花より男子 類→つくし


君を追う -kimi wo ou -






 

 NYに向かう飛行機の中、自分がやってることだけど、それでもちょっとありえないこの今の状況に、自分で少し驚いている。
 自分でもそうなんだから総二郎とかあきらとかはもっとそうなのかもしれない。基本的に誰かに引きずられていくとかでなきゃ、めったに外出なんかしない俺が、思い立ってからたったの3時間後にはいわゆる『空の人』なんだからね。
 だけど牧野は東京にいないんだから、牧野のそばに行く為にはそうするしかないわけで、だからこうしている今に自分でけっこう満足してる。
 だってすっごく気になるんだ、気になってしょうがなくて仕方がないんだ。拒絶されててもされてなくても、人の後を追っていくにはホントすっげぇ勇気がいる。特に真正面からそうされてたヤツを追っていくなんて、普通じゃとても考えられない。
 けど牧野はそれをやった────どこにそんなパワーがあるんだっていつも思わされて仕方がない程あんなに小さくて細い身体で、海外なんてほとんど初めてで英語だって話せないのに、つてもなにもないNYに1人で向かっていったんだ。
 普通ならこれで物語はハッピーエンド、お姫様がここまでの勇気と気合いを見せたんだから王子様の方だって受け入れてそして結ばれて、永遠に2人で幸せになるハズ。────まあ、牧野もそうなんだけど司の方はもっともっと王子様らしくなんか全然ないから、その言葉にあてはめたらちょっと笑っちゃうんだけどね。
 けど何となくなんだけど、そうならないような気がするんだ。俺がお姫様のことを好きだから、そう思うって思うなら、そう思われても構わないよ。けどホントに何となくなんだけど、そうはならないっていうか、なってないような気がするんだ。
 もちろんこれが気のせいだったらかまわない、むしろそうあって欲しいって、そんなふうに願ってる。
 俺だって男だから好きな女に振り向いてほしいってそんな野心は重々あるけど、それ以上に牧野には誰より幸せになって、いつだって笑ってて欲しいんだ。だから牧野の幸せが司と上手くいくことなら、俺はそれを歓迎する。
 だからむしろよぎった予感が間違いであることを、俺はこの目で確認したいんだ。いつものちょっとおもしろい顔で、司の横で怒ってて、でもそれ以上に笑ってるそんな牧野を見たいんだ。
 だけどこうしてる間にもイヤな予感は大きくなって、笑顔の牧野に会いたいのに、だんだん泣いてる牧野の顔しか浮かんでこなくなってきてて、だから司じゃないんだからそんなことはしないけど、コックピットに怒鳴り込んで、1分1秒だって早く牧野の元にたどり着けるように、喚き散らしたいようなそんな気持ちにすらだんだんなってきてるんだ。
 だからこうしてここにいる────こうしてNYに行くジェットに乗って、牧野の元に向かってるんだ。
 だからさ、頼むから笑顔で待っててくれよ、牧野。────ううん、待っててなんてくれなくても俺は全然構わない。あんたが笑っててくれるなら俺はそれだけで構わない。だからさ、牧野、お願いだからさ、牧野──────。





                                 THE END.






 夏休み企画再録、類ものです。わかっていただけると思いますがつくしのあとを追ってNYに行くときの心境です。初めて結ばれてる以外の設定で書いたのでなんだか類が哀れで書いてる自分が切なくなりました。
 類はつくしに笑っててほしいと思ってますが、私も類には笑っててほしいと心からそう思います。
                                


 
 

 
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