ちょっとひとこと

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 なつやすみのえにっき
 No: 59 / Genre: 狼帝くん / Date: 2011/11/11(Fri) 15:32:18

7がつ23にち はれ

 あしたは おにいちゃんの おとまりほいく
 ぼくも かばんに ぱじゃまいれた
 とってもたのしみ

−−−−−−−−−−−−−−−

 あれは俺が幼稚園の年少で、虎王が年長だった夏休みのこと。俺たちが通っていた幼稚園では、年長だけがお泊まり保育と称して園に1泊する。
 年長とはいっても所詮は幼児。晩飯のカレーまで作るとなれば先生もそりゃ大変だっただろう。そこへ年少のチビが入り込めるはずもなく、母親は大変な一日を過ごしたのだった。

 幼稚園に入ってすぐから平仮名を習い、夏休みに入る頃には書けるようになっていた。虎王と違いそれでも相当に遅かったのだが、級友に字の書ける奴はまだいなかった。
 絵日記を張り切って書き、虎王が泊まりに行くと知り、勝手に自分も一緒に行けると思い込んでいた。
 そして次の日、お泊まり保育当日‥。


「ぎぃぃゃぁぁぁっ!! ろーちゃんも行く、お兄ちゃんと行くー!!」
「どうして内緒にしてたのに狼ちゃんが知ってるの?」
「仕方ないでしょ。兄弟で通ってるところも多いんだから。どっからでもばれちゃうよ」

 朝、起きたら虎王が車庫へ向かっているところを窓から見かけた。なぜ自分を起こしてくれないのだろう、そう不満に思いながらも慌ててパジャマを詰めたカバンを握り、自分も乗るつもりで母親のそばまで走った。
 そしたらなんと車に乗るのを止められたのだ。

 そこで初めて知る驚愕の事実。
 お泊まり保育は兄だけで行くのだと。

 どうやらこの日のために父親は帰宅しており、兄を送るついでに出社する予定だったらしい。園の前でこの騒ぎを危惧した両親の苦肉の策だったようだ。

「あのね、お母さんもお父さんも行かないのよ。狼ちゃんだけが残るんじゃないのよ」
「やーだーっ、絶対お兄ちゃんと一緒がいいっ」
 近所中に響き渡るほどの大声で泣いて兄を引き止める。
「ほら、だから言ったでしょ。俺、行かないからいいよ」
 俺の手を取り、ニコッと笑いかけてくれる兄、虎王。
「ね、ろーちゃんと一緒にいるから。それならいいでしょ」
「おっ、お兄ちゃんが一緒なら‥いい」
 泣いていたはずなのにピタリと涙が止まる。そう、別に俺はお泊まり保育に参加したかったわけじゃない。ただただひたすらに虎王と一緒にいたかっただけだから。

「そういうわけにはいかんだろ。狼帝、お前はお兄ちゃんを一人ぼっちにしてもいいのか? 泣いて困らせるな」
 運転席に座っていた父親までが登場し、俺にとって痛いところを突いてくる。
「うぐっ、ひっく、でっ、でも、おにいっ、ちゃんっ、いないのっ、やだ」

 その頃は滅多に顔を合わさない父親のことが怖かった。だからまずは泣かないように努力してみたのだが、少し前までぎゃんぎゃん泣いていたので身体に残っている震えがとれず、すぐさま元の状態に戻れてしまいそうだった。

「よーし、我慢出来たな。男の子だからそのまま頑張れよ。お兄ちゃんを困らせたくないだろう?」
 そう言って頭を撫でてくれたけど、兄もしてくれるその仕草を思い出して喉が詰まる。
「う‥ん、でもっ‥‥、く‥ひっく‥、うわーんっ」
 我慢のダムはすぐさま崩壊し、またしゃくり上げて泣いてしまう。自分の目の前に兄がいないなんて耐えられない。いつでもそばに居たいのに。

「ね、狼ちゃん。一日だけ我慢しよ? お兄ちゃんだってクラスのみんなと一緒にお泊まりしたいんだよ?」
 母親がスッと抱き上げてくれて同じ目線で話しかけられる。でも泣いてる俺にはその言葉が耳に入ってこない。

 そもそも初登園日だって、送ってくれた母親と離れた門ではニッコリ笑顔でバイバイと手を振った。だって憧れの幼稚園。虎王と一緒にこの門をくぐれるのだから。けれど各クラスへと先生に誘導されてようやく実情を把握した。
 兄と一緒にいられない!
 園に入っただけじゃダメなんだと。そこで母親がいなくなったことが非常事態なんだと気が付いた。他の園児が泣いていることをやっと理解したのだった。

 一人ぼっちになる寂しさと怖さを初体験。結局、今と同じように泣いてごねて兄から離れなかった。この時は先生の方が根負けし、虎王も離れがたかったのか哀れに思ったのか、同学年でいても目立つのに年少組にやたらと大きな子供が参加することになった。
 兄離れするのに数日かかったのをハッキリと覚えている。

ちなみに幼稚園へ行く前はどうしていたかと言うと、物心つく前から車で寝ているといつの間にか虎王が消えているということが当たり前に行われていたため、余り疑問には思わなかった。けれど一緒に登園できる喜びを知ってしまった今、なかったことには出来ない。

 もう一つおまけに告白してしまうと、冬哉に惚れていると自覚する以前の人生で一番悲しかったのは虎王が小学校へ入学した時だ。たったの1年しか通ってない幼稚園。兄がいる間はとても楽しかった幼稚園。ずっと一緒ではなかったけど、外で遊ぶ時間なんかは虎王にくっついていられた。目立つ兄を捜すのに苦労はしなかったから。嫌なことがあれば虎王のクラスに駆け込むことも出来た。
 それがクラスどころか同じ敷地にすら居ないなんて。一緒に行くことも、帰ることも出来やしない。離ればなれの時間が長すぎる。
 ランドセルを背負った虎王を見送る度に絶望感が押し寄せて、幼稚園なんか行かない、と何度泣いたかしれない。

 小学校のことも両親は想像が付いていたようで、今度は父親が兄を抱き上げた。
「お前が小学校へ入ったらどうする? 狼帝にも少しくらいは我慢することを覚えさせないと」
 虎王は何か言いたそうにしていたが、弟のためにならない、と断言されると諦めた。そう、虎王は普通の子供とは違う。遠足を楽しみにするような子ではなかったから。だから別にこの行事に参加しようが出来まいが全く気にならなかったのである。

 そして冬哉をハッキリ意識したとき、俺が小学5年になるまではずっと俺だけのために生活してくれていたのだ。

「ろうちゃん、すぐに帰ってくるから。パジャマを着替えて、また着て、寝て、起きたらお母さんと迎えにきてね」
 父親の腕の中から手を伸ばし、頭を撫でてくれる。そして縋ろうとした手を振り切るように父は車に虎王を乗せてしまった。母親にはしっかりと抱き締められていて脱出出来なかった。
 無情に走り去る車が非常に恨めしく思えた。


 しかし兄の言葉はしっかりと耳に残っていた。パジャマのままで騒いでいた俺は言われたとおり着替え、それからすぐにまた着た。眠たくもないのにベッドへ入り、すぐに起きて母に兄を迎えに行こうとねだった。
 母親も最初は虎王の言った意味をニッコリと笑顔で説明してくれたのだが、その奇行を何度も繰り返し、そのたびに大泣きして困らせた。
 この日は一日泣くか、パジャマの脱ぎ着で費やしてしまった。疲れ果て本当に寝てしまうまで母親の方が大変だったと思う。
 そして待ちに待ったお迎え。どんなに嬉しかったか。嬉しすぎて飛び付きに行ったのも覚えている。


「狼ちゃんも大人になったわよねぇ」
 俺たち兄弟の小さな頃の作品を虫干ししながら眺めていた母は、その頃のことを思い出しているのかしみじみと呟いた。
 なぜそんな恥ずかしい物を大事に取っておくのか。俺には分からない。だが他の子供とは違う苦労をかけたことは間違いない。
 なんとかこうして大人になったのだから、感慨深いものがあるのだろう。

 手にしていた日記のページを母はめくる。すると目を覆いたくなるような文章が書いてあった。

−−−−−−−−−−−−−−−

7がつ24にち はれ

あしたは
おにいちゃんにあえる
おにいちゃんにあえる
おにいちゃんにあえる
おにいちゃんにあいたい


−−−−−−−−−−−−−−−

 夏休み期間中に上げようと思って頑張って書いていたのですが、中々仕上がらず。今頃ですいません。
 でも上げてみたらなんだか良い数字で。(笑)
 11年11月11日ですものね!
 狼ちゃんの誕生日も11月2日だったのですが、お祝いもできなかったのでこれでご勘弁を。(^^;;;
 可愛らしい子供時代を楽しんで頂ければ幸せです。(^^)


 俺が一番こわいこと
 No: 58 / Genre: トシくん / Date: 2011/07/30(Sat) 10:59:25

「トシ、お前俺のことどれくらい好きなんだ?」
 えっ? と、徹さんがそんなことを聞いてくるなんて珍しい。徹さんと言えば、俺の考えてることは全てと言っていいくらいお見通しなのに。

「どれくらいと聞かれても、何かに例えるのが難しいくらいです。地球全部とか、いえ、宇宙だっていいです。とにかく果てがない程です」
 不思議な気はしたけど、ここぞとばかりに力を込めて力説した。どれだけ自分が徹さんに惚れているか、分かってもらおうとしたというよりは、ほんの少しでも俺の想いを疑ってもらっては困ると言った方が正しいだろうか。なんせ普段聞かれないことなので警報がどこかで鳴っていたのかもしれない。

 だって徹さんは不安にならないから。俺は時折こんなに幸せでいいのかと不安に駆られる。本当に徹さんは俺のことが好きなのだろうかと。でも徹さんはいつでも何処でも普通でクール。人の言動に左右されるなんてことはないだろうと思われるのだ。

 そしてやっぱり徹さんは俺の返事を聞いてもいつもの涼しい顔。軽い言葉だと思われたのだろうか。宇宙なんて行ったことがない所を例えたのが悪かったのだろうか。

「お前さあ、いつもそんなに全力で疲れない? もう少し気楽にいてもいいんじゃないか?」
「えっと、それは俺の想いが重いということでしょうか?」
 徹さんの言ったことに少しショックを受けた。もしかしたら徹さんの方が疲れている?
 この後、少し距離を置きたい、なんて言われたらどうしようと身体が強ばったのが自分でも分かる。でももっと怖い台詞が降ってきた。

「あのな、そんなに身構えなくても俺はお前から離れたりしないし、俺もお前にちゃんと惚れてるから。だからもう少し気を抜いてもいいって言ってるの」

 えっ、どうしたのだろう。この台詞を言ってくれたことは嬉しい。でも普段もしもこんな言葉を言うとしたら、この後照れ隠しにどこかへ行ってしまうのに。この時の徹さんは俺の頬に手を当てながら、さながらドラマの恋人同士の甘いシーンのように目を見つめて言ってくれたのだ。

 その手首を握り、徹さんの目を見つめ返す。
「徹さん? どうかしたんですか?」
「なんだよ、嬉しくないのかよ」
 やっぱり何かが変。ジッと見つめていたその瞳がなんと紅く輝きだしたのだ。

「とっ、徹さん?」
 握ればあっさりと一周してしまう手首が顔からはがれない。

「徹さん!?」
 どこにこんな力を隠していたんですか?
「徹さんっ!」
 そう叫んだところで顔に衝撃が走った‥。
 食われた!


「トシ、何うなされてんだよ」
 目を開けばそこには瞳が黒い、いつもの徹さんがいた。徹さんはうなされていたらしい俺の顔を張ったのだった。
 夢か‥。ああ、よかった。

 夢の説明を求められて見たままを話せば、今度はゲンコツで殴られた。
「と、とおるさん‥」
 先ほどの夢の瞳が紅い徹さんを彷彿させるけど、でもいつも徹さんがそこにはいた。

「お・ま・えなぁ。俺がちゃんと告白したからってなんでそこで喜ばないんだよ。おかしいだろ?」
 怒ってる。確実に怒ってますね? 何故です? 夢で見たことなのに。
 上半身だけ起き上がっていた体勢のままで壁際まで追い込まれる。

「しかもうなされるってどういうことだよ?」
「だけど、いつもの徹さんと違えば戸惑っても‥」
 おかしくない、と言おうとした口は口で塞がれた。

「俺はお前を信用してるのに、お前は俺を信用してないのかよ」
 愛情と信用は違う気がするんですけど‥。
「俺はちゃんとお前に惚れてる‥よ」
 徹さんは言いながら俺を突き放し、部屋から出て行こうとした。

「徹さんっ」
 ああ、いつもの徹さんだ。徹さんは簡単に甘い言葉なんて吐かないけど、けれど本当は人を不安になんてさせない。欲しいときにちゃんと欲しい言葉をくれる人だから。俺が勝手にいじけてるだけだから。

「すいません」
 すぐに追いかけて、追いついて、後ろから抱き締めた。
「今度くだらんことでうなされてみろ、家から叩き出してやる」
「いえ、絶対に離れません。徹さんの心が離れない限り」

 腕の中の徹さんはくるりを向きを変え、俺と目が合うとニッコリとした。

 それからさっきとは違って優しいキスをくれた。

 徹さん、俺は絶対にあなたに付いて行きます。一生。

−−−−−−−−−−−−−−−

 ここも久しぶりですね。(^^;;;
 ふとトシくんの怖いことって幽霊以外で何かなぁ、怖がらせたいなぁ、なんて考えて書きました。
 リハビリ兼ねて頑張ってます。(^^)
 でも夏は怖いんですよね。また発作が出そうで。
 少しずつでも書いてますので、またまとまったら更新しますね。どうかお待ち下さいませ。


 もう‥嫌い
 No: 57 / Genre: 狼帝くん / Date: 2010/03/26(Fri) 12:28:55

「もうっ、いやって‥、ヤダってば」
 冬哉はさっきまで「イかせて」と騒いでいたくせに、望み通りイかせてやれば、それ以上はイヤだと騒ぐ。
 でもそれじゃ俺の方が我慢できず、再度の行為を腰で要求していた。
 繋がったままの冬哉には俺の意志が伝わっているだろうに、拒否されてしまった。俺はやはり虎王の弟なのだろう。冬哉のことを労るよりも、逃げられて追いたい気持ちの方が強くなる。
 イヤだと言われれば言われただけヤりたくなってしまうのだ。自分でも良くないとは分かっているのだが‥。
 冬哉が可愛すぎるのが悪い。

 冬哉の体勢では逃げ出すことも出来ず、俺は再び動き出そうとした。するとよっぽどイヤだったのか冬哉にしては珍しい台詞が飛び出した。

「イヤだって言ってるのに。狼帝嫌い」
 真剣な面持ちで俺を睨む冬哉。
 嫌いと言われてもすぐには反応できなかった。悲しいとか痛いとか、そんなことを思う以前に何もかもが機能を停止してしまったからだ。
 挿入したままで固まってしまった俺を冬哉はマジマジと眺める。

 それから俺がショックを受けていると判断したのか、顔がくしゃりと歪んだ。

「ごっ、ごめん‥。こんなこと言うつもりじゃなかったけど、狼帝しつこいんだもん」
 まだ動けずにいる俺に冬哉の顔は悲しみに支配される。
「狼‥帝? ごめん、ごめんね。嘘だから、大好きだからね」
 冬哉は俺を遠ざけるように押さえ付けていた手を、逆に肩を引き寄せるために使う。
 そして首に腕を回すと、自分から口付けてくれた。
 軽くちゅっと合わせるだけではあったが、冬哉からしてくれることは稀なので、固まっていた身体が溶ける。

「冬哉、俺は酷く傷ついた。だがこのまま動いてもいいなら、冬哉のさっきの言葉は忘れる」

 ろーて酷い、と言いながらもそれ以上は抵抗できなくなった冬哉に、己を打ち付けたのは言うまでもない。

 確かに、今日の冬哉は絶対しない、と言ってたのに、一回だけと拝み倒し、でも結局は一回だけじゃ我慢できず、2回目もこなし、そのまま3回目に突入しようとしていたのだから冬哉の言い分はもっともなのだ。
 冬哉の嫌い発言で萎えかけていたモノは、冬哉のキスであっさりと復活してしまった。

 本当にどうして冬哉はこんなに可愛いのだろうか。
 俺はお前から離れられない。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 嫌いと言ってしまって焦るシーンを書きたかったので、狼冬でのお話になりました。
 ちょっとろーちゃんがしつこいですが、それだけ惚れていると言うことで、お許し下さいませ。(^^;;;


 いま話題の腰パン?
 No: 56 / Genre: 冬哉くん / Date: 2010/02/15(Mon) 13:07:17

「鷹神、珍しいね。いっつもだらしないカッコしてるのは変わらないけど、ズボンずらしてるのは初めて見る」
 冬哉先輩は可愛らしい顔をちょこっと傾げ、より可愛く見える計算をしているんじゃないかと思わせる態度で質問してきた。
 そんなの、ろーちゃんに見せたら速攻で食われちゃうよ。

「そんなにだらしない格好なんてしてないでしょ。いつもファッション的に見ても格好いいことしかしてないよ。俺っておしゃれにも気を使ってるんだけどなぁ」
「うん、まあ、似合ってるけどさ。制服の時くらい生徒会長なんだし、ちょっとはそっちの方へ気を使ったら?」

 昇降口でろーちゃんを待ってる冬哉先輩を見掛け、声を掛ければズボンの指摘。まるで風紀委員のようなことをいう。そりゃろーちゃん見てりゃ、誰の格好でもだらしなく見えちゃうよ。
 ろーちゃんってばネクタイだって緩めずにキッチリ締めてるし、ブレザーのボタンだって外さないし。でもその分、ネクタイ緩める所とか目立っちゃうんだよね。ちょっと狡いなぁって思うよ。

 王ちゃんはネクタイきちんと締めてる方が珍しかったかな。冬哉先輩もネクタイは締めてるなぁ、そう言えば。冬哉先輩に限っていえば、こっちが解く方が萌えるけど。
 あーあ、でもそんな小言ばっかりじゃなくて、たまには色っぽいことも言って欲しいなぁ。抱いて、とかさ。
 一瞬で色んなことがよぎったけど、取り敢えず話しを続ける。

「でしょ? 似合ってるんでしょ? ならいいじゃん。そりゃさ、他の奴ってか、足の短い奴がやっても、よりいっそう短く見えるだけだから非常に見苦しい事態になりかねないけど、俺は充分に足が長いからね。多少削っても大丈夫」
「うわっ、やな感じ」
 男の敵、ってな目で俺を見る先輩。むっ、その顔、虐めてやりたくなる。

「冬哉先輩だって身長の比率でいったら短いことないんだから、やってみたら?」
 俺が何を言っているのか理解できず、きょとんと見上げる先輩の腰を掴んでベルトに手を掛けた。
「なっ、なにするの?!」
 冬哉先輩は焦って後退る。

 通常の下校時間より随分遅いので、誰もいないけど先輩はサッと周りを見回した。
 いつもすぐに触られたりしてるから、かなり用心深くなってるみたい。
 けど俺は先輩の腰を離してやらず、ベルトの穴を一つずらした。それからズボンを引っ張って腰骨に引っ掛ける。

「お、いいじゃん。先輩色っぽいよ」
 シャツを脇から引っ張ると、ボタンがない部分が割れてお腹がチラリと見えた。ヘソも見えてこのチラリズムがいいよね。
「ちょっ、ちょっと鷹神。お腹出さないでよ」
 俺から逃げ出そうと足掻く先輩。それを無理矢理抱き締めて、お腹を弄らせないようにした。すると丁度その時ろーちゃんが登場する。

「鷹神、なにやってるんだ」
 あれ、ちょっと怒ってる?
 声色が拙そうだったので、冬哉先輩をくるりと回し、ろーちゃんに腹チラを見せる。

「冬哉、そのズボンはなんだ」
 おお、ろーちゃん頑張った。声に少しは動揺が出てる気がするけど、それは突っ込まないでおいてあげるよ。

「えー、今鷹神にやられたんだよ。直そうと思って戦ってた所」
 ろーちゃんは冬哉先輩を俺から奪うと、早速ズボンを直している。お腹にもシャツを正すのに手を入れると、冬哉先輩はくすぐったかったのか変な声を出して身を捩った。
「ひゃっ、ん」
 あらー、ダメでしょ。そんな声出したら。思った通りろーちゃんの股間を直撃したみたい。

「冬哉、頼むから学校にいるうちから誘わないでくれないか」
「そっそんなつもりないっ」
 焦る冬哉先輩。真っ赤な顔してほんと可愛いよね。でもろーちゃん家でおやつ食べる気だったみたいだから、どう考えても冬哉先輩が食べられちゃう未来しか見えないよ。

「ろーちゃん、冬哉先輩食い物で釣ったくせによく言うね」
 俺の言葉が刺さったのか、ろーちゃんは気まずそうな顔をした。
「やる気満々だったんでしょ、元々。俺も生徒会が終わったらお邪魔していいかなぁ」
「邪魔だって分かってるなら来るな」
「うわっ、ろーちゃんつれないね。でも馬に蹴られると痛いから、今日は止めておくよ」

「なんで馬に蹴られるの?」
 まだ全然分かってない冬哉先輩は、またしても不思議そうな顔をした。
「俺が行かないと寂しい? 手が足りないとか」
 冬哉先輩の質問は無視して、エッチな話しを振ってみた。

「手が足りないならいつでも呼んでね。すぐに駆けつけるよ。冬哉先輩が気持ち良くなるために」
 さっきの言葉の意味を考えられないよう、ブレザーの下ですでに尖っている所を両方の親指で撫でてやる。

「やっ‥ん」
 それだけで冬哉先輩は感じちゃったみたいで、小さく喘ぐ。
 うあー、俺ってこんな先輩見てもなんにも出来ないの? ちょっと可哀想じゃない?

「それじゃあな、鷹神」
「‥鷹神のエッチ」
 ろーちゃんは俺が抱き締めるようにして触ったのが気に入らなかったのか、冬哉先輩を横抱きにして取り返し、サッサと帰っていった。
 ふん、冬哉先輩の方がエッチでしょ。

 ちぇっ、仕方ない。この腰つきで誰か落として帰ろう。ヤりたくてしょうがない。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 腰パンっていうのは知らなかったけど、どう見ても格好いいとは思えず。例の彼も高校生みたいな受け答え&考え方でちょっとビックリ。
 でも腹チラは色っぽいかな、と思って書きました。(笑)
 宣伝:顔に落書き、も誰か描いて下さいねー!
 宣伝2:タウンも遊びに来て下さいね。嘘話しのインタビュー、冬哉くん、鷹神くん、狼帝くんの3人に答えてもらってます。


 イチャイチャ?
 No: 55 / Genre: 徹さん / Date: 2009/06/30(Tue) 12:58:10


 俺たちは一緒に暮らしていても、男女間のカップルしか知らない人間が見たら、絶対カップルとは思えないくらいごく普通のルームメイトだ。ルームメイトなんて言うと仲がいい友達を想像しちゃうけど、そうではなく、あくまで体育会系の縦のキッチリした先輩後輩な関係。

 セックスも週一回くらいだし、キスだって一日一回くらいしかしない。あ、俺から仕掛けるときは結構あるんだけどな。
 トシは何かしてないと落ち着かないタイプで、家にいる時はその間中コマコマと動いている。だから俺は自室へ引っ込んで、パソコンのパチンコを眺めていたりする。その間もお茶を持ってきてくれたり、ツマミを運んでくれたりかいがいしく世話してくれる。

 慣れたからいいんだけど、初めは気を張ってるのかと思って何度もゆっくりしろと言ったし、やっていることを中断させて無理矢理セックスしたりしてた。
 けど結局途中やりだったことは最後までやらないと気が済まないし、睡眠時間が減るだけなのでこれがあいつのやり方なんだと理解した。

 しかし今日のトシはなんだか違う。何故だか俺のそばを離れないのだ。普段からデカイんで鬱陶しいと言ってあるのが効いてるのか、トシは俺の邪魔にならないよう気を付けている。例えば俺が行こうと思ってる先には行かないとか。
 あのデカイ図体で廊下なんて塞がれてみろ、マジでムッとするぞ。
 それなのにくっついてるから変なのだ。


 食事の時も向かい合わせに座るはずが隣だったし、その後テレビを見てる時も俺はトシの膝の上だった。
 珍しく色っぽいことでも仕掛けてきたのかと、手を引かれ素直に膝にも乗ったのだがそんなことはなにもなく。漠然とテレビを見、たわいのないことを話す。まったくいつも通りで少し肩透かしを食った気分だった。

 風呂に入っていても洗濯物を弄っているのかずっと脱衣所にいるし、おまけに時折名前を呼ばれる始末。確かに風呂場で寝てしまったことはあるが、今はどう見てもちゃんと動いているのに。

 そして極めつけが寝るときだ。いつもは違う部屋で別々のベッドで寝ているのだが、今日はトシから一緒に寝てもいいかと聞かれた。同然だがそういう話しはそういうことだ。
 もしかして珍しく溜まっていてヤりたいのかと思った。だから妙に擦り寄ってきてるのかと。トシから誘われたことはないので、戸惑っているのかと。誘い方が分からないのかと思ったのだ。

 明日は客先の現場なので出来れば避けたかったが、ここで断ると二度と自分から誘おうとかは思わなくなるだろう。傷付けたくはないので仕方ないか、と思っていた。
 身体の大きさからいって俺が抱き締められているようだが、トシが俺に抱き付いている。一人でなんだろう、と考えていたがいつのまにか寝てしまった。
 ありゃ、もしかしたらしまったのか。

 次の日。

「え〜っと、トシ。寝ちゃって悪かったな」
 やりたかったのにやれなかったのだから、さぞかし不満に思っているだろうと謝ったんだが、トシには思い切り不思議そうな顔をされた。

「えっ、寝たらいけなかったんですか? 俺も徹さんの寝息を聞いてたらすぐ寝ちゃったんですけど」

 んんっ? なんかおかしくないか?

「だけどお前、やりたかったんだろ?」
「やりたいって‥、何を‥ですか?」
「寝るときのやるは決まってるだろ」
「えっ、ええっ、あ、す‥すいません‥。そ、そんな‥つもりじゃなくて」

 ようやく考えがそこに至り、メチャクチャ焦り出す。自分から誘わないのはそれが好きだと思われるのがイヤなのか? 
 まあ、トシの事情は分かってるからいいんだけどな。

「そんなつもりじゃなきゃ、どんなつもりなんだよ。お前、珍しいだろ。あんなにベッタリくっついてくるなんて」
「す、すいません‥」
「謝らなくていいから、理由を聞かせろ」
「えっ、あの‥笑わない‥で下さいね」
「ああ、分かった。何でも言ってみろ」

「あの、ですね。昨日は銀次さんが店の方に来てて。それで昨日は命日だって教えてくれたんです」
「命日? 誰の?」
「えっ? 誰って、名前は知らないですが、前に住んでた人のです」
「前って?」
「ええ、徹さんの前の住人です」

「ハァ? 前の住人なんていないぞ。弟は俺と一緒だったし。ここは新築分譲マンション」
「ええーっ! うっ嘘だったんですか? もしかして」
 また一体何を吹き込まれたのか。銀次もトシがからかいやすいと踏んで、時折意地悪するんだよな。

「何を吹き込まれたか知らないが、誰の命日でもない。‥って、もしかして! 何か出るとか言われたのか?」
「ははい。飛び降り自殺したから余程の恨みがあったんだろうって。命日には誰かを捜しにくるんだって」
「お前なぁ。飛び降りってここは1階だぞ?」
「それはさすがにおかしいとは思ったんですけど、部屋から飛び降りたとは言ってなかったし、屋上からかなぁと」

 まったく、そんなこと聞いたのなら一度俺に確認しろよ。
 トシは鳥目なので暗いところが苦手で、その所為なのかは分からないが幽霊とか大嫌いなのである。

「徹さんは身体のパワーが違うので幽霊も寄って来れないって聞いて。それなら一緒にいれば俺も大丈夫かと」
「俺は厄除けかよ!」
「ちっ、違いますよ。徹さんは天使なのできっと触れたら成仏出来るんじゃないかと」

 なにやらおかしな話しになってきたが、相変わらず変なことを言ってるトシには参った。仏と神がごっちゃになってるし。

「ならどうして昨日のうちに俺に話さなかった?」
「銀次さんが当日、この家の中で言葉にすると召還されるって言うので」

 一体、なにを召還するってんだよ!
 けど、どうやら本気で怖がっていたらしいトシが可愛くてしょうがない。
 笑わないとは言ったが、思い切り吹き出してしまった。

「やっぱり笑うんじゃないですか」
 ちょっと拗ねたトシも珍しく、朝からにしては濃厚なキスをして機嫌を取ったのだった。

 銀次に文句の電話を掛けたところ、少し前に俺たちがベタベタしないという話しを聞いて、どうやら俺が寂しがってると勘違いしたらしい。それで俺のためにそんな話しをトシにしたのだと。
 ったく、そんな美味しい企み、なんで俺に話さないんだよ。知ってたら俺もからかってやったのに。

 だがトシを虐めてもいいのは俺だけだからな。銀次にはきつくお灸を据えておいた。もちろん、美味しい企み、なんて言ってないからな。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 この話しは漫画のネームみたいな感じで頭にパッと浮かびました。絵が描けたらマジで漫画の形式にしたかったです。(笑)
 最初の一コマだけなんですけどね。浮かんだのは。
 ページの半分くらい使ってトシくんの異常っぷりを描く。徹さんを抱っこしてソファーに座ってるところ。お風呂場の横で立ちすくんでいるトシくん。徹さんに縋って寝るトシくん。それを散りばめて、矢印で示すと。真ん中には腕組みをした徹さん。(笑)

 そんなシーンが浮かんで、どうしたらいつもくっつかせられるか、と考えてこんな話しになりました。
 どなたか絵が描ける方。どうか漫画にして下さい。(笑)


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