花より男子 類×つくし


空気と地球 -kuuki to tikyuu-






 

なんだか最近ヒマなので少しからかってみることにした

「なあ類、お前は『空気』なんだってさ」

そう言った俺の言葉に牧野いわくビー玉みたいな瞳が微かに疑問の色を浮かべた。

「?」

自分に興味がないことにはホントにとことん無関心、 ガキの頃からの付き合いの俺達にさえ付き合わないことがあるヤツなのに、最近つきあい始めた彼女に関係することとなると、睡眠欲より勝るらしい。いつもみたいに非常階段の壁にもたれてうつらうつらしかけてたヤツが次の言葉を待つように俺の方に目を向けてくる。

そうそれこそ俺の欲しかったもの、欲しいと思っていたその反応。
だからさっきの言葉に少しく加えて、略さずにそのまま言葉に変える。

「だからさ、昨日少し話してたんだ。牧野にとってお前は何なんだって、そしたらアイツお前のことを『空気みたいだ』って言ってたぞ」

さぁ〜て、さてさてわかるかな?類くん!
百戦錬磨の俺と違って男女の機微にはウトいはずのお前に牧野の気持ちがわかるかな?

とり様によっちゃあれだけどとり様によっちゃアレな回答。俺だってあまりにきっぱり言うもんだから一瞬わからなかったんだぜ?

だけれどさすがにあの超鈍感、究極至極の恋愛オンチの牧野を惚れさせた男だってことか、類は一瞬だけ目を見開いて、それからニッと小さく笑った。

「ふ〜ん、すごく光栄だね。そこまで牧野俺のことを好きになっててくれたんだ」

そう言って笑う類の顔はこれまで見てきた中でも相当ランク上位の幸せ顔で、そんな顔をコイツができるようになったんだと親友として嬉しく思うその反面、同時にこれはからかおうとしたことが失敗に終わってしまったそのことを俺にちゃんと悟らせた。

俺としての最高の希望は『空気みたい』=『居てもいなくてもいなくていい存在』って風にひどいふうに誤解して、それを見届けたその後でホントはそれがイコール『類がいないと生きていけない』って教えてやろうと思ってたのに、たった一瞬でそれを理解しちまうなんてさすが俺達F4の中で一番洞察力に長けた男っていうことか。

で、悔しかったからついでに類にも聞いてみることにした。

「じゃあお前にとって牧野って一体どんなもの?」

類でからかうことが出来なくても牧野なら必ず遊べるからな!どんな答えを類がしても必ずアイツはとんでもなく動転するに決まってる。泣くか怒るか真っ赤になるか、どんな反応返してくるかは類からの言葉次第だけど、それでも充分楽しめることそれだけは絶対請け合いだ。

なのにそんな俺の野心を察してか、類は一瞬目をしばたかせ、それから俺に即答した。

「牧野はそりゃ『牧野』でしょ?」

そりゃそうだ。だがそれで納得いく俺じゃない。

コイツが牧野で遊ばれるのが嫌いなことは知ってるけど、司とコイツと牧野のことで充分やきもきさせられた俺達にはまだ当分遊ぶ権利があるはずだ。
なのでもしかしたら質問の主旨がわかってないかもっていう疑問も含めてもう一度類に問いかける。

「いや、そりゃそうだけどさ、なんか例えがあるだろ?牧野みたいに『空気みたい』だとか、『野に咲く一輪のバラ』だとか」

「プッ、牧野がバラ?」

俺の言葉が相当ツボに入ったのか、類は爆笑しはじめた。

ま、確かに『野に咲く一輪のバラ』は可憐すぎる、あまりにクサすぎるたとえだって俺だってそう思ったさ。けどだがそのあまりの笑いっぷりに腹が立って、類に向かって声を荒げる。

「笑うなッ!」
「だってさ」

ひとしきり笑いをおさめつつ類は言う。

「牧野はバラなんかじゃ絶対ないでしょ?アイツはバラみたいに人の手を借りなきゃ───守ってもらわなきゃ綺麗に咲けないような、そんなに弱い女じゃないよ」

そう言って俺を見上げてくる類の瞳は本当に本当にまっすぐで、そのことをどれだけ類が知ってるか────疑ってないかってそのことを俺にしっかり教えてくれた。
そしてその瞳は同時に類がどれだけ男かってこと───牧野を本気で愛してるかも俺にしっかり悟らせて、そのことに俺は肩をすくめた。

「ま、確かにな」
「でしょ?」

そうして類はまたまたクスリと笑うとすくっとその場に立ち上がり、ジーンズのホコリをぱたぱたはらった。そうして俺を追いこすように数歩歩いて手すりにもたれるとボソっと一言つぶやいてみせた。

「ま、そんなわけで俺にとっては牧野は『牧野』だけど、敢えて言うなら『地球』かな?」

つまり牧野が言ったのと同じこと────それ以上に、『地球』=『牧野』が存在しなければ、自分も当然存在しないという最高級の殺し文句。

そのことに俺が気がついて苦笑しかけたその瞬間にガチャリと扉が大きく開いた。

「お待たせっ、花沢類!────あっ、西門さんもここに居たんだ」

授業が終わった途端にここまで走ってきたのだろう。頬を赤くそめ、満面の笑みで笑う彼女の息はかなりあがってしまっている。
それすなわちそれだけ早く、一秒でも早く類に会いたかったっていうことだろう。

そして当然、俺でもわかることだから自称でも他称でも『世界で一番牧野のことがわかってる』類にわからないわけがなくて、そんな牧野のことをこれ以上なく愛しそうに、うれしそうに見つめている。

うらやましいほどに純粋な類に、同じくうらやましいほどに純粋な牧野。

牧野いわく『いつ刺されてもおかしくない』ほど恋愛に汚れた俺だけど、だからこそあこがれずに───祈らずにはいられない。
世間の荒波がこの2人の恋を壊したり、枯らしたりしないように───。
ま、大丈夫、おせっかい、絶対平気だとは思うんだけどな?




                                 THE END.






 類つくです。。日記に載せてたのの再録。。タイトルは今つけました。
 西門さんの一人称ですが、つくしのセリフが出てくるまであきらと区別がつかないのが難点。。修行が足りませんです、はい。。
                                


 
 

 
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