶ。
「はっ……ふ、ふぁぁっ……だ、だめです、やめ……やめてっ」
どんなに「イヤだ」「おぞましい」と思っていても、身体が言うことを聞かない。
なんだか身体が少し怠い気がする。
それでいて、なぜか肌は敏感に男の愛撫を感じ取ってしまう。
そういえば麻薬は感覚を鋭敏化する、というような話を聞いたことがある。
もしかしたら、これがそうなのかも知れない。
蘭は、徐々に盛り上がってくる得体の知れぬ感覚を堪えながらそう思った。
男の指が乳房を揉み、肌をさするごとに、胸の中からぞわぞわした感覚が起こってくる。
その乳首は、蘭も気づかぬうちに硬くしこりはじめてきていた。
まだ男を知らぬ、ピンク色の乳首を牧田はくわえた。
「ひゃあっ!」
突然、差し込むようにキューンとした感覚が乳房に走る。
紛れもない快感だった。
牧田は尖ってきた乳首を口にふくみ、唇でねぶった。
「やっ! な、舐めないで……ああ、いや……あああ……」
蘭は必死に身体をひねらせて、男の攻撃から逃れようとする。
しかし、少々緩められたとはいえ、革ベルトで固定されていてどうにもならない。
「んあっ……く、く……ふ、ふぅぅん!」
牧田は執拗に蘭の胸を責めてきた。
くわえた乳首を舌で転がすようにして愛撫されると、蘭は首をのけぞらせるようにして身体に力を込めた。
そうでもしないと声が出てしまう。
男の愛撫は口だけでなく、もちろん手を使っても行なわれた。
胸肉の根元をつかみ、ゆさゆさと揺さぶるようにしたり、絞り上げるように力を入れて揉んだ。
牧田の愛撫のせいか、それとも蘭が反応したからか、真っ白かったその乳房は薄桃色に染まりつつある。
少し盛り上がってきた乳輪を指でつまみ上げ、その先端の乳首に軽く歯を立てると、蘭はたまらず声を上げた。
「ん! んふ……う、う、いや……やああっ……あ、あ……」
蘭は自分の肉体が、意に反して男の愛撫に染まってきていることを絶望的に感じていた。
これは麻薬のせいなんだと思いたくても、身体の奥からわき起こる不潔な欲望を感じずにはいられなかった。
情けなかった。
空手で心身共に鍛え、ちょっとやそっとでは負けないつもりだったのに。
クスリを使われたとはいえ、こうも呆気なく崩れ去ってしまうものなのか。
少女は己の不甲斐なさに涙を浮かべた。
新一の顔が心に浮かぶ。
「おいおい、お涙頂戴はやめてくれよ。そんなの最近は流行らねえよ。俺も萎えちまうしな。これからイヤでもよがり泣くことになるんだしよ」
牧田はそう言うと、乳房を揉みながら蘭に顔を近づける。
唇を奪われると思った少女は必死に顔を背けたが、男は意外な行動に出た。
蘭の綺麗な瞳から流れた涙とその跡を舐め始めたのだ。
「いやっ……」
蘭は思わず顔を振ったが、牧田は両手で彼女の頭を抑え、顔を舐め続けた。
男の熱い舌が頬や輪郭の線をなぞる。
気持ち悪いとしか思えなかったが、それが耳たぶに流れてくると少女も動揺した。
「あうっ」
舌先を尖らせ、耳孔をほじるように愛撫された。
耳たぶを舐められ、口に含まれる。
さらに耳の付け根をなぞるように舐めてきた。
「んん……あっ……」
ぞわぞわした感覚が背筋を昇ってくる。
胸を揉まれた時とは、また別の快感が蘭を直撃した。
「ああ……」
牧田の舌は、まるで生き物のように這いずり回り、耳から首筋にまで進出してきた。
そこから肩、そして腋も彼の舌に制圧された。
「ああ、いや……お願いです……あ、やめて……」
喉も腋もたっぷりと舐められた。
男の匂いが染みついてしまいそうだ。
「だいぶよくなってきたみたいじゃねえか。ほれ、ここもこんなに硬くなってるぜ」
牧田はそう言うと、勃起した乳首をくりっと指で捻ってやる。
「ひあっ……ああ、そ、そこは……か、勝手に、そう……なって……ああっ」
くりっ、くりっと指でいびられるごとに、蘭は背を反らせて敏感に反応する。
牧田は、反った蘭の背の下に手を入れ、背筋も撫でて愛撫した。
反って張った乳房は舐め回してやる。
無垢な裸体を乳房中心に責められると、蘭はがっくりと力を抜き、うっすらと汗すらかいていた。
固くなっていた身体はすっかりほぐれたようだ。
蘭の腿に手を伸ばし、恥部に指が触れる。
「ああっ……そこはだめっ……」
「何が「だめ」だ。こんなに濡れてやがって」
「ああ……」
蘭の顔が羞恥で染まる。
少女も気づいていたのだ。
牧田の責めに肉体が勝手に反応し、股間が恥ずかしいまでに濡れていたことを。
蘭は脚を閉じようとするが、かっちり固定されていて動けない。
牧田の淫靡な指が、若い処女の裸体をいじくり続ける。
少女は、脇腹やふくらはぎ、腿の裏を撫でられると、痺れるようか快感が腰から背を通り、頭まで駆け抜けていく。
手の指を口に含まれたり、くるぶしを舐められて感じてしまった時など、こんなところでこんな気持ちになるなど、自分はおかしいのではないかとすら思ったほどだった。
「くっ…! く、くすぐっ……ああっ…」
足の指の股に舌を入れられ、蘭はその異様な感覚に仰け反った。
「あう……あう……」
くすぐったいだけだと思っていた足の裏や指の股、あるいは腋を舐められていると、いつしかこそばゆさを越えたものが蘭の脳髄に届いてくる。
それが性の悦びだと気づくには、蘭は性的に未熟すぎた。
それこそ全身を舐め回される。
男の指と舌は、処女の肉体のあちこちに隠されている官能の巣を確実にほじくり出していった。
どこを触られても感じてしまう。
蘭の身体がもともと感じやすかったことを置いても、覚醒剤の効果も顕著だったのだが、そのことを思い出せるほどの余裕はなくなっている。
蘭は、牧田の手腕に恐れ、自分の肉体が堕ちていくことを怖れた。
ちょっとでも気を抜いたら、この男にすり寄ってしまいそうなくらいだ。
「あ……ああ……」
蘭が充分に濡れきり、その身体がとろけてきたのを確認すると、牧田はいよいよ秘部にかかる。
「あ!」
牧田の指は、蘭の割れ目に沿って這い上がっていく。
その指をぶるぶる震わせられると、その震えが媚肉を通って腰の奥まで届くようだった。
牧田は、口ではまだ乳房を責めている。
敏感な二カ所の性感帯を責められ、蘭は腰から下が痙攣してきた。
「…ふっ……ふああ……んくっ……だめ、やめ……やめてくださいっ…あああっ」
蘭の言葉を全部まで聞かず、男は最も敏感な肉芽をいびり出した。
ちょっと触れられただけでも、ツーンという激しい快感が突き抜ける。
二本の指でくりくりされると、たちまち硬く立ってきた。
口で乳首、指でクリトリスと、勃起したふたつの硬い豆を愛撫され、蘭は気も狂いそうなくらいの愉悦に襲われる。
「あああっ、やめてぇっ……そ、そんなことされたら……ああっ」
蘭とて健康な思春期の少女である。
友人や雑誌などから性的な知識は得ているし、新一を想って自慰をしたこともある。
軽く達するところまではいくし、それで満足していた。
と同時に、何とも言えぬ罪悪感と自己嫌悪にも襲われるという、少女らしい感性に悩むこともあった。
そこから想像するに、男女の営みとは自慰以上なのかも知れないと思ってはいたが、まさかこれほどとは思わなかった。
それも愛する人−新一−に抱かれているのではなく、強姦されつつあるというのに、だ。
そんな蘭の思いには無関係に、牧田の責めは続く。
割れ目の襞を撫でていた指が、とうとう膣に侵入する。
「ああ、いやあ! やめて、だめです! それだけは……ああ…」
牧田は中指を蘭の膣に入れ、親指でクリトリスを弾く。
左手は乳房を揉み、口と舌は柔らかい腹に這わせていた。
「ああ、ああっ……んん……く、だめ! ああ、もっ……あっ」
蘭の媚肉がひくつき始め、割れ目からこんこんと薄い愛液が滲んでくる。
中指が突っ込まれると、押し出されるように蜜が湧き出てしまう。
蘭はその恥ずかしさに顔を紅く染めていたが、頭の中は白くなってきた。
(ああ、き、来てしまう……)
自分で慰めている時、たまに訪れるあの感覚。
身体の奥からわき起こり、ずんっと頭に突き上げてきて、その中を白く爆発させてしまう、あれ。
それをエクスタシーと呼ぶことを、最近、園子に聞いたことを思い出す。
つまり、自分はこの男に身体をまさぐられていってしまうということだ。
そう思うといたたまれぬ羞恥に襲われるのだが、若い肉体の方はもうそこに向かって暴走している。
おぞましかった愛撫がくらくらするほどの快楽に変わり、羞恥と嫌悪で埋まっていた心が甘く妖しい肉欲に圧されてきた。
「あっ…ああっ……あっ…」
蘭の喘ぎ声がはっきりしてきて、その裸体が痙攣し出したのを見て、牧田はわざと呆れたように言った。
「なんだ、おまえ、もういっちまうのか」
「いやっ……そんなの…あうっ…」
牧田に見抜かれていたと知り、蘭の羞恥は一層高まってくる。
なのに、身体の方は牧田の責めに応じて、どんどんと追い込まれてしまっていた。
牧田はいちど蘭をいかせてみるつもりだった。
身体をほぐし、精神的に諦めさせてしまうためだ。
「あっ……ああぅっ……」
男の指がなお動きを活発にする。
中指が媚肉をこねくり回す。
蘭もタンポンを使っているため、これくらいで処女膜が破れるようなことはない。
従って、痛みよりは今まで感じたこともないような強い刺激の快楽を得てしまっていた。
乳房はピンクに染まるほどに揉み抜かれ、肌という肌はすべて牧田に舐められて、全身、彼の唾液まみれだ。
牧田の口が乳首から離れ、クリトリスを捉えて思い切り吸い上げると、蘭はとうとう最後まで到達した。
「ああ、だめっ……あ、も……んあううっ…!」
ぐんっと背を反らせ、全身を突っ張らせると一気に脱力した。
「ふん。いっちまったか」
「……」
「恥ずかしい女だな。処女のくせにずいぶんと激しい気のやりっぷりじゃねえか」
「……」
「マン汁垂らしまくってよぉ。そんなに気持ちよかったかい?」
「言わないでください……恥ずかしい……」
「へ。前戯だけでこれじゃあ、チンポ入れたらよがり狂うんじゃねえかい?」
露骨な言葉と恥ずかしい指摘に、蘭は首から上が真っ赤になる。
牧田は、この際徹底的に蘭を貶め、羞恥の海に沈めておいて、そこを犯して快楽の絶頂まで押し上げてやるつもりだった。
そのギャップに美少女は苦しみ、堕落する前で留まってくれるだろう。
確か、注文は「誰でもくわえこむような淫乱にはしないでくれ」という条件があったはずだ。
目の前の美少女は、もう何もかも終わったような顔でがっくりしている。
実際、人前で恥ずかしい姿をさらしてしまったのだから、死に優る恥辱ではあるだろう。
男はそんな蘭の顎をつまみ、正面に向かせた。
「ひっ……」
絶頂した余韻と羞恥で赤く染めていた顔がいきなり青くなる。
蘭の目の前にあったのは、グロテスクな男の象徴だった。
赤黒く、いかにも女泣かせのイメージを持っていた。
太く大きなことにも驚いたが、見るからに硬そうで、太い静脈が浮き出ているのも生々しい。
(すごい……あ、あんなもので……)
抵抗は無意味だ。
というより不可能だ。
あの大きなものを入れられる。
失神しそうなほどの恐ろしさと悲しみ、そして新一に対する申し訳なさ。
だが、それと同時にどこかに妖しい期待感もあって、蘭は慌てて首を振った。
牧田も少し昂奮している。
数々の女を犯してきた男だが、ここまでの上玉は滅多にない。
若いくせに抜群の肉体の持ち主だ。
細身の肢体なのに、胸や腰といった肉のつくべきところにはたっぷり肉が乗っている。
スレンダーなのにむちむちしているという、一種正反対の魅力をともに持った女なのだ。
それでいて性的に敏感ときている。
牧田は仕事としてやっているが、今回ばかりは仕事でなくとも目一杯やりたくなる女だ。
少女の、恐怖に満ちた表情に気づくと、牧田はことさら誇示するかのようにブラブラと男根を揺すって見せた。
「ほれ、欲しいだろ?」
「い、いやですっっ」
「そうか、まだそんなこと言うのか」
男はニヤリと笑うと、蘭の股間を割るように拡げた。
既に大の字に縛られているのだから、そんなことをする必要はないのだが、こうすることで彼女に羞恥を覚えさせるのである。
股をぱっくりと押し広げられ、わざとらしく蘭の秘肉を覗き込むような素振りを見せることで彼女に恥をかかせているのだ。
「あっ……」
牧田は蘭の膝に舌を這わせた。
その気色悪い感触に、蘭は唇を噛みしめて耐える。
男の舌はまるでそれ自体が別の生き物のように自在に這い回り、徐々に股間の中心部に近づいていく。
「う……んんっ……あ、ああっ…」
牧田は焦ることなく、蘭の媚肉の割れ目に沿って舌を這わせている。
ぐるりぐるりと蘭の秘部を二周、三周と巡る頃には、少女の表情にはもはや嫌悪感はなく、敏感な箇所をなぞられるたびに顔を何度も仰け反らせていた。
膣から零れ出し、恥毛を濡らしている蜜を舐め取ると、こそがれるような感覚に蘭はくぐもった声を洩らした。
「む……んんんう……ん、んあ……」
蘭のそこは、牧田がいくら舐めとっても、あとからあとから際限なく愛液を湧き立たせている。
舌で蜜を掬うと、たちまちじわじわと新たな淫蜜が滲み出てくるのだ。
「本当にいやらしい小娘だな。いくら舐め取ってやっても、どんどん湧いて出てやがるぜ」
「いやああ……」
蘭の泣き声を無視して、牧田は媚肉の上でぴんぴんになっていた陰核を唇でねぶった。
「きゃっ……」
媚肉全体を舐め回される、どことなく焦れったい快楽を万遍なく味わわされていた蘭は、突然に襲ってきた鋭い快感に悲鳴を上げる。
「ああ! だ、だめです、そこっ……ひぃあっ…」
「だいぶ感じるようだな、ここが。ようし、それならたっぷり可愛がってくれる」
牧田は、包皮に覆われたクリトリスを器用に舌で剥いてやると、転がすように弄ぶ。
「くっ……ふぁぁぁ……あ、あくぅ………あ、ああっ……」
噛みしばる口から、性に反応する女の声が堪えても堪えても洩れてしまう。
牧田の舌が敏感な肉芽に触れるたび、蘭の背筋にぞわりとする大きな波が訪れる。
そうされるごとに背がたわみ、腰がうねってしまう。
妖しい性の悦楽に懊悩する少女の性感は、そこを思い切り吸われた時、頂点に達する。
「うあああっ」
まるで括り殺されるかのような声を上げ、蘭は喘ぎに喘いだ。
牧田がクリトリスをちゅるんと音を立てて吸い上げたのだ。
ちゅっ、ちゅっと軽く吸い上げるごとに、蘭は腰で牧田の顔を弾き飛ばさんばかりに跳ね上がった。
こうでもしないと、これまで体験したことのない大きな快楽が身体に籠もって破裂してしまいそうだ。
客観的に見ても、もう蘭はメロメロの状態だし、牧田自身の経験からしても、ここまでほぐせば充分いけるはずだった。
しかし、この美少女は見かけに寄らず空手有段者だというし、そうなら精神的にも鍛えられているだろう。
それ故、牧田はそうしたことすら忘れて快楽に浸りたくなるくらいに蘭を狂わせるつもりだった。
牧田は、これも器用な動きで舌を操り、少女の花弁を拡げている。
露わになった女の秘密は、ねっとりとした花蜜でぐずぐずになっており、健康的なピンク色の襞襞まではっきりと見えた。
牧田は舌の先端を硬く尖らせ、割れ目の裏側にまで舌を這わせる。
そして、膣の入り口を小突くように突っつきだした。
「ああ! …あっ、あふ……あ、んんっ……あ……」
男の舌が傍若無人に暴れ回り、蘭はその動きに翻弄された。
比較的感覚の鈍い箇所を舐められる時は、目を固く閉じ、唇が震えるほどに噛みしめて、必死に愉悦を追い払おうとする。
しかし、見透かしたような牧田の舌が鋭敏な部分を責め始めると、堪らず首を振りたくり、裸身をよじらせ、腰を打ち振ってその快感に応えてしまう。
その動きは、耐えるとか逃がすというよりは、受け入れているようにすら見えた。
「ああ、もう……だ、だめっ、ああっ、ゆ、許して……あううっ…」
心は必死に抗うものの、肉体はもう牧田に支配されている。
少女は、牧田の舌に合わせて腰を上下させていたのだ。
彼の唇が媚肉から離れると、追いすがるように腰は上に持ち上がる。
そして舌が少女の蜜を味わっていると、その動きに合わせて腰がうねってくる。
この、類い希な美少女は性の虜になりつつある。
だが、まだ最後まで行っていない。
前戯でここまで感じてしまうのなら、セックスされたらどうなってしまうのだろう。
自分の膣を舐め回している舌先が、内部にまで入り込んできたらどうなってしまうのだろう。
それを思うと、蘭は空恐ろしくすらなってきた。
牧田の責めが激しくなる。
「んっ! ああ、もう、あっ……あっ、すごいのが……ああっ、ま、また!」
頂上近くにまで追いやられていた少女は、男の舌先が膣入り口を軽く抉り、指でクリトリスをくりっと強く摘まれて激しく気をやってしまった。
その瞬間、蘭の膣内から夥しい量の花蜜が勢いよく噴き出し、牧田の顔を汚した。
男は苦笑しながら、飛沫にさらされた顔を手で拭う。
「しかし激しいなあ、おまえ。処女でこうも……。おまけに潮吹きだとはな」
「……」
蘭は何も答えられず、ただ激しくはあはあと荒い呼吸を繰り返すのみだ。
羞恥を煽る男の言葉にも反応せず、彼の唾液と自分の愛液でびしょびしょに濡れた股間を晒し、しどけなくその裸体を横たえている。
少女の、真っ白だった肢体は男の唾液と汗で濡れ光る。
揉み抜かれ、さすられ、擦られた肌も薄桃色に変わっていた。
それでも男はまだ少女を許す気はない。
これからが本番なのだ。
牧田は、蘭を拘束していたベルトを解き放った。
この期に及んで、もはや抵抗するとは思えなかったし、この状態で少々暴れたところで、現役暴力団員の敵ではない。
案の定、蘭は拘束を解かれても、ぐったりとベッド上で脱力したままだった。
牧田は仰向けになっている蘭の腿をつかみ、ぐっとその股間を割った。
その中心部を観察してみると、ぐったりしているにも関わらず、そこはひくひくと物欲しそうに蠢き、何かくわえたそうな感じでしきりにもぞついている。
牧田は蘭の腿をぴしゃりと叩き、彼女を正気づかせた。
「あ……」
蘭は、まだ朦朧としていたが、股間に入り込んだ牧田が目の前でにやついているのを見て、少しずつ意識がはっきりしてきた。
牧田が男根をつかみ、蘭の腿に擦りつけている。
彼女は慌てて避けようとするが、思うように力が入らなかった。
いやがる素振りを見て、男は意地悪げに言った。
「ムリするな。欲しいんだろうが」
「そんなことありません……」
「ウソをつけ。オマンコがジンジンしてしようがないんだろう」
「……」
その通りだった。
オナニーではとても到達できなかったような大きな快楽をたて続けに受け、二度もいってしまったというのに、なぜか膣の方はより一層疼いてしまっている。
男のペニスは、そのまま少女の柔らかい内腿を伝って、股間の中心部にあてがわれた。
少女は抵抗しなかった。
(ああ、新一……、このままじゃ私……)
蘭は固く瞼を閉じ、首をひねって拒否反応を示したが、腰の奥から昇ってくる得体の知れぬ黒い渦に、精神の城壁が崩れつつあった。
牧田に対する憎しみも、自分に対する恥辱も、新一に対する申し訳なさも、肉の疼きに吸い込まれてしまいそうだ。
(こ、こんなの……こんなのイヤなのに……でも、もう、どうにもならないの……。身体が奥から燃え上がるようで……むず痒くて切ないの……。もう、もうダメ……、新一、ごめんなさい……)
牧田が腰を押し進めた。
「あっ、ああっ……だめっ……いや、新一っ、助けてぇ! …んっ、んぐぅっ……」
「シンイチ? へぇ、好きな男でもいるってことか」
もうすっかり濡れ濡れで準備OKとはいえ、初めて男を迎え入れる蘭の膣は痛みを感じぬワケがない。
しかも入れられるのは人並み以上のサイズを持ったペニスなのである。
男を知らぬ膣道が、ムリヤリ押し広げられる苦痛に少女は顔をしかめて歯を食いしばった。
牧田はゆっくりと蘭の中に侵入する。
「あ……ああ……あ、痛い……んんん……」
牧田はムリに最後まで押し込まず、取りあえず1/4ほどのところで止めた。
もっとも、それでも蘭にとっては奥まで突き通されたかのような圧迫感ときつさがある。
そして軽く腰を引いてペニスを軽く抜き出し、次に入れる時はさきほどよりやや深くまで入れる。
慎重なやり方だが、セックスに対する恐怖心をとるためだ。
蘭には、最初から感じさせるつもりでいる。
それには、ムリに貫き、派手に出血させて怯えさせるのは得策でない。
焦れったいことだが、じっくりねっとりと犯して、苦痛より快楽を覚え込ませるのだ。
そうでなくとも、この美少女は生まれつき感じやすいのだから、その素材を目一杯活かそうということだ。
「あくっ……ああ……あう……痛っ……あ、ああ……くっ!」
蘭は戸惑っていた。
男の太い肉棒が自分の膣の奥に入り込んでくる。
処女の、未知の領域にペニスが侵入するごとに、ピリッと肉を裂かれるような痛みが走る。
しかし、それに倍する大きな快感が腰の奥から押し寄せてくるのだ。
二度いかされて身体はすっかりほぐされ、しかも生煮えのような状態で媚肉を責められていたから、ヴァージンを失うという喪失感よりも、はやくこの切なさを何とかして欲しい、という淫らな気持ちの方が勝ってきている。
「あう!」
牧田の先端が蘭の最奥にまで達した。
硬いペニスの先で奥の奥を突っつかれた痛みと、胴太の男根が膣襞を擦る快美感で、蘭はぐんっと仰け反った。
牧田の肉棒はその8割ほどが蘭の媚肉に飲み込まれていた。
この男のサイズは、蘭の膣道の長さより長かった。
牧田は、モノが大きいというのも善し悪しだと思い苦笑する。
まあいい、いずれこの娘にも自分のペニスを根元まで押し込んでやろう。
子宮口にまで押し込めばいいだけのことだ。
「……」
牧田は蘭の中に入れたまま、しばらくじっとしている。
自らのモノを少女の膣に覚え込ませることと、蘭の媚肉の心地よさを味わうためだ。
みっしりと収まっているはずなのに、時折ひくついてくる感覚が何とも言えなかった。
一方の蘭は、飲み込まされている男根に圧倒されていた。
すごく硬いし、ひどく熱かった。
時々、びくびく動いて膣内を襞を刺激する。
思わず蘭は、さきほど見せつけられた牧田のペニスを思い起こす。
隆々とそそり立ち、太い血管を浮き立たせ、脈打ってすらいる。
その赤黒く長大な男の剛直を、今、自分は膣に受け入れさせられているのだ。
消えてしまいたくなるような恥辱と、強引に犯されていることを同時に思い知らされ、蘭に潜む被虐の炎がチロチロと燃え上がる。
「どうだ、俺のモノは」
「……」
「動くからな」
「あ、ああ、いやっっ」
ペニスを包む美少女の柔肉を存分に愉しむと、牧田は軽く腰を揺すりだした。
まだ未経験な蘭の膣内は窮屈で、そうでなくとも締まりの良い媚肉に押さえ込まれて、牧田も思ったようには動けない。
だが、そんな微妙な動きでも蘭の苦痛は相当なもので、細い肢体は苦悶に身悶え、美しい顔もしかめている。
洩れる苦鳴や悲鳴もくぐもっていた。
「ん、んはっ……ぐ……う、動かないで! …ああ、やめ……んく! ……はんん……」
徐々に美少女の膣がぬめりだし、牧田の律動を助けている。
膣を傷つけまいとする粘液よりも、破瓜による出血の方が多い。
それに気づいた牧田が指に血を採り、それを蘭の顔につきつける。
「それ、これがおまえの処女の証ってわけだ」
「ああ……」
蘭は冷酷に事実をつきつけられ、絶望に沈む。
そこに牧田が畳みかけるように言った。
「激しいスポーツなんかやってると、処女膜なんて破れちまうこともあるらしいが、おまえはそうでもなかったようだな。ま、こうして俺様に奪われたんだから結果は同じだけどな」
やくざはそう言うと嘲笑した。
何度も挿入を繰り返されて媚肉は早くも爛れ、息も絶え絶えの蘭はそれに反発することも出来ず、呻くだけだった。
「はぁぁ……うっ、うん! ……ふっああっ……やあっ……」
蘭の媚肉がペニスに馴染み出し、ぬるぬると愛液の量も増えだしたのを見て、牧田は奥まで突いてみた。
「かっ、はああっ!」
硬い男根の先が奥まった子宮口に届くと、蘭はぐぅんと背筋をブリッジさせた。
狭い膣道に野太い男根を飲み込まされているだけでも痛いのに、そこをピストンされ、あまつさえ子宮口にまで届かされた苦痛で蘭は意識が飛んでしまいそうになる。
牧田はムリせず、奥まで貫くのはそこまでにして、浅くピストンすることに終始した。
感じやすいところから責めていくのだ。
深度は浅いが速度は速くした。
「あ! …んむっ……うんっ……や、やあ……あふっ……ううんっ」
蘭の唇からは、牧田が律動するタイミングに合わせて、苦痛とも愉悦とも言えぬ喘ぎが洩れている。
苦悶する表情は、痛みを我慢しているのか、官能を堪えているのか判別がつかない。
牧田は腰を揺らしながら、両手を蘭の下に潜り込ませてその豊かな尻を揉んだり撫でたりする。
あるいは、前に倒れ込んで唇を少女の白い首筋に這わせたり、ツンと勃起した乳首を責め苛む。
そして、ピストンするごとにやわやわと力なく揺れていた乳房は、手のひらいっぱいに掴んで大きく揉み込み続けると、いつしか充実した弾力を帯びてきていた。
蘭の肌はしっとりと汗ばみ、魅惑的な若い女の薫りを醸し出している。
「あ……ああ……あ、お願い……です……やめ……あ、ああっ……う、うん……あっ…」
秘部を貫かれ、小刻みな律動を繰り返される。
そして首や腋、耳たぶまで舐められ、バストを揉みくちゃになるまで揉み抜かれると、蘭の表情にはもはや苦痛の色はなくなってきていた。
「へへ、だいぶよくなってきたみたいだな」
「……そんなこと……ありませんっ……あっ……」
「ウソつけ。こうされるとたまんねえんだろ?」
「あああっ」
牧田は腰を蘭に擦りつけるようにして、陰毛で彼女のクリトリスをくすぐってやる。
ピストンこそないが、中に入ったペニスが蘭の膣襞を擦る。
胸も揉まれ、乳首は思い切り吸われた。
「あ、そんな……ああ、だめっ……んあうう……あ、あんっ……」
「いきたいか」
「いやああ……」
牧田はそう言ったが、実際は自分が我慢出来なくなってきている。
稀に見る美少女を蹂躙し尽くし、処女のまま何度かいかせた。
しかも今、その処女を犯されて、少女は快楽の表情を浮かべて反応しているのだ。
その蘭の悩ましい美貌を見ていると、辛抱堪らなくなってくる。
尾てい骨のあたりから熱い迸りがこみ上げてくるようだ。
「だ、出すぞっ」
「あ、いやあっ」
牧田はやっとのことで蘭の膣から男根を抜き放ち、急いで少女の顔にまで持ってきた。
耐えていた快感を解き放ち、蘭の顔面で炸裂させた。
「ああっ……」
蘭の鼻先に大量の精液を吐き出した。
白く濁った粘液が少女の美貌を汚していった。
おびただしい量が放出され、蘭の鼻にかかった精液は頬を伝い、唇に届き、そこから顎へ伸び、そしてシーツにぼたぼたと垂れ落ちた。
「ふん」
牧田は、まだ出切っていない精の残滓とともに、へばりついたドロドロの男汁をペニスで蘭の顔に塗りたくっていった。
その汚濁の液体は、彼女自身の血で色づけされていた。