花より男子 類×つくし


最初のPiece - saisyo no piisu -





 


 あたしの運命を握る人花沢類を好きになってしまってからというもの、年に1度はやってくる3月30日という日はとても憂鬱は日だったりした。
 だってパンピーでボンビーなあたしと違い、彼自身の物欲は少ないけれど、望めばなんでも手に入れられるすっごいお金持ちなんだもん。そんな人に誕生日プレゼントを、しかも彼にとっての最愛の『本命』で贈らなければならないってあたしにとってはプレッシャー。プレゼントって本来贈られた人だけじゃなく贈る人だって楽しいはずなのに、お祝したい気持ち反面、この日が来なければいいのになってついつい思ったりもして、その所為で毎年毎年卑屈になって、毎年毎年悩んでた。
 けど道明寺とのこととかもあって、彼と付き合い始めてからずっとずっと悩んでたけど、大学もなんとか卒業して社会人として暮らした2年近くの年月の中である程度の割り切りと思いっきりの覚悟を身につけられた今年のあたしは準備万端。何しろ今年あげるものは年が明けてから、ずっと準備してたんだもん。
 おかげですっごい寝不足に、慢性疲労に肩凝りだけど、それでも自意識過剰かもしれないけれど、毎年全然大したものじゃなくても喜んでくれてた花沢類を、今年は絶対去年までより喜ばせられると思うんだ。
 だからそんな気持ちで用意したプレゼントを差し出す時には、これまで以上にドキドキしてどぎまぎしてしまった。
 そんなあたしに彼から一言。
「プッ、牧野、変な顔!!」
 ・・・・・悪気はないとはわかってるんだけど、殺りたくなるのはあたしだけ?
 そりゃさ、花沢類の天使みたいな綺麗な顔にくらべりゃ、あたしの顔なんてコケシ並みのものだけどさ、仮にも自分の恋人に向かってそんなにハッキリ言ったりする?!
 だからついついいつものように可愛くなく、思いっきり言ってしまった。
「それならいいわよ、そんなこと言うんだったらせっかく覚悟してあげたのに、花沢類なんかにあげないわよっ!!」
 けど、言った瞬間は興奮しててわかってなかったんだけど、あたしの言葉の中にあった今は言っちゃいけない言葉に感がいい花沢類はアッという間に気がついてしまった。
「ん?覚悟って?」
「!!」
 途端、ビー玉みたいな瞳に見つめられ、思わず固まってしまったあたしに向かい、花沢類は問いつめてきた。
「それってジグソーパズルでしょ?なのに何で覚悟がいるの?」
 どうやら差し出そうとした瞬間に箱の中でかさかさ鳴ったピースの擦れあう音で中身を察していたらしく、その鋭いというか完璧な指摘に固まってしまっていたあたしの手からプレゼントの包みを抜き取ると、乱暴なのにちっとも乱暴に見えない手付きでラッピングをその場で外してしまい、その中身を取り出してしまった。
「うん、やっぱりそうだ」
 そうして、箱に印刷されている完成図の写真、見た瞬間に『これだ!』ってあたしを虜にした、すっごく綺麗な空の絵を確認して、花沢類は納得したようなカオをした後、それからすぐに首をかしげた。
「で、やっぱりどう覚悟なの?」
「!!」
 そう言ってにっこり笑った彼の顔は天使というよりアクマのそれで、おびえてピクリと固まったあたしに、彼は肩をすくめてみせた。
「ま、いいけどね、答えてくれなくても。俺にはちゃんとわかってるから」
「??」
「ちょっと待ってて」
 その意味深な言葉にあたしが目を白黒させると、花沢類は小さく笑って立ち上がり、彼の部屋でベッドとテレビの他に唯一ある机の方へ向かって行った。それで一番上の引き出しからごそりと何か取り出すとそれを持って戻ってきてあたしの右手を取りながら、あたしに向かってこう言った。
「ねえ牧野、これな〜んだ?」
 そうして花沢類は握って開かせたあたしの手のひらの上に持ってきたそれをぽそりとおいた。それを見てあたしは絶句して、それから続けて絶叫してしまった。
「!!、ってどうしてぇ?!!」
 だって花沢類が持ってきて、あたしの手の中に落としたのは、あたしが今日持ってきて、花沢類にあげようとしていたのパズルの内のピースの1つだったんだもん。
 もともとはただの既製品なんだから同じ写真のパズルは山のように出回っている。けど、手の中にあるこれは明らかにあたしが花沢類にあげようとしてたもの───『誕生日だから』と覚悟を決めて、伝えてあげようとした言葉のカケラなんだもん。
 だから思いっきり驚いて、思いっきり絶叫したあたしに、花沢類はいけしゃあしゃあと、こんな風に言ってきた。
「だって3日前、牧野の部屋にじゃましたときさ、あんたが何か必死になって隠そうとしてたから気になってあんたがいつもヤバいもの隠すたんすの中を探してみたわけ。そしたらこれがあったからつい嬉しくなっちゃってさ、戦利品っていうか証拠品がわりに先に1ピース貰っておいたんだ」
「そんなっ、勝手に!!」
 だけどマイペースで、時折すごく自分勝手な彼にはあたしの批判など通用しなくて、花沢類は二コリと笑い、勝手に言葉を続けてしまった。
「だからね、牧野。『もし花沢類があたしでいいよって思うなら結婚してあげてもいいよ』なんだから、どうか俺と結婚して。前からずっとそうだったけど、俺にはあんたがいないこれからなんか全然考えられないんだ」
 そうして再びニッコリと天使の笑みで微笑まれたあたしに反論なんて出来なくて、気がつけばパズルのピースの他に花沢類が持ってきていたキレイで大きなダイアの指輪があたしの指にはまってた。


 こうして予定では今日から3か月後(=あたしがこの一面空の2000ピースのパズルを組み立てるのに使った時間)に貰うはずのプロポーズを、あたしは花沢類から貰ってしまった。
 ちなみに後から考えると花沢類があたしの部屋から持って行ってたのはたった1ピースだけなのに、どうして一回つくりおえたパズルの表に書いたその言葉がわかったのか不思議に思ってその理由を教えてもらったら、あたしがせっかくだから記念にと完成した時に撮っておいた写メを勝手にのぞきみしてたのだそうだ。
 こんなこと許せないけど幸せだから今回だけは不問にふそうと思ってる、うん。
 
 



                                 THE END.





 類つくです。。ぎりぎり誕生日に日記に載せたのの再録。。タイトルは今つけました。
 頭の中にある映像を文字に直すのがうまくいかなくてどうも中途半端な感じに。。つくし一人称がどうも私の性にはあわないようです。勉強し直してきます。。
 


 
 

 
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